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もっと冒険的かと思ったんだけど、さすがに二人が70歳台だと無理があるか;;
筋自体は面白いと思うんだけど、ずいぶん強引というか…。ミステリというより冒険小説ですね。トミー&タペンスは基本的に冒険小説だよなあ~。
途中、オックスフォードとケンブリッジはすぐわかってしまったので、早く気づけよ~~!と思いながら読んでました。
ああ、でもおばーさんになってもタペンスはかわいいなあっ。クリスティーの冒険小説の主人公は女性が多いけど(女性しかいない?)、みんなかわいいなあ~と思うのよ。タペンスもそうだし、『茶色の服の男』の彼女(名前忘れた)も、『七つの時計』の彼女(やはり名前忘れた)も。『掌の中の小鳥』(加納朋子)の紗英が似てるなあと思う。男性が描かないタイプだよね。女性ならではの女性。女性が憧れる女性。
クリスティ自身が憧れていたのかもしれない。
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物足りないです。
なんと言えばいいのかな、
年を経たせいかやはりエキサイティングな
描写はなりを潜めているんだなぁ…
それとこれに推理は求めてはいけません。
肩透かしを食らってしまいますので。
シリーズの中では平凡です。
可も不可もなくだけれども
いつもの作品から比べると質は落ちてしまいます。
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「ダマスカスの都に四つの大いなる門あり・・・
運命の門、滅亡の扉、災厄の洞、恐怖の砦・・・
その下をくぐるなかれ、おお隊商よ、あるいは、歌いつつくぐるなかれ。聞えずや
鳥も死に絶える沈黙のなか、なおもトリノごとく叫ぶものの声が?」
(ジェイムズ・エルロイ・フレッカー 『ダマスカスの門』より)
トミーとタペンス物です。女史の80歳を超えての作品とのことで、その頃、得意としていた回想殺人をプロットにして、トミーとタペンス物らしくスパイ・スリラー・テイストの作品に仕上がっています。トミーとタペンスも齢75歳前後の設定ということで、彼らの活躍を描いた最後の作品でもあり、感慨深いことこの上ないですね。
相変わらず嗅覚よく謎を見出し突き止めずにはいられないタペンス。それに引きずられるかのようにのめり込んでいくトミー。二人の夫婦関係が何とも微笑ましいですね。そして、番犬のハンニバルが二人の第三の相棒として活躍する姿も何とも愛嬌があって楽しい限りです。それにしてもクリスティーの犬の観察ぶりには敬服しますね。(笑)ハンニバルの描写では幾度も笑いが込み上げてきました!
プロットとしてはクリスティーの筆が冴え渡り、次々と会話が飛び跳ねる妙もクリスティーならではの真骨頂が出ていたと思いますが、如何せん少し饒舌すぎるというのか冗長し過ぎるきらいがって、全体的に洗練されていないというか間延びしてしまったのは、ミステリーの作品という観点でいうと残念な部分かもしれません。会話が脱線して先に進まないのは兎も角として、結末までもが仄めかしに溢れているのは、構想力が落ちて散漫になったためなのか、クリスティー一流の茶目っ気なのかはちょっとわからないです。
まあしかし、単なるミステリーというカテゴリーにとらわれず、その後の老夫婦の活躍を思い出深く、コメディータッチで描いて、会話を存分に楽しむ小説と考えると、何ともいえない楽しい作品だったともいえるでしょう。女史にはもっともっとさらなる冒険譚を書いて欲しかったですね。
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クリスティーの著作は、著者本人の姿が投影されていると感じる作品がある。この作品もその一つ。(個人的見解)
クリスティーの晩年は、この作品のように主人公夫婦のように穏やかに過ごしていたのではないかと思い馳せながら読んでいたら、あとがきにクリスティー最後の著作とあり、妙に納得。ミステリーというよりは小説として読んだ感あり。最晩年においても人物描写力に衰えなし。