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古い本を読んでいたら巻末の宣伝に載っているタイトルが気になったので
取り寄せた。
映画を観にいって予告編が気になって、後日……というのに似ている。
さて、タイトルにまんまと引っ掛かって購入しましたが
この作品に吸血鬼は登場しません、トホホ。
細かい問題ですが、
Amazon登録上「吸血鬼」のルビが「ピオウラ」になっていますけれども、
本体をよく見ると正しくは「ピオヴラ」。
綴りは恐らく piovra で、これはタコですよね、蛸。
深海生物コウモリダコ(Vampyroteuthis)の連想かな。
もっとも正確にはイカの仲間だそうですが。
これは事件の仕掛け人のコードネームです。
原題は L'appuntamento americano なので
「アメリカ(で)の逢い引き」なんでしょうか。
原著の書影を見ると、そんな感じ。
https://www.maremagnum.com/libri-antichi/l-appuntamento-americano/146090360
画像、上の男性が主人公ラウール、
下の女性が彼の厄介な相棒となるエルサのイメージですね。
ラウール側の「鷲」はドイツ、
エルサ側の「星」はアメリカを表しているのでしょう。
主人公は家庭環境に恵まれなかったため「陰欝な美青年」の一種に
仕上がってしまったイタリア人青年で雑誌記者のラウール・レーヴィ。
イタリア人らしくない暗いヤツだが、
自分がそこそこの男前だという自覚はあるらしい。
彼は上司から奇妙な任務を与えられ、それをきっかけに
ある政治上の陰謀に巻き込まれます。
あからさまなハニートラップにわざと引っ掛かってやったものの、
相手も理不尽な状況に置かれて不安を抱えているのを察して
連帯感を覚え、熱烈に恋してしまったー! というムードには
ならないけれど――何しろ虚無的で陰欝な美青年だから(笑)――
彼女を守らなければ、彼女の安全が一番大事、と考えるようになります。
で、イタリア、ドイツ、スイス、アメリカをバタバタ動き回る、と。
一応ミステリの括りに入るらしいですが、私にはそう思えなかった。
恋愛サスペンスっぽかったです。
期待した内容と全然違う、違い過ぎて一周回って結構面白いという珍現象。
興味のない二時間ドラマをボーっと観ていたら意外にハマった、
みたいな読書体験でした。
これだから古本漁りはやめられないのよ。