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紙の本
正直に言う。私には良さが分からない。
2006/09/06 21:00
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治は好きだ。『斜陽』や『人間失格』のような作品も、『走れメロス』や『駈込み訴え』も素晴らしい。虚飾を廃したすっきりとした彼の文体に魅せられる。でも、『富嶽百景』の良さが分からない。最初に出会ったのは、中学か高校の教科書だったと思う。有名な「富士には月見草がよく似合ふ」という文に合わせてか富士をバックにした月見草の写真が記憶に残っている。
私もかなり躁鬱の気があるので、太宰の心の流れはよく分かる。でも、文学作品としての価値がどこにあるのかが分からない。文章のうまい鬱病患者の快復記。私が太宰ならばあとで読み返したとき自己嫌悪に陥るのではないかと思う。自分の才能のなさをさらけ出すようで恥ずかしいが、ある年齢に達すれば分かるのではと、その後何度も読み直し現在に至るが、分からないのである。
(他の収録作品は素晴らしいので★は5つである。)
紙の本
テンションの人、天性の作家
2004/02/29 01:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「富岳百景」は名作である。
ただし、『人間失格』をはじめとする、太宰治の実人生の情報を加味して読まれてきた、そんな読み方とは無縁なところに、この小説の面白さがあり、「私」をめぐる心境の「ひだ」を読むことこそ、この小説にふさわしい読書であると思う。
「富岳百景」は、たとえば「走れメロス」のようなわかりやすストーリーをもたず、むしろ随筆的な装いを持つが、それでいて、いくつかの規則を持ち合わせ、微細ながらもプロットの力学に沿って小説は展開し、そして、ある種の「イニシエーション」として、「私」は変貌を遂げて御坂峠をおりることになる。
その才、注目すべきは、行間というか、プロット展開の「すきま」であろう。ささいなことに「私」は過剰に反応し、一挙につながらないものが繋がっていく。このテンションは、太宰治特有のものである。くじけかたも、そこからの回復の仕方も、とにかく大げさなのだ。しかも、ていねいに読めば、その展開を保証する細部が書き込まれてもいる。その「ひだ」を追っていくとき、「富岳百景」は、「人の情」に癒され、それでいて他者への依存を断ち切り、富士への親しみを「過渡期」の思い出として捨て去ることで、新たな世界に立ち向かう「私」の姿を鮮やかに浮かび上がらせるだろう。
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川端康成氏が絶賛した「女生徒」
2022/09/06 12:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題の2作品を含む10の短編が収録されている、1933年初出の「魚服記」、1934年初出の「ロマネスク」から1941年の「東京八景」まで。1938年に井伏鱒二氏の紹介で見合い結婚をされているから、その前後の作品ということになるが、「富嶽百景」「女生徒」「八十八夜」「きりぎりす」「東京八景」と私が大好きな小説、さすがは短編小説の名手といわれるだけのことがある小説が新婚時代に集中していることがなんだかうれしい。川端康成氏はかつて「作者、目下の生活に厭な雲あり」と太宰氏を酷評したが「女生徒」に対しては「このやうな作品に出会へることは、時評家の偶然の幸運なのである」と絶賛したという、私もこの作品が好きだ
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富嶽百景
2002/03/14 13:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポンタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
富嶽百景は間違いなく傑作だと思う。作品を読んでいると、富士の感触が此方の方までありありと伝わってくる。長くはないが、よく整っていて、描写も綺麗。たしか井伏鱒二氏も出てくる。