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忘れられた日本人 みんなのレビュー

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みんなのレビュー175件

みんなの評価4.3

評価内訳

172 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

昔の日本人の生活ぶり

2009/03/14 11:23

20人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

忘れられた日本人 宮本常一(つねいち) 岩波文庫

 作者は民俗学者で小学校の先生だったそうです。昭和56年に亡くなっていますが、本は48刷まで発行され続けています。
 もう60年ぐらい前の日本各地の生活について、古老から聞いた話が綴られています。地域の決め事は全員が賛成するまで延々と何日もかけて話し合われるとか、こどもをもらったりもらわれたりとか、おおらかな男女の関係とか、興味深いものです。
 現代人が知らない日本人のかつての姿があります。進歩の影で、退化していくものがある。退化によって、人間という生物は滅んでいく。現代人に対する警告でしょうか。

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紙の本

私のひいばあちゃんは、ずいぶんと違う世界に暮らしていたのだ

2007/09/17 22:39

12人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mikan - この投稿者のレビュー一覧を見る

文字のない世界。記録されることのほとんどなかった、日本の農漁村の人々と習俗。
「日本人」プラス「忘れられた」というタイトルは、今の時代では色々と説教臭い意味を付けられてしまいそうですが、ここではシンプルにそういうことを指しているのだと思う。たいていの日本人のご先祖様がおくった田舎の暮らしは、記録しなければあっという間に忘れられてしまう性質のものだったのだ。
宮本常一が老人たちを取材したのは昭和10~20年代。ちょうど、私のひいばあちゃんの世代だから、たいして古い話でもない。それなのに、全然違う。働き方も、楽しみ方も、人と人とのかかわり方も。

娘たちは、世間を知るため、身一つで旅に出た。ひたすら歩いて、宿は毎日民家。どこでも皆親切で、帰る頃には出かけた時より手持ちのお金が多かった。旅の文化や言葉を身につけて、地元でひけらかすのが娘たちの一つのほこりだった。

男と女が歌のかけあいをする歌垣もあった。最後には男は女にそのからだをかけさせる。声のよい若者は、これという美女とはほとんど契りを結んだという。

港をひらくというのは、港のなかにごろごろしている大石を2艘の船にくくりつけて、潮の満干ごとに1個ずつ運び出すということ。漁の合間の根気仕事で、ついには立派な港をひらいてしまった。

山の道は、木がおおいかぶさって見通しのきかない細道。馬蹄の跡を探して進む。歌を歌って、お互いの存在や行き先を知らせる。

飢饉の年には稗や稗糠を食べた。ひりすてた糞は、雨風にさらされてくさみ・ねばりがとれたら、もとの稗糠に戻ってしまった。消化などせず、腹の中を通り過ぎただけだったのだ。

夜這いのテクニックもすごい。「通りあわせて声をかけて、冗談の二つ三つに相手がうけ答えをすれば気のある証拠、夜になれば押しかければよい。音のせんように戸をあけるには、しきいへ小便すればよい。闇の中で娘と男を見分けるのは何でもないことで、びんつけの匂いでわかる」とな。


…あちこち知らないことだらけ。苦労も差別もあるけれど、「素朴でエネルギッシュな明るさ」と宮本常一は書いている。そんな気分に、話し手たちの口調を生かした文章が加わって、記録というより、力のあるブンガク作品という感じで読みました。この口調はなんと言うか良いです。この言葉に触れるために、これからも読み返してしまいそうな一冊です。

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紙の本

滋味に富む食事のような。

2004/08/15 10:38

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とりふね - この投稿者のレビュー一覧を見る

友人に強く奨められて読む。
さすが
私の好きな岩波文庫第7位にランクされるだけのことはある。
圧倒的な「書物」としての存在感。

土佐の山中の乞食小屋に住む盲目の元ばくろうが語った
「土佐源氏」の女性とのマグワイの数々もすごいが、
(映画にしたらおもしろいだろうな)
わたしがとても強くひきつけられたのは
冒頭「対馬にて」の「寄り合い」の方法だ。

今のわれわれの国や組織の物事の決め方とは劇的に違っていて
それは感動的といってもいいほどだった。

もちろん小さな共同体だから可能な方法だとも言えるのだろうが、
一見雑談のようなその話し合いは、大勢の人間が何日も時間をかけて行う。
協議は区長と地域組とのあいだをなんども往復し、
時々に議題はうつりゆき、また元に戻り、
多くの人がそれに関わる過去の体験を持ちより、
やがてゆっくりとひとつの結論に収斂してゆく。

