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みんなの評価3.8

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36 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

コンラッドの魂の旅の記録だ。

2009/06/11 19:57

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:野棘かな - この投稿者のレビュー一覧を見る

極限状態に置かれた続けた人間の精神はどのようになるか。
海外に行くと文化や生活環境の違いは大変よねなんて悠長なレベルではない。
未開の土地に分け入る、未知の土地を船は進む。
山頭火の「分け入つても分け入つても青い山」を思い出し真似をして
「分け入っても分け入ってもそこは闇」だったなんて言ってみたりする。
現代におけるゲーム「クルツを追いかけて」をクリアするかのように足跡をたどり執念深く追い続けるマーロウ。
しかし、出会えたクルツは、終わりのない絶望と恐怖と物欲という亡霊に見入られ、精神のバランスを失い自身魔物と化していた。
人間としての尊厳を失い、象牙という物質にフォーカスし、強欲な魔物クルツはすでに自分を地獄に落としこんでいたのだ。

※「この世界における己の魂の冒険に、すでに自から審判をくだしてしまっているこの非凡人の傍へ、もう僕は行く気がなかった」

訳者中野氏のコンラッド小伝より
1957年にポーランドで生まれ、由緒ある家柄で、父はシェイクスピアをはじめ英仏文学のポーランド訳書などを相当にだしていたそうで、生活もむしろ貴族的だった。
ところが、ポーランド分割など混乱の中、父親は北ロシアに流刑となり、両親に伴われ北ロシアに強制移住させられたのはコンラッドが5歳の時だった。
なれない生活で両親は相次いで亡くなり、1969年コンラッドは孤児になった。
幸い母方の叔父という人に引き取られたが、17歳の時、にわかに大学進学をやめて、自ら進んでフランス船の船員になった。
それから、イギリス船に乗ったことで、イギリスに上陸し、英語に接し英語を学び、以後、イギリス船員として地位もあがり、ついには船長にもなる。
1894年まで、37歳にまで16年にわたる海上生活がつづき、東洋の海峡植民地から、遠くはオーストラリアまで足跡はのび、またその間にアフリカの奥地コンゴー河の上流まで行っている。
1886年に帰化手続きをとって、イギリス国籍をとる。

イギリスでは「ポーランドから流れてきた」という表現がある。
チッという舌打ちをするような息の入った拗音付きのあまりいい感じではないニュアンスで言われていたと記憶する。
ポーランド生まれのイギリス人、それも英語で小説を書くまでになったコンラッドだが、そこまでの道程の大変さは想像に難くない。

この本を読み始めてすぐにコンラッドの真意がわかったような気がした。
これはコンラッド私小説であり、彼の心の記録だと感じだ。
この「闇の奥」を書くことで、浄化されたコンラッドは、そののちは本当の意味での安定した作家人生を送ることができたと。

海上生活の終わりごろから、創作欲の動きに驚かされるようになったというが
それは、自身の船員としての存在の耐えられない軽さに辟易し、DNAに刻まれた記憶通りに、書くことに目覚めていったのだと私は思う。
本当の自分に気がつき、これこそ自分の存在の軽さ(重さ)を確認する手段だと作家への道をまっすぐに迷うことなく進み始めたコンラッド。

若いうちはいろいろなものをみてさまざまな体験をすることが必要だと本の中でも話している通り、それを体現し、大人の男としての進化の道筋、大人の男になるための道程、男としての魂の成長を続けたコンラッド。
そして、船をおりるとそれまでの見聞や体験をもとに、本当の自分の望む道を歩き始める。作家への道、それも、彼の魂の旅なのだから、終わりのない旅だ。

意外に、思ったよりすんなりと読めたが、やはり様々な想像や妄想を掻き立てるコンラッドのフレーズに少し疲れたみたいだ。
このあたりでコンラッドとの戦いを一時休止としたいのでこの書評を書いた。
しかしながら、もう次に読みたいコンラッドの本は決まっている。
だって、私は大人の男コンラッドに憧れているから。




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