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インド文化研究家の著者が、知人を経て知り合った岸田今日子、吉行和子をインドに案内した紀行。書題は同行した岸田さんの娘・まゆちゃんが、あまりのカレー料理の応酬に発した言葉からとったもの。これに限らず、見出しは各人のユニークな発言からつけられている。「あら、インドへ着いちゃったのかしら」「好きよこういうの、本当に好き!」「渋谷にいるラクダを全然違うんじゃない?」といった具合。
傍若無人な二人の女優は遺跡や観光地らしいところはまっぴらごめん。自由と自決を愛し、市井を好む二人との旅は、それこそ理と知でインドを回ってきた著者にとっても刺激になった様子。
旅をともにし、だんだん著者との仲が深まっていったということなのか、後半で岸田さん、吉行さんそれぞれの来し方を振り返りつつ生きるうえでの信条を著者に語るような箇所があって、そこがなかなかよかった。二人とも、自分で納得して生きていくことを是としていて、そこから被る不利は甘んじて受けるような感じがいいなと思った。
1985年当時の二人の写真は、インドが舞台ということもあってか、岸田さんはエキゾチック、吉行さんは黒髪美女という感じで、自分がテレビなどで見知っていた二人とはちょっと違う感じ。