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都会の喧騒を離れ、妻と一人娘を連れてニューイングランドの古い村、コーンウォール・クームに移り住んだネッド。豊かな自然、昔ながらの方法でトウモロコシを育てる農民、純朴で、しかし気さくな村の住民……、全てはネッド達にとって理想的だった。だが村の墓地の外に一つだけ、まるで隔離されたかのように建てられた墓、ネッドはそれに疑念を抱く。「自殺した若い女の墓」と言うが、それ以上は誰も口を閉ざして語りたがらない。村人たちからの信頼と敬意を一身に集める獣医兼助産婦の未亡人フォーチュン、彼女が「不思議な力を持つ」という、郵便局長の一人娘で知恵遅れのミッシーは、血に染まった指でネッドを指さしたのだった。……ネッドは村の歴史と、皆が心待ちにする祭りの秘密を探るに連れて、その恐ろしさに慄然とする。だが気がついた時には既に手遅れだった。次第に村はその陰惨な正体を現していき、収穫祭の夜が訪れる……。
言わば「土着ホラー」の典型的な作品。その意味でプロットや展開は同系列の作品にありがちなもので目新しさはない(邦題はちょっと誤解を招くと思う……オカルト的要素は薄い)。が、実社会においても、田舎の共同体におけるしきたりや因習が、他所から移住してきたいわゆる「よそ者」には理解し難いということは往々にしてあるだろう。閉鎖的な共同体においては、よそ者がそこに馴染もうとする限り親和的だが、その輪を乱そうとすれば「村八分」その他残酷な仕打ちが待っているということ。それは21世紀の現在、洋の東西を問わないのかもしれない。都会の生活に疲れたから、といって安易に田園での生活に憧れるのは危険ということか。
だがそれにも増して恐ろしいと感じたのは、この作品に登場する女性達。男性諸氏にはわかってもらえると思う。特にクライマックス近くになるにつれ、「女性とはかくも怖いものか」と今さらながらに背筋が寒くなった。
女は強く(男にとっては)不可解で時に恐ろしい。母となればそれはなおさらである。