紙の本
自らを見つめなおす客観的な視点を
2022/02/25 10:44
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投稿者:kkzz - この投稿者のレビュー一覧を見る
自らのうちで肥大化した苦悩に対処するために手に取りましたが、本当に素晴らしい名著でした。様々な症例を取り上げつつ、それらに共通して存在する原因を客観化していき、「生の欲望」「とわられ」「はからい」という概念に集約されており、自分自身の苦悩についても客観的に分析するのにとても役立ちます。定期的に読み直しながら、自らの「生の欲望」と向き合い、逃避的にならずに「目的本位」の行動をとれるように努めていこうと思います。
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認知療法に出会う前にこの森田式で治そうと奮闘していたときに購入。「あるがまま」を認め、その上で自分と向き合っていくといううつ治療では有名な療法の一つ。
森田博士が考えて一躍有名に。
一時的には役に立つけど、結局考え方の思考ってそう簡単には変わらないのよね(泣)。やっぱり認知療法のような練習が必要だなと改めて思いますです。
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心理学の権威故森田教授について筆者が記した本。筆者も相当な人格者で精神的な不安定(特に欝)に効果ありか。
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日本の風土にはあっているし、自分が何者かわからない人にも向いている治療法。
原因の明確なものには不向き。
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他人の視線に怯える対人恐怖症。強迫観念や不安発作、不眠など、心身の不快や適応困難に悩む人は多い。こころに潜む不安や葛藤を“異物”として排除するのではなく、「あるがまま」に受け入れ、「目的本位」の行動をとることによって、すこやかな自己実現をめざす森田療法は、神経症からの解放のみならず、日常人のメンタル・ヘルスの実践法として、有益なヒントを提供する。
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07年10月読 神経症の症例、処置について、読み易く、分かり易く書いてある。「あるがまま」を受け入れることが肝要との話。
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強迫には森田がいいと以前から知っていたけど、森田がどんなものかはいまいちわからなかった。知っていることといえば、あるがまま、ということくらいだった。でもこの本を読んで、この「あるがまま」の概念を僕は勘違いしていたことに気付くと共に、まさに目からうろこって感じだった。
僕は、「あるがまま」を自分の存在があるがままでいいんだという風にとらえていたのだけど、森田療法のいう「あるがまま」とは自分の不安をあるがままにする、ということだったのだ。
たとえば、緊張するときによく陥るのが、僕達は、緊張を打ち消そうと試行錯誤する。つまり、心の不安をなくそうと努力するのだ。結果どうなるかといえば、ますます緊張していることを意識して、緊張してガチガチになって震えや動機に襲われるまでになってしまう。これを精神交互作用というらしい。
でも、僕達は、初めてのことに対して、程度の差はあってもみんな緊張はするし、飛行機に始めて乗ったり、初めて車を運転するときは不安になるのが当たり前だ。つまり、そういった不安や緊張は人間が本来持っている正常な症状なのであって、異常なことではない。
しかしその観念に囚われてしまうとそれが障害になったりする。精神交互作用の悪循環から、抜け出せなくなるのだ。
じゃあ、なぜ抜け出せなくなるかといえば、神経質症の人は「かくあるべし」という観念に支配されているからである。しかし現実はそもそも不条理な世界であり、「かくあるべし」という姿勢との間で必ず齟齬が生じてくる。その齟齬により、神経質症者は苦しむ。
しかし、なぜ苦しむのか?それは神経症者は自分にとってより良い状態、環境で過ごしたいという欲求が人一倍強いからに他ならない。
つまり、よりよく生きたい、生に対する欲求が強いのである。
よりよく生きたいがために苦しむ、という悪循環を打破するためにはどうするべきか、森田療法は「目的本位」という概念を提唱している。
人間が不安になったとき、逃避と実行という二つの欲求が現れる。ゆえにその二つで葛藤するのだが、本来の生の欲求(よりよく生きたいという欲求)は「実行」であるはずだ。
つまり、本来の生の欲求が何であるのかを見極めた上で、不安をあるがままにして、その生の欲求を実行していくのである。
例であらわせば、ある会合でスピーチをしなければならない。しかし、失敗したくないがために緊張する。会合を休みたい衝動に駆られる。しかし、会合を休むと、必ず後悔の念に苛まれるだろう。後悔するということはより良く生きたいという本当の欲求ではなく、不安から逃れるための妥協案に過ぎない、然るに、会合にでて、緊張していながらでもスピーチし、成功すれば、自分の緊張を克服し、やり遂げられた充足感と喜びを得られる。ならば、本来の生の欲求とはあきらかにスピーチを行うほうであり、その選択をすることでよりよくいきることができる。
失敗は誰にでもあり、それにより劣等感に襲われても、劣等感に襲われるのは誰にもあることなのだから、その劣等感をあるがままにして、再び挑戦する。そうすれば、いつのまにかうまくできるようになり、その劣等感も消失する。
我々は、不安に「とらわれ」たときに、自ら悪い結果を予想して、逃避というもう一つの仮の欲求を作るという「はからい」をする。ゆえに苦しみはいつまでたってもなくならない。
