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古き良き時代の女性像、こんな母になりたい。
朝子は熱海の貧しい商人の娘であったが、避暑に来ていた上流階級の澄男に見初められる。
家族の反対を押し切って結婚したが今まで体験したことのない幸せは最初だけであった。
澄男は朝子の冷静かつ理数的な性格を、陰気だとして芸者に入れ込んだ。
しかし、朝子は自分が変われば澄男も変わると信じ、努力した。
その結果、澄男は戻り、仕事も熱心にするようになったが、銀行は倒産し、その後すぐに病死した。
朝子は、残された進、春子、道夫を立派に育て上げることを決意。
ここから物語りは展開していく。。。。。
朝子はないが、頭がよく、数かすのピンチが来てもそれを乗り越えてきた。
それは並大抵の努力ではない。
子供や健吉、治子、木戸に迷惑をかけまいと、真剣である。
なぜここまでがんばれるのか。
それは母としての自覚だ。
「しかし不思議に軽井沢に来ていると、感ぜられた、いずこより来たり、いずこに去らんとする淋しさなのか、貧しければ貧しきように淋しく、夫亡きは、夫なきように淋しく、富めるは富めるがように淋しく、恋すれば恋するままに淋しく、病めば病の床に淋しく、旅にあれば旅するままに淋しい。」
数年後、再び読みたい本である。