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題名だけからすると十五、六世紀のイタリアを中心とする大規模な文芸復興運動に関する書物のような気がするのであるが、その内容は、十四世紀のペストの流行、中世都市ヴェネチアの分析、異端者の命運を追うドルチーノのに関する記述、裁判の祭り性、果ては近世日本の天明の大飢饉や養生論の分析によって、死を通して人間の生を観ている気がした。
その死には、個人の死だけではなく、歴史の死、単なる死ではなくて殺害なんかも織り込まれる。
人間の愚かさ、賎しさ、逞しさ。個人の強さ弱さ、種としてのしぶとさ…
なんか色々感じて面白かった。あぁ~まぁ自分も人間なんだなと…
それにしても、やはり現代はちょっと歴史を超えているような気がしてならない。中世やルネサンスや近世の世界とは、社会を一つの舞台として喩えたとして、現代の人間は人間としての役回りが次元を異にしているような気がしてならない。この本に現れる歴史的な人間たちは彼らが何かを成し遂げて舞台を展開していたように思えるのだが、現代人は舞台に操られているような気がする…
まるでプログラミングされたビデオゲームのように…