紙の本
翻訳の名調子を楽しむ。
2013/09/01 08:58
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
筋書きはたいしたことない。この本の楽しみ方は翻訳の名調子を味わうモノだと思う。
紙の本
あまーーーい誘惑
2006/12/15 00:25
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
サンスクリッド劇の最高傑作と言われる、インドで最も有名な詩人と解説で紹介される著者の4世紀頃の作品だそう。同作者の「公女マーラヴィカーとアグニミトラ王」もよかったけど、構成の機知や、神と人間の玄妙な交流では、本作に味わい深さがある。もちろん物語は甘〜いラブストーリー。気高く賢く勇猛な王様が恋した美少女、仙人の子で修行中の身かと思いきや、仙女(アプサラス)の娘であった。恋の駆け引きの末に二人は結ばれるが、ちょっとした行き違いで離ればなれとなってしまい、その間に姫は一男を生み暮らしている。
二人が出会い、想いを募らせ、気持ちを探り合い、やがて思いを遂げるまでの描写はなまめかしく、臆病で、強引で、歓喜に溢れている。それが別離後の展開では、一転して神々の介入による、合理的ですかっとする流れ。この転換が鮮やかだ。
地上から天上へ、あるいは権謀と戦闘の日常から花園へ、そういう切り替えも心地よい。読み手(観客)の気持ちよいツボを憎いばかりに心得ている。
甘い夢はとことん甘く、切れるところは鋭い切れ味。姫はどこまでも可憐で、強く、いじらしい。このシャンクタラーが舞台で歌い踊るのを想像するだけで、悩ましい汗が出ちゃうよ。1600年の時を越えた誘惑光線にクラクラ。
本作は18世紀に英独仏語に翻訳され、ゲーテの「ファウスト」にも影響を与えたとのこと。さらに付録の「サンスクリッド劇入門」はこれだけで圧倒的な情報量で、当時の演劇論、芸術観まで説明されており、身分によって異なる言語が使われていてそれが一作の中にそのまま使わているなんていうのも驚き、そこまで考えてストーリーを追うなんてのはもう無理。
作品には宗教的、あるいは身分制度に基づく価値観も多く含んでいるが、それらを飛び越えて情感が伝わってくる、僕らの魂を支配するにふさわしい美の結晶でしょう。
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古代インドにおいて、文学なら劇、劇なら『シャクンタラー姫』と名声を伝えられるサンスクリット劇最大の傑作。インド第一の詩人カーリダーサ(4世紀末頃)が、その最も円熟した筆を揮ったこの戯曲は、ヨーロッパに紹介されてゲーテ『ファウスト』にも影響を与えた。訳者による「サンスクリット劇入門」を付載。
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インド文学で戯曲。やはりインドの美人の表現は面白い。最終的には一旦王様に捨てられシングルマザーになったシャクンタラー姫が、記憶を取り戻した王に再び后に迎えいれられるのだが、当時にしては新しい話運びである。
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インド第一の詩人カーリダーサ(4世紀末頃)によるサンスクリット劇最大の傑作。
プル族の王×仙女の娘シャクンタラー姫の王道えんためラブストーリー♡ コバルト少女小説にも通じるものを感じます。
動植物に愛される可憐なシャクンタラー姫のおきゃんな二人の女友だちや、道化役の王の友人、警察と漁夫のかけあいなど、いきいきとユーモアに満ちていてびっくり。そこに神や仙女、指輪や呪詛、いろいろな不思議の要素がからんできて大変に魅力的です。
王が狩りに追うのは羚羊、樹々の洞の巣に宿るのは鸚鵡のひな、マンゴーの実、沐浴塗香と蓮の葉扇の風、庭の孔雀……等々、異国情緒もたっぷりでうっとり!
シャクンタラー姫の耳飾の蓮華の花粉が、風にゆられて彼女の目先を暗くしてしまったシーンは特にロマンティック(P76:第三幕の35)。
姫がそう訴えると、王は笑みを浮べて「お差支えなければ、余が口気をもって、お目をはっきりさせて進ぜよう」と、かすかに唇の震えるいじらしい姫の顔を、二本の指でもちあげるのです(さすが後宮に百の婦人がいる王サマ!)。
そうしていいムードになり、この機会を逃しはせぬと盛った王が、純粋な姫にくちづけしようとしたところで邪魔が入るのもお約束(笑)なのでした。
作曲家カール・ゴルトマルク(Karl Goldmark)(1830-1935)による演奏会用序曲『シャクンタラー(Sakuntala )op. 13』(1865)
http://www.youtube.com/watch?v=XUvPcUz53AU&feature=youtube_gdata_player
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(訳者による「サンスクリット劇入門」よりメモ)
インドの詩論における重要な観念『ラサ(rasa)』(情調:作品から受ける快感)
※ラサは8種類
〈情調ー感情ー色彩〉
①恋情ー恋愛ー暗色
②憤激ー忿怒ー赤
③勇武ー勇気ー褐
④憎悪ー嫌悪ー青
⑤滑稽ー諧謔ー白
⑥悲愴ー悲哀ー灰
⑦奇異ー驚歎ー黄
⑧驚愕ー恐怖ー黒
……サンスクリット劇の主要なラサは「恋情」または「勇武」。つまり代表的戯曲は概して「恋愛コメディー」あるいは「英雄コメディー」の部類に属する。
サンスクリット劇の筋の仕組
※5つの状態
①発端(目的達成の欲求を起す段階)
②そのための努力
③成功への希望
④頓挫(特別の障礙さえ除かれれば成功する確信をもつ段階)
⑤目的成就
※5つの要素
①種子(筋の端緒)
②点滴(油の雫が水面に拡がるように、停頓したかに見える筋を進展させる要素)
③挿話(「旗」主筋に関係のある長い挿話)
④附随事件(主筋に関係のない挿話または短い挿話)
⑤最終の目的
※5つの連結(前記の5つの状態すなわち「5段階」と並行して)
①発端
②進展
③発展(胎)
④停滞(熟慮)
⑤大円団(=サンスクリット劇は例外なくハッピーエンド)
……筋の進行を助け、興味を添えるためには、夢・手紙・伝言・肖像・変装等を利用。
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(以下Wikipediaより引用)
カーリダーサ(कालिदास)は古代インドの作家。サンスクリット文学において最も偉大な詩人,劇作家と考えられている。
『シャクンタラー』は、インドのカーリダーサによる戯曲(正式な題名は『アビジュニャーナ・シャークンタラ』( अभिज्ञानशाकुन्तल Abhijñānaśākuntala 「思出の品により回復されたシャクンタラー」)。
カーリダーサの戯曲としてもっとも有名であるだけでなく,サンスクリット劇の最大傑作と認められており,また西洋に紹介された最初のサンスクリット文学のひとつであった。
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図書館で借りた。
何千年も前から存在する、伝説の叙事詩。インドでは劇になり、ドラマになり、アニメとなり老若男女皆知っている物語・ラブストーリー。もちろん、Youtubeでもたくさん見つかる。
ミュージカルの台本が元なのだろうか?折々に入る「ここで退場」といった文とか、突然五七調になりスペースが入っている。そのあたりはよく分からなかった。
前提知識があるので、物語の流れは分かったが、前提知識無しでは読めなかったかもしれない。私には難しいと感じた。