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紙の本

走り去った浮谷東次郎。

2010/11/28 08:26

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 浮谷東次郎の本に出会って40年以上もの年月が経過する。初めて手にした『がむしゃら1500キロ』に衝撃を受け、それは、すぐさま憧れに変わった。
 しかし、彼は昭和40年(1965)8月20日に起きた鈴鹿サーキットでの事故によって、その翌日、短い生涯を閉じた。
 良き思い出として仕舞いこみたかったのだが、突如として浮谷東次郎の記憶を無理やりに掘り返す人物が出てきた。堀川辰吉郎である。浮谷東次郎の母方の祖父だが、なんと、若き日、孫文とともに中国大陸を駆け巡り、革命成就のために命を捨てた男だった。そんな革命の志士の孫が、軟弱であるわけがない。
 堀川辰吉郎の評伝を読み、浮谷東次郎の実家を訪ね、「おねえちゃま」こと東次郎のお姉さんである朝江さんにお会いすることができた。夢のようだった。家人も一緒だったが、いまだに「あんなに美しい人は見たことがない」と言う。
 この浮谷東次郎の日記を読み返しながら、「おねえちゃま」に再会したくなった。

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