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30年も前に出版された本なので、
現在の状況とは大幅に異なる。
けれども、図書館の基本的な部分などは
押さえていると思うし、
図書館の歴史的な流れも分かると思うので、
やはり図書館員としては一読すべきだと思う。
現在の状況に合わない部分は斜め読み可。
中小レポートと合わせて読みたい。
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この本、かなり古い。
増補版と書かれているが、増補されたのが昭和51年。
私はまだ生まれていない。
30年近くも経てば、状況もいろいろ変わってくる。
この本を読んでいてもそれは感じられる。
この本にはコンピューターの姿は一切確認できない。
貸し出し法も、バーコード読み取り式ではなく、
カードにハンコを押して管理する、昔の方式が紹介されている。
他にも、障害者の図書館利用についての記述はあるが、
日本人以外、外国人の図書館利用についての記述は一切ない。
改めてこの問題が最近になって初めて問題になったということが分かる。
当然、提示されているデータも古いのだろう。
もうそろそろ更なる増補が必要なのではないだろうか。
………
実はこの本、図書館の事務室に置いてありました。
図書館のあるべき姿について書かれた本だからでしょうか。
確かに内容は古いのですが、基本的な理念は変わらないのでしょう。
しかし、それにしても、あまりに古い。
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持ってるけどマトモに読んで無い本。昔の図書館の状況やらが分かる。教科書系の本読むよりはわかりやすいし、図書館の現実が分かると思う。
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“利用がほとんど期待できない図書と入手不可能な図書を他館から借用する。現在、求める図書をどの図書館が持っているかを知るのは不可能に近いが、まず県立図書館に依頼し、なければ国立国会図書館に依頼する。借用に当たっては貸出館の規定に従う。”[P.66]
1976年。
“目の不自由な人々は、公共図書館で自由に録音サービスが受けられるように、法改正を求めている。これまでに、著作権法に関連するトラブルも若干生じているが、図書館としては著作権者の許諾をきちんと得るように、また問合せなどの際に、礼を失しない態度が必要である。”[P.165]
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有名らしいし、『図書館員への招待 四訂版』(塩見昇、教育史料出版会、2012年)で紹介されていたので、図書館で借りた
昭和43年から始まった「公共図書館振興プロジェクト」の成果であり、図書館を市民のものにするには、どのように考えて取り組むべきかを明らかにした本(1970年発行の増補版)
はじめから「公共図書館は, 住民が住民自身のために, 住民自身が維持している機関である」と記載されていて、目の前がひらけたような気がした
今まで、「知る権利」ということばの表面しか理解していなかったし、自身も税金を払っているし図書館を利用しようと考えていただけだった
昔の図書館は、閉塞的で一部の人のための場所になってしまっていたらしい
その状態を改善するための気概を感じる内容で、先人の図書館員の試行錯誤と努力のたまものが、現在の図書館なのだと、少し感動した
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定期的に読みなおしとく本。
・・・あれ、でも未登録ってことはちゃんと登録はしてなかったのか・・・?
