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紙の本
兵器を理解するための最良の書
2007/06/04 17:29
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「軍事を知らずして平和を語るなかれ」という。この命題は、おそらく正しい。しかし軍事知識を効率的体系的に吸収することは至難である。私のように小学校中学校高等学校と田宮模型のミリタリーミニチュアシリーズの35分の1戦車プラモデルの制作に没頭し、その過程で軍事知識の基礎を形成したような「恵まれた人生」「軍事知識形成のエリートコース」を送った例外的な人間は別にして、こうした機会に恵まれない諸君らのような一般人は、本書のようなコンパクトな良書でも読んで、その遅れを取り戻すしかないだろう。「イージス艦」とは駆逐艦の一種で、ただ「イージスシステム」という特殊なレーダーシステムを搭載しているか否かだけが一般の駆逐艦との差だという、私のような「上級者」から見るとごくごく常識的初歩的な知識も本書では分かり易く解説してある。成型炸薬弾がモンロー効果を利用した特殊兵器で、ようするに高温高圧のガス噴流で戦車の装甲板をぶち破るのではなく溶かして、戦車内にいる乗員を蒸し焼きにして殺す兵器なんだとか、こういう「私なら知ってて当たり前」のことを、ど素人向けにも分かり易く丁寧に解説してある。残念なのは本書が20年前に出たまま改訂版が出されていないことだ。軍事は日進月歩である。本書では実験段階とされている無人偵察機UAVが今では当たり前の兵器として採用され、「プレデター」なる無人攻撃機までアメリカ軍は大量に実戦配備しているのである。最新版の出版が待たれる。
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