強引な結論は決定後の齟齬を生む。
小さな共同体においてそれは致命的なことだ。
(国家や地球規模で言っても実はそれは致命的なはずだ。
ただその齟齬をないものとして次に進んでゆくだけなのだ。)
対馬の人々が自然にとってきた賢明な方法から
「場のはたらき」ということを考え、
「時が熟す」ということばを思った。
また、「時が熟す」のにじっと寄り添って、
そこに隠された哲学とも呼ぶべきものを
ていねいに拾い上げた著者の精神の深さを感じた。

素朴な食材だが滋味に富む食事を味わっていただいたような読後感である。

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紙の本

昔、こんな日本人たちが暮らしていたとは、面白く、哀しく、嬉しいやら。

2003/12/01 22:20

8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る

西日本を中心として宮本常一が歩いて廻った村村の聞き取りが盛り込んであるが、どこもかしこも面白い話ばかりであった。
 この本の中には「夜這い」という今では死語になってしまった事実が生き生きと描写され、昔の日本はフリーセックスの国であったことが分かる。31ページには対馬の六観音まいりと称しての身体をかけての歌合戦が行なわれているのには微笑ましいやら、羨ましいやらであった。娯楽の少なかった当時としては、セックスも遊びのひとつだったのだろうか。
「芸は身を助ける」という言葉があるが、実際に一芸に秀でた芸人たちは長い船旅の間に乗船客に芸を披露することで乗船賃が無料というのには感心するしかなかった。
 本書の中でほろりときたのが土佐源氏の章、146ページから始まるところである。牛を商う男が得意先の身分の高い官人の嫁さんに惚れるのであるが、互いに身分の差も構わずに愛し合うところである。小説の一場面を読んでいるような錯覚さえ覚えた。
 また、GHQの功績ともいわれる農地解放が農林省主導で戦時中に行なわれていたのが298ページに出ているが、農地解放は日本が弾丸を込め、アメリカが引き金を引いたというものである。
 面白かった。こんなに個性溢れる日本人が居たとは、ただただ面白かった。

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紙の本

知らなかった日本

2017/12/17 23:15

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しょひょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

書名に惹かれて、何となく手に取った本だが、読む前とは少し違った自分を感じる。

民俗学者の宮本常一が昭和前半に西日本を中心に旅をして、各地の老人から聞いた話をまとめたもの。昭和前半に老人だった者の子供の頃(すなわち明治頃)の山里の村々の風習、風俗、日々の暮らしが語られている。

寄り合い、夜這い、隠居、本家・分家、今となっては昔話の民話のような暮らしが、今から100年あまり前まで、確かに日本にあったのだ、ということを感じさせられる。

21世紀の都会で暮らす身からすると、「忘れられた日本」というよりも「知らなかった日本」であった。
その頃が良かった、というような懐古主義ではないが、何か大事なものを忘れてきてしまったのではないか、という気にさせられる。私たちの数世代前の先祖の暮らしぶりを語り継ぐ本として、今後も多くの人に読み続けられて欲しいと思う話だった。

