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紙の本

とことん泥臭かった頃の新宿

2008/11/10 23:46

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

いわゆる警察小説というものの日本における先がけ的(「点と線」などはあるが)がこの新宿警察シリーズで、なにしろ書かれ始めた頃はまだ今の新宿警察署は淀橋警察署という名前であり、本作の新宿警察というのは架空の警察署なのだ。本書は5編の短篇が収まっているが、主人公格の根来刑事が住む、2階建てのアパートの前の道はオリンピックで拡張されて、といった描写に時代を表れている。そして新宿は、東京の中でも地方から人が集まってくる土地として、働きに出てくる者も多いし、また犯罪者が流れ込んでくる街として描かれている。
この新宿署でも、人の流動が激しい街らしく、様々な要素が混じり合い、犯罪も、犯罪になる寸前の事情も、凶悪犯罪もイタズラ程度のものも、ごちゃごちゃしたいろんなものを扱わなければならない。法律も、金の動きも、義理人情も、男女の仲も私生活の都合も、変化していく街も、全部ひっくるめて捌いていかなくてはならないのはどんな職業でも同じ事情だろうが、一般市民の生活に比べれば犯罪という事象が集まってくる分だけ、混乱は大きいかもしれない。
登場する犯罪者像は、戦後混乱期を引きずったままのように金のためならどんな手でも使うというタイプもあれば、半職業的犯罪者のヤクザ、チンピラ類、男に貢いで操られる女、ただカッとなっただけ、動機不明の無差別犯罪、まれに義侠ゆえ、学生の麻薬汚染、など。なんのことはない、この文を書いている2008年時点とあまり変わらない。それらが渾然とした世相の凝縮された街としての新宿と、そこに生きる人々の群れを、作者はすでに的確に分析して見せている。それが、「秋津温泉」で自分自身を分析し、「赤い標的」で組合や経営者を分析したのと同じような手際でまた、刑事も犯人も、新宿という街も、みな裸にされるように心象を剥き出しにされてしまうのだ。
刑事達について言えば、ひたすら歩き、走り、話を聞き回ることに徹して、少しずつ犯人に続く道を解きほぐしていく、しかもその地道な仕事が根っから好きな人々として描かれている。推理小説的な展開はほとんど無く、一人一人のキャラクターもさほど前面に出てこないのだが、事件解決に至った時のカタルシス、それは心地よい疲労感であったり、苦い結末であったり、脱力感であったりと、各作品を読み進むうちに現れる様々な局面の中から少しずつ個性が見えてくるところも、技巧派の作者の面目躍如といったところだろうか。

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