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紙の本
忍者として育てられた少年少女たちの波乱万丈の物語。
2001/02/16 14:15
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投稿者:後藤竜二 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代の関東平野。飢えてワラビ粉を一袋盗んだだけで父は村人たちに虐殺される。孤児となった幼い小助・大助兄弟は雲取谷の忍者たちにひろわれ育てられる。
しかし、この忍者のおじさんたち、お世辞にもカッコイイとはいえない。じつは、農業だけでは食っていけなくて、やむなく副業に忍者をやっているという、なんとも文字通り泥くさいリアルな設定がおもしろい。
農民忍者たちを束ねているのが忍者頭の吉兵衛。その上にいるのが五郎様というナゾの人物。善玉なのか、悪玉なのか、正体がわからず、不気味で、なかなか怖い。
ワキが輝いている。一癖も二癖もある根来忍者杉の坊という芒洋とした人物をはじめとして、理想主義的な信念をつらぬく下人フク等々、たくさんの魅力的な人物たちが登場してくる。みんなそれぞれに人としての生活や夢や野心とともに、なにやらとぼけたフンイキを漂わせていて、それだけでも楽しい。
なによりも、伝奇小説的な「意外や意外!」のストーリー展開が魅力。上杉と北条の争いを背景にして、それぞれにのし上がろうとする者、自由を勝ち取ろうとする者等々、野望、陰謀が渦巻き、巨大忍者集団風魔やら堺の豪商やらが入り乱れ、だれが味方でだれが敵なのかも判然としないまま、テンポよく物語は進む。
乱れた世の中で、少年少女の忍者たちはどんな人生を歩むのか?
あちこちに伏線が張りめぐらされ、細心の工夫がこらされていて、ハラハラドキドキしながらクライマックスを迎える。
ああ、もうこれで物語が終わるのだなと、いささかさみしく思っていると、さらにもう一つ、大きなどんでん返しが待っている。
やってくれますねえと、思わずにんまりしみじみの大団円である。 興味を持たれた方は『うずしお丸の少年たち』(「古田足日 子どもの本」第10巻・童心社)も、ぜひ。
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