お薦め。

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紙の本

名もなき民衆への讃歌

2015/04/30 23:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る

タイトルの「忘れられた日本人」はおそらく、日本の名もなき普通の人々というほどの意味であろう。自身の祖父について語った「私の祖父」の冒頭にある「周囲の人から見ればきわめて平凡な人であった」がそれを象徴している。これは、民俗学者の宮本常一が戦前戦後と各地の農村でおこなった調査の中で出会った、平凡だが愛すべき人々の記録である。日本に村落共同社会が残っていた頃の人々の生活が生き生きと描かれている。
 とりわけ百姓たちの性生活が赤裸々に語られる「女の世間」には度肝を抜かれる。かつてどの村でもあった夜這いの風習をはじめ、スケベ男を退散させた女のあっぱれな武勇伝など、田植えの際に女たちが交わした猥談を中心にまとめたこの報告は、昔の農村が味気ない、因習にとらわれた閉鎖的社会であるというわれわれが陥りがちな固定観念を覆すものである。ここからは、戦後、都市の若者がフリーセックスを叫ぶよりずっと前から、農村ではおおらかで開放的な性を楽しみ、そこから自然に結婚、家族へと移行してゆく社会システムが構築されていたことがわかる。罪もけがれもないエデンの園のような風景を思い描きながら、「女たちのはなしをきいていてエロ話がいけないのではなく、エロ話をゆがめている何ものかがいけないのだとしみじみ思うのである」という結びには思わず頷いた。
 本書中際立った美しさを放つのは、高知県で博労(牛の世話や周旋をする職業)をしていた盲目の乞食老人の告白である。物心ついたときから女を「かまう」ことを覚え、次から次へといろいろな女と関係をもった彼の愛し方は、決して威圧的なものではなく、常に女をいとおしみ、相手に身を尽くす性質のものであった。かまった相手の中には役人や県会議員の妻もいたが、自らを卑下しつつ、女の境遇に共感をもって接してくれる優しさに彼女たちも惹かれたようである。男は、いつも最後はこれら高貴な女性から身を引くものの、彼女たちを忘れたことはなかった。一人が病気で死んだと聞いたときなど、幾日も泣き通したという。
 三十年前、「極道のむくい」で目がつぶれてからは女房と暮らし、その介護を受けながら人からものをめぐんでもらう生活を続けている。光を失った彼の脳裏によみがえるのも、かつて「かまった」女たちのようだ。「ああ、目の見えぬ三十年は長うもあり、みじこうもあった。かもうた女のことを思い出してのう。どの女もみなやさしいええ女じゃった」。
 このように貧しくみじめな老人だが、不思議とその姿は、懲りもせずひたすら女を愛し続けたあの物語の主人公と重なり合う。天上人の彼と社会の最下層で這い回る盲目の物乞いとでは雲泥の差がありそうだが、「女ちうもんは気の毒なもんじゃ。女は男の気持になっていたわってくれるが、男は女の気持になってかわいがる者がめったにないけえのう。とにかく女だけはいたわってあげなされ。かけた情は忘れるもんじゃァない」と、無限のやさしさを女性にそそぐことに半生をかけたこのプレイボーイを、宮本は「土佐源氏」と名づける。
 もちろん本書で語られるのは、性ばかりではない。ひたすら仕事に打ち込んだ、朴訥とした、それでいて情熱的な人びとの生きざまも描かれている。どれも、歴史=進歩と見なす戦後のマルクス史観隆盛のもとでは、悲惨と矛盾の象徴として描かれることの多かった農村とそこに生きた名もなき民衆をたたえる讃歌である。

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「仄暗い実話」の数々

2001/12/10 06:44

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:三中信宏 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書のすべては実話なのだが,まさに民話のようだ.聞き取りをした著者の表現が魅力的なことももちろんだが,話し手の話力がとりわけ印象的.同時代にタイムスリップできたとしたら,さしずめ「現代民話」集とでも呼べるものなのかもしれない.「土佐源氏」や「土佐寺川夜話」が漂わせる仄暗さは,最近経験したことのないタイプのものだ.
 宮本常一は,「私の祖父」や「世間師」では舞台上で自らを語っているが,それを除けば,背景で歩き回りながら黒衣に徹している.
 今の社会に残されている「現代民話」も,あと数十年もすれば,こういう色合いが着いてくるのか,それとも消えていくだけか.

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【目次】
凡例 5
対馬にて 11
村の寄り合い 36
名倉談義 59
子供をさがす 100
女の世間 105
土佐源氏 131
土佐寺川夜話 159
梶田富五郎翁 171
私の祖父 193
世間師(一) 214
世間師(二) 238
文字をもつ伝承者(一) 260
文字をもつ伝承者(二) 282
あとがき 304
注(田村善次郎) 311
解説(網野善彦) 321

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紙の本

日本各地を旅し、調査してきた宮本民俗学の代表作です!

2020/04/29 09:38

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、我が国の民俗学者であった宮本常一氏によって著された日本各地において古くからの伝承などを受け継いできた老人たちの生活とその歴史を生き生きと描いた一冊です。宮本氏は、柳田国男氏や渋沢敬三氏の指導下で、生涯日本各地を旅し、各地の民間伝承を克明に調査したきた人物です。こうした調査の中で、延々と語り継がれてきた各地の民話や伝承を正確に受け継ぎ、後世に伝えていこうとする老人たちの生活や環境に触れ、それとともに彼らの歴史をライフストーリーとして描いたのが同書です。宮本民俗学の代表作とも言われる同書をぜひ、一度はお読みください。

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2005/07/30 21:26

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2006/01/29 21:54

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2006/07/16 19:05

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2006/10/06 00:15

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2006/10/16 15:38

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2006/10/28 21:06

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2006/12/03 14:01

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