紙の本
緻密な伏線
2004/08/25 20:32
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投稿者:死せる詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
やかまし屋の名探偵ヘンリ・メリヴェール卿が活躍するシリーズです。何よりも本書は、その密室トリックが有名です。また本書の、結末に至る道筋はカーという作家の緻密さを表わしているように思えます。
まず伏線の張り方が上手です。地の文だけでなく、登場人物の発言一つとっても非常に考え抜かれているように感じます。状況と登場人物の動きがトリック解決に綿密に関係していて、最後の部分でそれらが一挙に明かされるのは爽快です。
いつものドタバタ劇も健在で、メリヴェール卿はのっけから大蛇とのチキンレースを展開しています。また本書には、極めて性根の悪い女商人が登場するのですが、これがなんとも嫌らしく描かれています。カーは文章ではなくプロットで勝負する作家だと思われがちですが、なかなかどうして人物描写も上手です。
何より本書で使われている密室トリックは、構造としては単純で、とても簡単に理解できるものです。そう言った意味でカー最初の一冊には丁度良いのでは無いでしょうか。
紙の本
魅力的なメリヴェール卿
2021/07/18 10:42
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
探偵ヘンリーメリヴェール卿の魅力が詰まった一冊。冒頭から爬虫類館での冒頭のドタバタの様子は面白く、そこから流れるように密室殺人事件が発生。1940年代の作品ということで、戦時体制下で空爆をうけているため、作品の中でも灯りが漏れないよう灯火管制が敷かれているのが特徴的。トリックや犯人が誰かというよりも、メリヴェール卿の犯人への仕返しが痛快なストーリーでした。
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原題は、『彼が蛇を殺すはずはない』――すべての推理はここから始まっている。目張り密室にする必然性があったのかは甚だ疑問だが、それでも作者は完全なる密室に真正面から勝負を挑んでいる。正々堂々と、そしてくそ真面目に。密室トリックのあるべき姿というのは、本来こういうものではなかったのか、と考えさせられる部分がなくもない。そしてもうひとつの良さは、H.M卿の魅力が存分に味わえる点。苦手な蛇に囲まれ辛辣な口調でいつもの皮肉をわめいているが、照れ屋で優しい素顔が垣間見えるのもファンにとっては嬉しいところ。ラストは、恥ずかしくなるくらいキレイにまとめすぎた感もあるが、事件と並行してもうひとつのストーリーも進行しているから、それはそれで納得することにする。そのストーリーも放置することなく拾い上げて、推理の重要な部分を任せているのはさすがだと思った。
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H・Mシリーズ
爬虫類館での出会い。対立マジシャン一家の息子ケアリ・クイントと娘マッジ・パリサー会談。飼育員との喧嘩。逃げ出した大トカゲ。H・Mの逃走。自宅で殺害された動物園の園長ネッド・ペントン。がむrで目張りされた部屋の名でのガス中毒。ペントンが購入しようとしていた蛇。蛇の売人のアグネス・ノーブル。犯人に狙われるマッジ。キングコブラ対H・M。事件直前にヘンリー卿達が聞いた真空掃除機の音と事件の関係。
2002年4月5日読了
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強烈なH・M卿を堪能できる
ファン垂涎ものの作品。
特に彼の本領は最後の犯人を追い詰めるときに
フルに発揮されます。
まあそのせいで犯行よりも
H・M卿になってしまうのは
否めないのですが…
犯人は推理が割と容易な部類に
入ります。
せいぜい迷うのは二人程度です。
でもここで素直に引き下がらないのが犯人。
なんとH・M卿に噛み付いてくるんです。
まあその結末は予想通り。
バンコラン張りですな。
残酷面むき出しでありました。
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ヘンリ・メルヴィル卿シリーズ。第二次世界大戦下のロンドンを舞台に繰り広げられるミステリ。なんとなくタイトルからはおどろおどろしたものを想像したのですが、案外とスラップスティック調で明るい物語といった印象。ケアリとマッジのあまり甘くない(笑)ロマンス物語も読みどころでしょうか。
この密室トリックはあれですね、他でもいろいろ見かけた気がするのですが。そのための伏線が綿密だったので、早々に見当はついたものの充分に楽しめました。そうか、この時代設定もこのためのものだったのか!
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探偵ヘンリーメリヴェール卿の魅力が詰まった一冊。冒頭から爬虫類館での冒頭のドタバタの様子は面白く、そこから流れるように密室殺人事件が発生。1940年代の作品ということで、戦時体制下で空爆をうけているため、作品の中でも灯りが漏れないよう灯火管制が敷かれているのが特徴的。トリックや犯人が誰かというよりも、メリヴェール卿の犯人への仕返しが痛快なストーリーでした。