森田療法は、不安を人間が持つ当たり前のものとしてとらえ、敵として排除することをしない。不安を「あるがまま」にして、不安に必要以上に意識しない。スピーチで緊張するのは当たり前だ。緊張をなくそうと考える時間があったら、どういう風に話そうかスピーチの内容を考えよう。こう思うことが結果的にうまく話せ、成功につながり、いつしか緊張も意識したくても出来ないくらいになくなってしまう。
これは僕にとってもまさに慧眼であった。というのも、今まで、僕は緊張や不安がでたら、すべて原因を考え、その問題を証明していくことで、不安を解消してきた。つまり、不安を排除すべき敵と考えてきたわけだが、しかし、不安との融和という森田の考えは、まさに日本的な考えだ。
今までやってきた僕の方法もその効果を実感し、信頼しているが、この森田方式も大変素晴らしい理論だと思うし、実践してみる価値は充分にある。どちらが正しいとか、良いとかはわからない。人によって向き不向きもあるだろうし、どちらか一方を常に実践するというよりも、うまく双方を使い分けることができるのが一番良いと思うし、僕もそうやって行きたいと思う。
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神経質者の不安・葛藤が、それ自体特別なものではなく、日常人の不安・葛藤と連続しているものであるという理論には頷ける。
つまり、不安・葛藤は自然なものであるのだから、無理やりどこかへ追いやろうとするべきではない。
すべてを「あるがまま」に受け止めようという森田療法は、神経質者のみならず、一般の人々にも多く受け入れられる考えであろう。
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2010/01/28-2010/07/05
長らく放置。森田療法に出会えたことは、人生を変えたと思う。岩井先生の本を読めて、よかったなと思った。
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誰の心の中にも存在する不安や葛藤を「あるがまま」に受け入れる。矛盾する異なる感情から逃げずにそれを抱えてまま、より良く生きていくためのヒントがある気がしました。
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神経症で悩んでいる者にとっては手厳しい部分もあるが、良薬は口に苦しという言葉がピタリとくる書。少し我慢して読み、効いてくる内容だと思う。
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神経症のメカニズムや症状を読むのは非常に辛かったが、その後の治し方が非常に役に立った。後半部分は素晴しい。バーンズ先生の認知療法とともに、ぜひ悩んでる人に勧めたい一冊。
実践・森田療法 北西著も購入。
上と同様素晴しいです。
この本には岩井 寛著と違って、症状が細かく出ていて読んでいて辛い、という事はなく、ほぼ治療目的で書かれているので安心して読めます。
チェックリストもついていて◎。
私は鬱ですが、森田療法の本を読むとなぜか心が安らぎます。
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私は人の目や思惑が気になるあまり、仕事や趣味の活動に出かけるのが億劫になり、逃げ出したりしたことがよくある。
著者が勧めている「『目的本位』の行動」は、このような私に大変役立っている。
実例も豊富にあり、非常に分かりやすく、しかも誠実な本である。
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「あるがまま」という言葉に象徴される森田療法。その名は聞いたことがあったものの、実際に何を「あるがまま」にしてどのような治療を行うか、具体的な内容を知らずにいたため、解説を求めて手に取った。
しかし、本書はタイトルどおりの本とは必ずしも言い難い。一般の人々に向けて精神医学の在り方について、森田療法を例にとって解説したものと考えるほうが自然である。実際、本書の4分の3ほどは精神医学そのものの理論について平易な言葉を用いて著者の考えを交えながら解説するために割かれており、森田療法の実践例などはわずかな数しか示されていない。すなわち、どちらかといえば、精神医学の理論書なのである。
本書中では、森田療法のキーワードである「あるがまま」という言葉が頻繁に使われる。ただ、この言葉にしても最近言われるような「症状を症状として受け止め降りていく生き方」という文脈ではなく、「症状はあるものの、それを自覚しつつ社会的に前向きな行動をとる」といった、現在ではむしろ曝露療法とも呼ばれるようなものであることが紹介されている。
精神疾患、特に森田療法が対象とする神経症の治療にはさまざまなアプローチが考えられ、こうした一種の強行策とも呼べる方法も、患者の状態を見ながら慎重なサポートのもとで行えば奏効することもあるだろう。
翻って本書の持つ意義について考えてみる。先に示したとおり本書の趣旨はむしろ、精神医学はさまざまな理論のぶつかり合いの末に産まれるものであり、また現在もそうした理論をたたかわせながら発展しているものであることを明確に示している点でであると私は考えている。
著者の展開する議論を追うことで、マニュアル偏重、特に精神医学においてはDSM偏重になりがちな現代医学が、「cookbook-medicine」と揶揄される理由がよくわかる。臨床現場で常に理論を追うことは無理な話であるが、現在の医療は長い年月をかけて議論されてきた結果であることが認識されるのである。著者がその命の最期の力を振り絞って口述筆記の形で遺すこととなった本書は、「医学の基本はなにか」という、きわめてシンプルかつ大きなテーマを世に問い、一つの答えを示す形となった。この問題に思いを巡らせることは、今後の医療を考えていくうえで非常に重要な要素となることは間違いない。
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不安、劣等、葛藤をあるががままに受け入れ目的本位の行動をとる。これから先の人生をかけ挑戦しようと思う。やはり東洋思想は素晴らしい。