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時代小説とはいっても、この作品には剣のシーンなどは一切登場しない。町人の恋愛を描いた作品。
紙問屋を営む小野屋新兵衛は、今で言うところの新興企業の社長といったところだろうか。
独立してから新兵衛は家庭は二の次にして、必死に働いてきた。
しかし、商いが軌道に乗ってきた頃、新兵衛は白髪を見つけ、老いを感じるようになる。このまま年を重ねていくのかという不安に苛まれるようになっていく。
父親である新兵衛の言うことを聞かず、岡場所に出入りする息子。妻おたきとの不和。同業者の嫌がらせ。言う事を聞かない身体。そんな状況が新兵衛に襲いかかる。
そんな中、同じ紙問屋である丸子屋の女将、おこうと出会う。おこうに惹かれていく新兵衛。しかし、江戸時代という時代がそれを許さない。悲劇的な結末を予感させる。どんどん読ませてしまうところが藤沢さんのすごいところだ。
タイトルにもなっている『海鳴り』という言葉は本を読んでみるとわかる。時代恋愛小説の傑作!
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ある日、ふっと老いを実感した小野屋新兵衛が真に心休まる場所を求めてさまよう様子が描かれています。
しあわせとはそもそも何なのか。
この本を読んで、そんなことを考えました。
しあわせとは、これから失おうとする過去に、先へ歩もうとする未来に、人の生のあらゆる場面で柔軟に姿を変えつつ存在するもの。
今、探し求めているしあわせと、まさにその瞬間に手にしているしあわせの姿が違うとき、人は既に手の中にあるしあわせに気づかず、彷徨い始めてしまう。
現在、自分自身が手にしている幸せを大切にしようと思えた一冊です。
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剣客ものと違って一気に読み上げる熱も湧いてきません。
ユーモアも無く全体的にじっとり湿った暗さが付きまとう話です。
ですがいいです。下巻もよっくりじっとり読みます。
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紙商・小野屋新兵衛の人生への後悔と焦り。商売の成功と冷え切った家庭。人妻おこうとの叶わぬ恋。傷を舐め合うような密かごと。そして二人は…。
新兵衛とおこうの最終判断の是非はおいておいて、男なら新兵衛の苦悩に少なからず共感するんじゃないかな。
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四十代半ばの紙商小野屋新兵衛と老舗の紙問屋丸子屋のおかみおこうが、紙問屋の寄合いの帰り道に起きたある出来事をきっかけに想いをよせあっていく。
不義密通がきびしく罰される時代に、プラトニックに想いを寄せ合っていく二人がせつない。
二人の想いとともに、人生50年という時代すでに老いを感じている新兵衛の心の翳りを軸に、家族・女・仕事の陰影が描かれている。
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新兵衛の回りには不穏な空気が的割りつく。
次々に繰り出される陰鬱な悩ませごと。
寿命を縮めるようなストレス。
しかし江戸の地理を本の少しだけ学んだからか、
いつも以上に文字から映像が浮かび出てきてワクワクする。
両国がどういう場所だったのか、回光院の役割は、
商人(あきんど)はいつの世も
そのやり方を変えず共通しているのだなぁ〜。
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全2巻。
時代小説。
老人の恋とサスペンス。
なんか失楽園思い出した。
見たこと無いけど。
乱暴にまとめると
ダブル不倫と商業サスペンスって感じなんだけど
老人だけにしみる気がした。
死ぬまでのあと10年どう生きるか。
家族を捨てようと決心したくだりは
なんだか泣きそうになった。
年取ったんだろうなあ。
やっぱり。
自分。
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今読んでるんだけど、もう読みたくない(T_T) 弱みにつけ込まれて脅迫されるとか、めっちゃ苦手。結末が良ければ頑張って読むけど。読んだ方、最後まで読んだ方が良かですか?
