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「エセー(五)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1967.09.16
415p ¥400 (2020.09.25読了)(2020.09.16借入)(1974.02.20/5刷)
五巻まで読み終わりましたので、残すところあと一巻です。
原本の第三巻に入りました。原本の第一巻と第二巻は、1580年に刊行され、第三巻は、1588年に刊行されました。
第一巻と第二巻は、先人たちの著作の引用が多いけど、第三巻では、自分の体験に基づいた思索になっていると言われます。『エセー』という題名にふさわしい内容ということになります。
第五章と第九章は、100頁を越えています。書きたいことがいっぱいあったのでしょう。
【目次】
第三巻
第一章 有利なことと正しいことについて
第二章 後悔について
第三章 三種の交わりについて
第四章 気をまぎらわすことについて
第五章 ウェルギリウスの詩句について
第六章 馬車について
第七章 高貴な身分の不便なことについて
第八章 話し合う方法について
第九章 空虚について
●国家と個人(29頁)
国家に対する義務は必ずしも個人の義務に優先するものではない。
●結婚(30頁)
人間社会の中でもっとも必要で、最も有利なものを選ぶとすれば、結婚であろう。
●魂の価値(45頁)
魂の価値は、高く行くことではなく、秩序正しく行くことにある。
魂の偉大さは、偉大さの中ではなく、平凡さの中に発揮される。
●精神と肉体の美しさ(74頁)
精神の美しさは恋愛よりももっと立派な事柄に用いられる。けれども、恋愛となると、これは主として視覚と触覚に関するものであるから、精神の美しさがなくとも相当のことができるが、肉体の美しさが無くてはどうしようもない。美こそはご婦人がたの真の長所である。
●目的(227頁)
裁く権限は裁く者のためでなく、裁かれる者のために与えられる。お偉方があるのは、お偉方自身のためでなく、下々の者のためであり、医者があるのは病人のためで、彼自身のためではない。すべての官職は、すべての技術と同じように、それ自身の外に目的を持つ。
●スペインによるアメリカ大陸の征服(244頁)
もしも、彼ら(スペイン人)がわれわれの信仰(キリスト教)を弘めようとしたのであれば、それは土地を所有することではなく、人心を所有することによって達せられたはずである。
●隠棲の場所(367頁)
私は老衰の状態に達したら隠棲の場所としてヴェネツィアを選びたいと思う。
☆関連図書(既読)
「エセー(一)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1965.05.16
「エセー(二)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1965.11.16
「エセー(三)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1966.01.16
「エセー(四)」モンテーニュ著・原二郎訳、岩波文庫、1966.10.16
「モンテーニュ」原二郎著、岩波新書、1980.05.20
「ミシェル城館の人 第一部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.10.25
「ミシェル城館の人 第二部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.11.25
「ミシェル城館の人 第三部」堀田善衛著、集英社文庫、2004.12.20
「モンテーニュ」宮下志朗著、岩波新書、2019.07.19
「王妃マルゴ」アレクサンドル・デュマ著・鹿島茂訳、文芸春秋、1994.12.20
「王妃マルゴ(1)」萩尾望都著、集英社、2013.01.30
(2020年9月30日・記)
(「BOOK」データベースより)rakuten
モンテーニュの真骨頂「第三巻」。性愛、結婚・恋愛について赤裸々に語った「ウェルギリウスの詩句について」ほか、「役立つことと正しいことについて」「後悔について」「気持ちを転じることについて」「話し合いの方法について」など9編を収録。