1970年にこれの初版が出たったのは重大事だったんだろうなというか、あらためて良い本である。
岡本さんも新著で言っているが、これの更新版が(いろいろ報告書類とか政策文書はあったんだけれども、ここまでの影響力を発揮するのが)ないというか、ここまで力強く話をぶちあげられるのがなかなかない、ってのはどうにかしないといけないのかも。
時代も時代というか、成長期だからこそ華々しいことが言えるところもあるんだと思うし、ある程度成熟したからこそこんなに話を絞りづらいというのもあろうし・・・と考えだすと単純じゃないだろうとも思うんだけど。
この本も、公共図書館における組織はずばっと切り捨てちゃってるところ(特に分類)はあるし、それで良かったんだけれども今はそれでいいんだろうかとか。
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日本図書館協会編『市民の図書館 増補版』(日本図書館協会)
1970.5.30初版発行
1976.5.1増補版発行
2021.11.9読了
戦後、連合軍総司令部民間情報教育局(CIE)の指導のもと、国民誰もが無料で使える近代的な図書館が1950年に誕生した。
しかしながら、戦後の復興間もない頃で、図書館に回せる資金も当然ながらなく、しばらくは館内閲覧、保存業務中心の図書館運営が続いた。
最初の転機は1963年に刊行された『中小都市における公共図書館の運営』(通称:中小レポート)である。今後の図書館運営は貸出サービスにあると宣言し、次なる時代のビジョンを示した。
その意思を実践で示したのが日野市立図書館初代館長、前川恒雄氏である。たった一台の移動図書館「ひまわり号」を市内中引き回し、市民の潜在需要を数字で顕在化させた。
日野市立図書館の成功を見て、日本図書館協会は1968年から「公共図書館振興プロジェクト」を推進し、全国各地で好事例の紹介や啓蒙活動を行った。その集大成としてまとめられたのが本書『市民の図書館』である。
最も身近な図書館である市町村立図書館に焦点を置き、図書館が今やるべきこととして、①貸出サービス②児童サービス③全域サービスの三点を挙げた。
本書は図書館関係者だけでなく、市民にも広く読まれ、全国各地で図書館の住民運動が沸き起こった。地方自治体もようやく重い腰を上げ、全国各地に市町村立図書館が設置されるようになった――
あれから約50年。公共図書館は3200館を超すに至り、『市民の図書館』の目標は見事達成したかに見える。しかし、市立図書館の設置率は確かにほぼ100%を達成したが、町立図書館では65%、村立図書館では28%にすぎない(日本の図書館―統計と名簿 2020)。バブル崩壊による地方財政の悪化や平成の市町村大合併により、図書館サービスの民営化が進み、最近では統廃合もちらほらと耳にするようになった。
徒歩圏内に気軽に立ち寄れる図書館があるというのは素晴らしいことだと思うが、残念なことに今のご時世は、何でも短期に数字で結果を出さないと生き残れないのである。
貸出件数を増やしたければ、ベストセラー本を並べればよい。エンターテインメント小説は人生に必要不可欠だが、それだけでは図書館の機能として寂しい。市民の知る自由を守るという図書館の理念は普遍的なものだ。市民の知る自由を保障するものは図書館以外にも存在するが、この膨大な情報が氾濫する情報通信社会の中では、情報の正誤を見極め、必要かつ正確な情報を的確に収集する力が物を言う。
アナログ時代、図書を収集し、分類し、整備することに長けていた図書館は、デジタル時代の生存戦略を立てなければならない。新たなビジョンが必要なのだ。根本はやはり市民の潜在需要の発掘である。
思うに、今、SNSを含めたインターネットとの付き合い方に戸惑う人が増えているのではなかろうか。フィルターバブルの外に出て、本当のことが知りたいと感じている人はいないだろうか。
図書館は氾濫する情報の中でその役割を失っている。結果的に、市��生活から遊離した施設になりつつある。
あらゆる情報を使いこなすスペシャリストとして、情報の一歩外側に立つ施設としての図書館像を描きたい。この際、図書館という名を捨て、図書情報館という名にしてもいい。図書館員が「パソコンは苦手」と言っているようでは、もはや通用しない時代がやってくるかもしれない。情報プロフェッショナルとして英語などの能力も求められるだろう。正規職員にそのスキルがなければ、図書館は自然と淘汰されていく。公共サービスは公益を優先できる組織団体が運営をして然るべきだが、民間資源を活用しなければならないのが今の現状である。
法改正を前提にした新たなスキームが必要だ。
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いわゆる中小レポートと同じく、日本の公共図書館が進展を遂げるに到った契機となった本である。手段としての貸出の重要さが目的となってしまった弊害については多くの方々が指摘しているところである。しかし、これからの図書館を考えるうえでもよく読まれなければならない。貸出の先にあった理念を今の視点から見直すために。