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藤沢さんと言えば代表作は数あれど地味に構えていたのがこの海鳴
り。元々どの本を読んでもつつましい色気が漂って、藤沢作品の魅
力はそこにも有るのだと私は思っていましたが、この海鳴り読んで
見ると、こんな藤沢周平も好きに成りました。
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いや~この話は・・・(--;
重くて暗い、「男女駆け落ち物語」(ズバリw)。
酔って具合が悪くなった知り合いの人妻を助けたことがきっかけで、それがどんどん罠にはめられ追い詰められ、深みに堕ちてゆく話だ。
最初は本当に、酔った彼女を介抱しただけだったのに、それをたちの悪い男に目撃され、強請られて、果てはトラブルの相談のため彼女と会っているうちに互いに惚れ合って本当にデキてしまう二人。
男は働くことに疲れを覚え始めた年齢で、一代で築いた商いに不吉な影が忍び寄るのを感じている。
家庭においては夫婦仲は冷え切っており、子供は女郎通いで跡取りとしての自覚がほとんどない。
・・・とまぁこんな風に、男の身辺は味気ないものだった。
だから、胸の隙間を埋めるように、彼女に惹かれていったのもわかる気はするけれど・・・
でも。如何に追い詰められていたとはいえ、彼女と駆け落ちを決めたときの男の様子には、あまりにもちょっとあっさりしすぎじゃないか??と思った。
男としては、今まで自分はこんだけ家族のために頑張って。
気の合わない女房ともなんとか我慢してやってきて。
跡取りであるはずの長男が家を出たいというのも、許してやった。
だから今度は。
自分がなにもかも捨てて、好きな道に走ったっていいだろ?と言いたいように見えなくも、ない。
勿論それは、最後の最後にどうしようもなくなってする決断であり、それまで主人公の男は心臓が冷えるような思いを繰り返し、トラブルを乗り切って、その中で一筋の光のような、彼女との関係を持ってきた。
同情はするけど・・・、最後に見せた彼の妙な「すがすがしさ」は、私にはちと憎らしく映った。(笑)
如何なる理由があったとしても、結局主人公の男は、自分の犯した罪と過ちから逃げたのだ。
まんまと逃げおおせ、これから先、細々と暖かく明るい第二の人生をやり直せたとしても・・・
決して彼の犯した罪は消えないし、それによって置き去りにされた彼の家族もまた、犠牲者なのだ。
それを忘れず、死ぬまで苦しんでほしい、家族には顔を出さないでほしい。
「逃げおおせても、主人公はきっと長生きはできないだろうな。」
読み終わった後、私はぽつりとそう思った。
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感想は下巻にて。最初はもどかしい感じでしたが、上巻の終わりころから面白くなってきました。というか私がこの作品の空気になじんできたのかもしれません。
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てっきり、武士とはどんなもんじゃっていう内容かと思ったのだが、
そして、人情ものというふれこみを見て、お涙頂戴の内容なのかと思っていたのだが、なんともびっくり、内容は江戸商人の不倫だという。
これぞたぶん、時代がどうだからではなく、今も昔もたぶん変らない人間の姿なのだろう。
不倫のお話ですが。
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40歳を過ぎた紙問屋の主人の話。まだ上巻のみ読んだだけだが、全体的に暗い話。妻と息子の愚痴をこぼして家に帰るのをためらったり、徐々に老いを実感し始めた男の切なさが描かれている。
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時代小説、上下2巻。一代で築いた紙卸問屋の主人、新兵衛と人妻おこうとの恋の行方。商人としての生き様、中年を過ぎ老いを感じ始めた一人の男の揺らぎを描いた作品です。
現代風に言うと「不倫」の話となってしまうのですが、そこへ行き着くまでの過程、心情が丁寧に描かれていると思います。
作者の作品は剣にまつわるものを中心に読んできたので、この作品は自分の中で期待していたものと違うというか、ちょっとした違和感を感じてしまいました。
これは他の著書を読んでから再読するとまた印象が変わると思います。
いつものように一気に読み耽るというのではなく、少しずつゆっくり読みました。
スカッと爽快!ではなく、ちょっとジメジメしているかもしれません。
しかし自分の頭髪に白いものを見つけたときにふと気づくこれまでの人生の虚しさというくだりには共感を覚えました。
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読んだきっかけ:奥さんが古本屋で105円で買ってきた。
かかった時間:12/13-12/15(3日くらい)
あらすじ: はじめて白髪を見つけたのは、いくつのときだったろう。骨身をけずり、果てにむかえた四十の坂。残された日々は、ただ老い朽ちてゆくばかりなのか。……家は闇のように冷えている。心通じぬ妻と、放蕩息子の跡取り。紙商・小野屋新兵衛は、やがて、薄幸の人妻丸子屋のおかみおこうに、果たせぬ想いを寄せてゆく。世話物の名品。(裏表紙解説より)
感想: 市井物。単純な話だけどなかなか面白い。やっぱり藤沢周平は文章がうまいですね。