紙の本
デューイの最高傑作の下巻で、彼の思索してきた思想が展開されます!
2016/08/29 09:33
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、デューイのあまりにも有名な『民主主義と教育』の下巻です。本書では、教育の本質、目的と方法について論じてデューイが、やがて現代社会の分析と批判に向かう姿勢がよく描がかれています。彼は、デモクラシーの理想の実現を阻む数多くの制約を乗り越えるためには、教育を通じて諸個人のさまざまな資質や興味の自由な発展を促し、開かれた心、主体的に行為し、享受する人間を確立しなかればならないと力説します。デューイのこれまでの思索、思想が全展開された作品です。
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もはや読み終わったのは2か月ほど前…登録をサボっていた…なのでやや記憶があいまいだが、つまり、何か「知識」だけを詰め込んでもあまり意味はなく、「経験」が大事で、「科学」(新たな経験を計画し、統制して、それを系統的、意図的に、そして、習慣の制限から解放されることによって拡大された規模で、追求することにおいて、知性が果たす役割 p. 56←人文主義と対立する意味での科学ではない。)が大事。
そして、このタイトルに絡めて言うなら、要は以下のようなことが重要。
「全体としての教育課程を、分立する諸価値の寄せ集めで作られた一種の合成物のようなものと見なす傾向は、社会集団や階級の分立の結果である。それゆえ、さまざまの関心が相互に強化しあい、共同するように、この孤立状態に反対して戦うことが、民主的社会集団における教育の任務なのである。」p.89
これら諸々、特に、どれだけ今や、教育が分化し様々な対立を生み出しているのかを、プラトン等までさかのぼりながら各学説(?)を詳しく見ながら進む下巻!
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はじめから順番に読むのではなく、上下巻いっしょに買って、興味のあるところから読んでいくことをおすすめします。その際、『民主主義と教育』の全体の構成をふまえるとわかりやすいです。『教育原論』第7章、とくに120ページの「全体の構成図」を見取り図にするとわかりやすいです。
https://booklog.jp/users/lifedevelop2020/archives/1/4623081842
上巻のレビューもご参考に。 https://booklog.jp/users/lifedevelop2020/archives/1/4003365232
第23章「教育の職業的側面」が、デューイの目ざしている社会が書いてあるのでぜひお読みください。上巻はじめの「抽象的な話」はここに行き着くのです。就活前、あるいは並行して読むと自分事として理解できるのではないでしょうか。ポストコロナの社会を考えるときも重要な視点がえられると思います。
第15~17章はワンセットです(上巻第14章の教材の連続性・発展を3章に展開した)。狭い意味でのオキュペーション論で、あそびから学びへの発展が書かれています。保育で強調されている「あそびの中で学ぶ」「あそびの中の学びの芽」という考え方の元がここに書いてあります。これらは経験の発展でもあり、経験論の具体例になっています。
第19~22章は、いろいろな対立・分裂の考察です。理系と文系の「対立」に意味なんてあるのかな、とか思っている人は、その答えのヒントが書いてあります。第22章は、孤独論とも読めますね。
第24章がようやくデューイの考える哲学の提示です。プラグマティズムというと体系がなく行き当たりばったりと考える誤解がありますが、この章を読めばそういう誤解はなくなります。哲学と教育と社会の改革は相互に関連してすすむのです。
古典は、向き合う読み方だけでなく、ある問題を横並びで見て、私はこう考えるけど、デューイさんはどう見ていますか、という関係で学ぶのもよいと思います。子どもの指導で行き詰まったときなど、この本を開いて「相談」してみてください。20200422