投稿元:
レビューを見る
川の三部作といわれている宮本輝の代表的な本の一冊です。大阪ミナミの歓楽街、道頓堀界隈は、人間の哀しさを奥深く隠し秘めたこの街の一角で、喫茶店を営む武内の半生、奔放に生きた過去を今もなおひきずり、嫉妬と未練と憤怒に塗り込められている
「ヒネリの鉄」の異名をとり無類の玉突き師として、その世界の陰の部分で名を馳せた終戦後の一時期に闇市で妻・鈴子と出会う。一家離散を占い的中させた得体の知れない易者杉山の出現、まもなく訪れた妻の裏切り、別れ、再開、妻の死。店の二階に住み込んだアルバイト学生邦彦とは不思議に心が通いあうが、彼もまた両親を亡くした孤独な青年だった。歓楽街を舞台に人間群像を描く、感動の長編力作
投稿元:
レビューを見る
何回も読み返してしまう「泥の河」だけでなく、「蛍川」に「道頓堀川」までも…!素敵すぎる一冊。橋爪功朗読の新潮CD「泥の河」も是非!!
投稿元:
レビューを見る
昭和のちょっと裏側を覗く感じだろうか?
かなり印象に残る。
特に泥の河。
少年の友情の切なさ。大人のしんどさ。。。
投稿元:
レビューを見る
一番好きなのは「道頓堀川」。緑の色が鮮烈に心に残る。
人間関係の絡み、展開にため息をつく暇もない。
初期の作品は本当にいい。名作。
投稿元:
レビューを見る
普通の生活の話なんだけど、何か違ってて、でもそれが想像できた。
うまく説明できないけど好きだなぁーって思った。特に泥の河。
投稿元:
レビューを見る
「錦繍」を読んで以来、宮本輝さん大好きです。「螢川」は富山を舞台に、思春期の少年が出会う恋や友情、そして別れを深い情感で描き出した物語。この懐かしさと泥臭さがたまらん!
投稿元:
レビューを見る
『春情蛸の足』に続いて、大阪弁の小説でした。なんかやっぱり不思議な感じ。
道頓堀川が一番面白かったかな。
投稿元:
レビューを見る
情景描写が物凄く上手い。色彩的で艶やか。大阪の良くも悪くも治安が悪くって、下賎な所を艶かしく表現している
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに小説を読んだって感じ。昔の街の空気と人間臭さに圧倒された。
ただ、主人公たちが子供~青年で、読者の自分は少し客観的な立ち位置に留まる。もっと若い時に読むべきだった(・・;)
投稿元:
レビューを見る
心底、名作だと思う。特に「泥の河」は良かった。風景描写から浮かび上がる心情。回想シーンの叙情。人物描写を読みながら自分自身の半生にまで思いが及んでいく。思いが広がりながらまた小説の中へと戻り、じっくり時間をかけて読んだ。登場人物が人生の来し方を省みる時、感傷的な気持ちでいっぱいになるのはなぜだろう?突拍子も無くキテレツなことを考えた。もし自分の日常や人生を文章にしてもらうとしたら、宮本輝さんにお願いしたい。なんていう妄想を(笑)
投稿元:
レビューを見る
太宰治賞や芥川賞を受賞した川三部作。時代背景が戦後まもなくなので、しっくりこないところも多々あるけど、人と人とのつながり方は今も昔も同じみたい。家族や夫婦、友人あるいは赤の他人。そんな人間関係がとある河の見える場所で繰り広げられる。最近こういう私小説なノリの本とはごぶさただったけど、読める。グッとくる。
投稿元:
レビューを見る
文句なく素晴らしい純文学のお手本のような作品。
皮肉じゃなくって、本心からね。
人の生活があり、隣には死があり、様々に揺れる感情があり、それが本当に自然に美しく一つの作品としてまとまっている。
こういう作品はぜひ若い世代の人たちに読んでもらいたいなあ。
美しく、哀しい文学の世界の王道を感性の若いうちに味わってもらえると大変よろしいと思われますことよ。
何事も基本があって応用がある。型があるから型破りがある。
中学、高校の国語の教科書にはもう載っているんだっけ?
投稿元:
レビューを見る
日本語、という言葉の美しさを感じる。(経験したことはないのだけれど)戦後の土臭さ、人間関係の泥臭さが細部に丁寧に表現されている。
投稿元:
レビューを見る
初めての宮本輝です・優しい文章を書く人です。とても読みやすい。女性のようなロマニズム
3部とも親と子供が登場し、子供は常に親の奔放さの前に犠牲者。そこが読後感を悪くする。自分の読解力を棚に上げて物申せば、話の落とし方が分からない。何が云いたいのか判らない。人生色々って事か?!
投稿元:
レビューを見る
著者の初期作品3編を収録しています。
『泥の河』は、大阪の安治川の近くに店を構えるうどん屋の息子で8歳のの信雄と、河に浮かべた船の中で生活している晋平という少年の、出会いと別れの物語です。
「蛍河」は、立売河の近くに暮らす、14歳の水島竜夫と、彼を取り巻く人びとが織りなす物語。竜夫は、父の重竜が52歳のときに、千代という女性の間にさずかった子どもでした。竜夫が生まれたため、重竜は妻の春枝と別れ、その後しだいに没落して、やがてひっそりと命を失います。重竜の死後、千代は大阪で飲食店を経営している兄の喜三郎から声をかけられ、竜夫の生まれ育ったこの地を去ることを決意します。竜夫の同級生の関根圭太は、英子という少女に思いを寄せ、彼女と同じ高校へ進学することを希望しており、息子の高校進学に反対する父親と対立したあげく、みずから死を選ぶことになります。物語の終盤、やがて大阪へ向かうことになる竜夫は、父から聞かされた蛍を求めて、英子たちとともに河の上流へ歩んでいきます。
「道頓堀川」は、両親を失い、「リバー」という喫茶店で働きながら大学に通っている邦彦と、彼を取り巻く人びとの物語です。喫茶店のマスターの武内鉄男は、かつて鈴子という女性とともに生活していましたが、彼女は杉山という易者のもとへ行ってしまいます。また、武内の息子の政夫はビリヤードに凝っており、そんな息子のことを武内は快く思っていません。喫茶店を経営しながら、一家が離れ離れになってしまった寂しさを感じさせる武内は、自分と同じく両親を早くからなくした邦彦に、目をかけてくれています。そのほか、邦彦の父親の愛人だった弘美という女性や、ゲイのかおる、昔邦彦の父に世話になったことがあるという宇崎金兵衛や、その娘で短大生の由紀子、ストリップ・ダンサーのさとみなど、そして「梅ノ木」という料理屋で接客をしているまち子姐さんなど、魅力的な登場人物の群像劇仕立てになっています。一番強いストーリーを背負って登場するのは武内鉄男ですが、彼に焦点を当てるのではなく、目立たない邦彦という青年を中心に置くことで、大阪という街の喧騒と人情が浮き彫りにされているように思います。