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紙の本

ニンゲン破壊の始まり

2008/04/20 22:38

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

読んでいて戦慄するような感覚を味わった。人物描写が鋭く、かつ冷たく突き放している。その物語は高額の金を約束されて、ある組織に潜り込み、情報を収集し、あるいはその組織を失敗に導く工作を行う。つまりスパイ。潜入先は労働組合や市民運動という、こうゆうのは労働スパイというのだそうだ。雇い主は資本家である。会社の経営者であるとは限らない、もっと上の方の、だったりする。
まず、この書かれた昭和40年頃には労働運動、社会主義的運動というのが力強さを持ち、それが恐れられてもいた時代だったということがある。この危機感は、資本の力だけで物事を進めようとするとコンプライアンスという網で引っ掛けられる現代の感覚からは分かりにくいところだろう。つまり当時の運動の成果は今やシステムとして取り込まれているのだが、当時は単なる抵抗勢力のように見なされていたのだ。
もっともこれを仕事として働くのには、そんな思想的背景は必要ないし、むしろ邪魔だ。必要なことは暴力沙汰でもなく、関係する人間や組織を分析し、弱点を秘かに巧妙に突ついて弱体化させること。言葉で言えばそれだけのことだし、天然のそういう人間もいないわけではないだろうが、作為として行うことの困難さ、必要な素質というものがこの小説の眼目だろうか。それは高度な資本主義社会が必要として、人類で初めて誕生した人種であるという。孤独や裏切りを平然と受け入れ、必ず経済性を優先するということ。これがどれほど困難なことか、しかしまた普通の人間との違いはほんのわずかでしかないこと、それが主人公の男がスパイとしてスカウトされ、少しずつ困難な仕事をまかされるようになって、次第にその性格が変貌を遂げていく過程に描かれていく。
そんな労働スパイなるものがいたとしたら、という仮定の話ではない。いなかったらおかしいし、それは資本家の怠慢だろう。その上で、スパイの活動も合理的であり、また当時の世相を理解するのに面白い。主人公が工場の同僚達に「文化大革命」についての意見を聞いたり、また組合員達はよく勉強していて賛否両論あったり。スパイの標的は組合としても、最強の敵は代々木の指示で動く「細胞」とか。そういった思想を育てたのも、反発したり受け入れたりしたのも、資本主義経済発展下の社会そのものである。スパイが身につけてゆく精神についても同じだ。それは古典的な善き人間像を信じている人々には、人間性の疎外や、心の闇といったものに見えるだろう。だが経済発展の恩恵を受けた以上は、現代人があまねく受け入れているものに違いない。その始まりにして典型的な姿がここにある。

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