紙の本
内容紹介
2003/11/12 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bk1 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世が平らかだった頃、冷酷無残な女王と死者との交わりに両性具有の子が生まれ、シミュと名づけられた。シミュは長ずるに及んで、我が身の秘密を知る——汚穢と禁忌に彩られた出生に死の王ウールムが一役買っていたのだ! 死の王に仇をなすため、シミュは闇の王アズュラーンの助けを得て、〈不死の都〉を築きあげた。これを知った死の王は、シミュのかつての恋人にして不死身の魔術師ジレクを〈不死の都〉に差し向けるが……。二人の美青年の倒錯した愛と退廃の美を軸に、死の王と闇の王との権謀術数を描いた、タニス・リーの最高傑作。
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死の王ウールムに挑む闇の公子アズュラーンに唆されたシミュ。アズュラーンに拒まれた怒りと絶望から魔術師となりウールムの手駒となってシミュに向かっていくジレク。全員美形。うっとりしつつも「生きる幸せ」「愛すること」など考えさせられる作品。ヴォルデモートに進呈したい1冊。
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タニス・リーが世界幻想文学賞を受賞した本ですし、ファンタジーが好きな人間なら必ず手に取っている作品だと思います。当然ながら、ダークでエロティッシュな世界観には影響を受けています。タニス・リーがさまざまな西洋の伝説・神話を話に取りこんでいるのはいつものことですが、「死の王」の中でお気に入りなのは天の井戸を守っている乙女と不死者の都。特に不死者の都が海に沈むあたりは、大好きなイスの都の伝説が基にされていて、忘れがたい。神話的モチーフをわたしが好むのは、それを扱った作家ごとの解釈というものが扱うごとに出てくるから。それが作家個人の特性にもなるし、時代の特性にもなる。この不死者の都は、海に沈んで、住人たちは表面がフジツボで覆われてしまい、肺には塩水が満ちて息が出来なくて苦しいけれど死ぬことがない、というのがものすごく怖い。たいていの海中都市のイメージって、死後の世界みたいなところがあって沈められる苦しさなんていうのはあんまりないんですが、これは生々しくて怖い。ジレムはこの後しれっとした顔で続編に顔を出すので殴ってやりたい感じがします。おまえたちの愛と憎しみはそのまま美しい思い出にしておいてほしかった。
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9/10に、シリーズ一巻目「闇の公子」が復刊されるそうで…。
こんなところにまで復刊の波が…!
よ、喜ぶべきなのかしら??
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盛り込まれた要素が多すぎて、読み返して一つ一つもぎ取って味わってます。
妖魔の王がアレなので、死の王がイイ人というか、可愛く見えます。
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萩尾望都表紙版を読了しました~。
唯美主義でとっても耽美な一冊
ボリュームがすごくて読みきるのに苦労しましたが、「読んだ!」って気持ちになる作品です^^
死の王と闇の公子に翻弄される美青年2人のお話で、
登場人物全員が美々しくて想像で瞼の裏がチカチカしました~
お耽美な倒錯モノ(かつ哲学的な生と死の問答)がお好きな方にとってもオススメです!
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『平たい地球』シリーズ第2作。
前作『闇の公子』は連作短篇集のような構成だったが、今作は最初から最後まで一貫した長編。
作中でもかなり長い時間が流れるが、冗長さは感じない。
訳文は浅羽莢子の方がこなれているような感じた。
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作品としては一作目の方が完成度が高いのだろうけれど、二冊目ではまった。
単なる小説読みとしてミーハーに書くなら、キャラクターが縦横無尽に動きまくり、みーんな自分勝手なところが気に入ってた。
レズの女王様は呪いを書くために死●するわ、しかも選定基準が女の子っぽいだし、ロリダークな魔女も出てくるし、ラノベ挿絵が入ったらまちがいなくゴスロリ着てそうな性格と言葉づかいだし、シミュは健気だしジレムはツンデレだし。
高校生の私は布教に勤めましたが誰も読んでくれませんでした……。
ひとり頑張って読んでくれた友人も訳文がちょっと、と言われましたが、確かに読みにくい。
けれど翻訳者の腕というより、もともとリーの文章が泉鏡花並みにきらきらゴージャスというのもあるのかも。
けれど、お人形キャラではなくひとりひとりが生き生きしているところが好きです。
残念ながら、日本語再販続刊が出ていませんが、この先不幸の集大成な人生を送ったジレムが救われる『熱夢の女王』は必読だと思う。
ジレム……とことんあのタイプにかかわる運命なのね……
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なんだこれ…
なんて形容していいかわからなすぎる。
シミュとジレム=ジレクの歪んだ愛の結末。すごすぎて言葉にならない。
なんて感想書いていいかわからないけど胸を打たれているという不思議極まりない本を読んでしまった。
何故かはわからないけど、とても好き。
584ページの「逃げるかも、知れない……」「ありえないことだ」のやりとりがすごくエロチックに感じました。
カザフェが嫌いだった。どうもハキハキした女性キャラクターが好きでないのか?
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神々の大いなる力と気まぐれに翻弄されながら、魂の奥底で求めあっていた二人の人間の行く末を描く、神話的物語。
長い、長い物語だった。
めくるめく美と残酷と無慈悲の世界の中で、為す術もなく溺れて浜に打ち寄せられた残骸のような心持で読了した。
綴られる物語の結末に悲しい思いはするのだけど、その悲しみにしばらく浸っていたくなる。
なんと自在に言葉を操り、かくも絢爛にしてかぐわしい世界を織り上げることだろう。
畏怖と羨望を抱いてやまない。