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紙の本
異文化ギャップは四半世紀後の現在でも厳然として存在する
2004/09/17 01:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:六等星 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者自身が実施したアンケート調査を基に、1980年に書かれた異文化コミュニケーション論。さまざまなシチュエーションにおいて、日本人と外国人(特に欧米人)の表現方法を対比的に分析することによって、両者の考えかたの違いを、浮き彫りにさせている。主語を省く。はっきりノーと言わない。「塩はありますか」と聞かれただけで、頼まれてもいないのに席をたって塩を探しに行くメンタリティ(気の使いすぎ)、など、事例を含めた指摘は非常に多面的かつ具体的であり、それを平易な文章で、しかし遠慮なく、収集したデータに忠実に書いている。欧米人とのコミュニケーションに慣れているつもりの人にとっても、日ごろの思いを整理する手助けになるであろう。
著者は本書の中で、日本人の言動の特徴について、以下のように述べている。「“核心に直接ふれる言い方”を避け、“重要なことはことばにしない言い方”が美徳とされる日本では、言外の意を察知することが、コミュニケーションを円滑にするためには、非常に重要である。加えて、人間関係の糸が縦横に張りめぐらされているので、その糸を切らず、もつれさせずにコミュニケーションを行うことが、何にもまして大切なことになる」。これが、「ことばを使ってはっきり言う」欧米人には理解されにくい。
そのギャップが21世紀の現在でも厳然として存在する状況は、日本人と欧米人のコミュニケーションを取り持つ立場にいると、痛切に感じる。それでも、コミュニケーションを何とか成立させる支援をしなければいけないので、対照的な思考の切り替えを、日々何度も、しかも瞬時に行うことを強いられる。これは頭の回転を促すので、老化防止にはなるのかもしれないが、精神的に気を使うことが多く、体力を消耗する。その苦労は、日常からその様な体験をしていないと、なかなか理解が出来ないかもしれない、と我ながら、「よくやるよ」と思う。
ところで、読後に大きな疑問が残った。「コミュニケーション」という言葉は、なぜ外来語なのであろうか、ということである。日本語にはそもそもコミュニケーションに相当する概念が無かったのであろうか。そのこと自体が、異文化コミュニケーションの大きなギャップを象徴しているのかも知れず、興味深いテーマであるが、これについては、別の機会に研究したい。
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