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まさに名作。「竜の卵(R.L.フォワードだったかな?)」を思い出した。チーラだったっけ? 時間が速いため、あっという間に人類を超える知能を持つにいたる超重力下のお話。あの原点はここにあったんだなぁと思う。
宇宙生物をいきなり主役に持ってくる文体、一人称で書きながら人類が少し遅れて登場するあたり、1950年代とは思えない大胆さというか緻密さというか、要するにダイナミックな筆遣いだ。
後書きになるだろう物語の舞台となる「メスクリン創世記(伊藤典夫訳)」もすばらしい。本音を言うと、こっちのほうが心に残るといえる。アシモフとアイデアを練ったというこの超重力環境をまじめに設定しているさまが図解とともに解説されている。貴重な資料だ。「梅田地下オデッセイ(堀晃)」みたいだなぁ。
さらに解説は福島正実。本文は浅倉久志だから、日本SFの大御所大集合だ。かなり古い本を隣町の図書館で借りたのだが、新訳があればとも思うなぁ。いい作品だもの。
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惑星的なスケールのハード力学、民俗学が随所に見られる、(古き)良きSF。
最後も捻りがきいている。
表紙が少し気持ち悪い
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地球人類にとっては想像を絶する高重力の惑星・メスクリン。高重力下の環境を観測するべく人類が発出した観測ロケットが不測の事態で故障し、重要なデータを回収できなくなった人類は、メスクリン土着の原住民に協力を依頼した。地球人類の観点では中世程度の文明を築いているメスクリン文明において、地球人類の呼びかけに応じたメスクリン人・バーレナンとその仲間たち、そして彼らに協力する地球人類の混成チームによる大冒険が今ここに幕を開ける。メスクリン人にとっても未開の地にある観測ロケットのデータ回収を成し遂げることはできるのか?作戦の裏に秘められた、バーレナンの企みとは??
良いですねー!これぞSF!
初出は1954年、60年以上前の作品です。
が、SFとしてのこの瑞々しさ!当時の科学考証において「嘘をついていない」、ハードSFとしての立ち位置の確かさ!古き良きSFの大雑把さもありますが、今でも十分鑑賞に堪える傑作です。
異星人であるはずのバーレナンはじめとするメスクリン人の価値観が、地球人類とあまりにも似通っているという欠点は、確かにあります。でも、それを差し引いても、バーレナンをはじめとするメスクリン人たちのチャーミングさ!彼らの内面にまで踏み込んだ描写が、物語世界にぐいぐいと引き込まれるファクターとなります。
そして何よりも、リアルな科学理論に立脚して想像力を広げるハードSFとしての完成度の高さ、「科学的にウソをつかない」約束を守りつつ描き出される異形の世界の躍動感。冒頭の嵐のシーンを読んだだけで、この物語の舞台が高重力の世界であること、メタンが液体として存在する即ち極低温の世界であることが、すんなりと理解できます。高校の物理レベルで問題なく理解できる内容です。
この作品を面白いと思えるかどうかが、ハードSF読みとなれるか否か、の試金石になるかもしれません。
これからSFを読もうと思っている若き読書子には、直球でおススメできます。古書店で邂逅できたら、ぜひ!
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異星人重力の原型
表紙 8点木嶋 俊
展開 9点1954年著作
文章 8点
内容 750点
合計 775点