紙の本
日本の民俗学の草創期を担った南方熊楠の人物とその思想を丁寧に紹介してくれる書です!
2020/04/09 11:43
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の江戸から昭和にかけて活躍した民俗学者であった南方熊楠氏について、その思想と人物像を語った貴重な書です。南方熊楠氏は、柳田国男氏とともに、我が国の民俗学の草創期を担った重要な人物であり、「日本人の可能性の極限」とも呼ばれたこともある人物です。同書では、「南方熊楠の世界」、「学問の目標」、「地球志向の比較学の構造」、「南方熊楠の生涯」、「紀州田辺の住民として世界へ」、「南方熊楠の仕事」、「南方熊楠の現代性」といったテーマで南方熊楠の人物像とその思想が語られています。
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この本の力で「南方熊楠の世界」に分け入り度肝を抜かれます。本書を読み終わったら熊楠の原書を読んで格闘してみましょう。わからなくなったら、またここに。役にたちます。
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文句なしです。
熊楠の「神仏合併反対意見」も併載されています。
「エコ」をそれなりに言う人、熊楠を読むのにまず、この本で良いのではないでしょうか。
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熊楠、クマグス、KUMAGUSU.
和歌山県にある熊楠記念館行ったけど休みだったー(たらりーん)
私は熊楠に今生きて物申してもらいたいな、といつも思ってしまう。
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内発的発展論で有名な鶴見和子先生の熊楠研究の出発点が本書。熊楠の粘菌研究を「翠点の思想」と捉え、現在の文脈のなかで、南方熊楠の業績を捉え直した好著。
南方熊楠の格好の評伝ともなっている。
http://thomas-aquinas.cocolog-nifty.com/blog/2007/11/post_a62b.html
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南方熊楠の研究内容が良くわかる一冊。しかし、その研究内容の評価については著者は多くを語っておらず、読者に委ねられている。ここに違和感を感じてしまうのは自分だけだろうか。
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「南方は、植物学者として、森林の濫伐が珍奇な植物を滅亡させることを憂えた。民俗学者として、庶民の信仰を衰えさせることを心配した。また森の寄り合いの場である神社をとりこわすことによって、自村内自治を阻むことを恐れた。森林を消滅させることによって、そこに棲息する鳥類を絶滅させるために、害虫が殖え、農産物に害を与えて農民を苦しめるこもを心配した。海浜の樹木を伐採することにより、木陰がなくなり、魚が海辺によりつかず、漁民が困窮する有様を嘆いた。産土社を奪われた住民の宗教心が衰え、連帯感がうすらぐことを悲しんだ。そして、連帯感がうすらぐことによって、道徳心が衰えることを憂えた」
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私の南方の知識は、神坂次郎の小説1冊だけでしたので、こうした学術的考察を読むと、改めてとんでもない人物だったと再認識できます。
彼の残した原稿やノートが未だ全てが日の目を見ていないというほどの量であることからてっきり思索型の人間かと思いきや、負けず劣らず行動の人(本業の粘菌集めのフィールドワーク、神社合併反対運動で投獄されたり、人種差別した外人を殴るなど)でもあったわけです。
そして、この本ですが、南方研究にのめりこめば人生の大半を費やさざるを得ないという現実だけは理解できました。
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巨人、南方熊楠を紐解く❗
柳田国男研究者であった著者だからこその論法がキラリと光った作品だと個人的には感じられた。
共に日本の民俗学の創始者でありながら、決定的に異なる柳田と熊楠との比較然り、熊楠自身の比較研究法然り…
そしてやはり面白いのは『南方曼陀羅』だ。
一途で、誰よりもピュアで、感受性がズバ抜けて豊か。もちろん探求心が強く、研究熱心でいて、義理人情に厚い。先を見越した広い視野で「幸福とは何か」を追求した巨人。
決して平坦な人生ではなかったが、己を貫いた巨人の側面を的確に指摘した、とても読みやすい作品だった。
巨人、熊楠に惹かれるものを感じる方は一読の価値ありだと思う。
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生物学の研究と民族学の研究は、彼の好奇心が動かした。権威や名声は求めない、純粋な好奇心が欧米、アジアの国々へ足を運ばせ、言語の壁をもろともせず、世界に向けて寄稿した。そして、その好奇心が彼と関わる地域住民や各国の著名なリーダーや研究者を惹きつけたのだろう。そして、往年の生物学への研究はエコロジーの考えに基づいたはず。”全ての事象は、他の全ての事象と関わりがある”。科学的因果関係、仏教的輪廻因果、南方曼荼羅もそれを踏まえている。神仏合祀の反対意見書、壮大であり、明確であり、自身の経験や知見を存分に書き連ねた。地域には地域特有の歴史背景や自然環境をもち、そこで生活する人たちの文化や心身に少なからず影響し、けっして地域を語る上で無視できない。という考えは、生物学と民俗学を生涯にかけて研究した彼だからこそだろう。彼の著しを知った私は、彼に尊敬を表すと共に今後の人生において彼の知見を心に留めておきたい。そして、彼の気伝を研究した著者にも感謝を表する。