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灰谷健次郎が大嫌いです。
あの、救ってやるんだという居丈高な自負心、差別、見下し感を、あなたは感じることが出来ないの?! って思って。
私は何があってもこんな、人を見下した人に救って欲しくはないよと思っていました。
一時期、教師のバイブルだったみたいですね。
教師ってそんなに無神経でやっていけるのか、とショックを受けた記憶があります。
対照的な、林竹二さんが灰谷健次郎と対談している本があります。
これが面白い。優しくにこやかに、林さんは話すんだけど、灰谷がどんどん自滅していくの。林竹二さんは、元大学教授。退官してから、全国の小・中・高等学校、そして定時制の湊川高校で20年教鞭をとられた方。
カメラが入っているときの二人の反応が対照的。
林さんは自然体で、ただ待つ。その生徒が答えられなくても、答えても。
灰谷健次郎は、座ってよし、と別の生徒に廻す。
これって、親切じゃないのよ。信じてないだけなの。
あと、本人自身も語っていたけど、子どもを裏切る。
他の先生に無視されてきた子が、灰谷と手紙帳の交換を始める。
一回信じたんだよね、だけどある日、灰谷は言う。
「これだけ書けるんだから、もうちょっとわかるように書いてこいよ」
彼は一瞬、信じられないような顔をしました。突然「いらんわい」という大きな声と一緒にそのノートをぼくの顔にぶつけるという、凄い反抗をしたんですね。
当たり前じゃないか!!!
無理解な先生になに言われても大丈夫だけど、柔らかいとこ、いきなりえぐられたら痛いよ。
その生徒は許してはくれなかったそうです。
灰谷は結局自分が救われたくて、人を救う共依存の人なのだと思う。
だから、生徒は、彼が楽になるための道具。
お兄さんの自殺、お母さんの死。
立ち直れずに止めた教員生活。その後の執筆。
あちこちに、その片鱗が透けて見える。見えるたびにぞっとする。
でも、対談集は面白いです。
意地悪な意味だけじゃなく、林竹二さんのあったかさが、灰谷をも救っているのが伝わってくる。