投稿元:
レビューを見る
「虚無回廊(Ⅰ)」小松左京著、徳間書店、1987.11.30
210p ¥1,000 C0093 (2019.09.26読了)(2019.09.19借入)
地球から5.8光年離れた琴座と白鳥座の間あたりに想像を絶する物体が現れた。この物体をSSと呼んでいる。スーパーシップ、またはスーパーストラクチャーの意味だ。完全円筒形で、直線部の長さが二光年、直径1.2光年ある。自然天体ではない。(71頁)
SSは、長軸の中点を中心にしてかなりのスピードで回転している。(80頁)
SSの質量は、時々刻々変化している。増えている部分と減っている部分がある。(82頁)
SSを探査するための探査機又は宇宙船の計画が進められる。SSまでは、片道30年~40年かかるので、人間を乗せるとすれば、冷凍睡眠を行うことになるがテストでは、一回最大で六年という結果が出ている。(95頁)
計画されている宇宙船は、平均速度毎秒5万キロ。光速の6分の1。SSまでは、5.8光年なので、5.8×6=34.8、およそ35年かかります。(96頁)
ヒデオ・エンドウの開発したAE(人工実存)を乗せた探査機が出発した。その二年後に出発した有人探査船は、事故により爆発し、乗組員24人全員が死亡した。(160頁)
さらに8年後に、二隻の有人探査機が出発した。総勢40人だった。(165頁)
ヒデオ・エンドウは引退し、やがて死亡した。彼の分身であるAE〝彼〟は、SSを目指して飛行している。〝彼〟を支援するために二人のVP(仮想人格)がシステム上に存在する。名前はクリス、アスカ。必要に応じて増やすこともできる。(175頁)
デイヴ、エド、ベアトリス、フウ。
SSに近づき、SSからの連絡に従って、着陸した。
1986年に書かれた物語ですが、宇宙船、コンピュータシステム、AIと今日的なものが満載です。物語の時代は、世界連邦が既に実現した未来になっています。
〝彼〟 ヒデオ・エンドウ H.E 遠藤秀夫
アンジェラ・インゲボルグ 遠藤秀夫の妻
サイモン
マイケル・ジョン・ダン
ダニエル・ダン 恒星間航行研究所
マー部長
ウイリアム・ドーセット 宇宙倫理委員会 事務局秘書課長代理
L.O.D 死の許可証
AE 人工実存 Artificial Existence
AI 人工知能 Artificial Intelligence
HE1 完全自立型人工知能
アンジェラE 自己学習型人工知能 Eはエンブリオ(胎児)
【目次】
(i¹)孤絶―〝二重の死〟
(i²)―〝単純な死〟
序章 死を越える旅
1 〝彼〟
2 〝SS〟
3 出立
第一章 遭遇
1i ガイド
●人間の罪(93頁)
「人間の罪は二つある。〝性急と怠惰だ〟といったのは、誰だか知っているかね?」
「フランツ・カフカですね……」
☆関連図書(既読)
「小松左京スペシャル」宮崎哲弥著、NHK出版、2019.07.01
「日本沈没(上)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
「日本沈没(下)」小松左京著、小学館文庫、2006.01.01
「ゴルディアスの結び目」小松左京著、角川書店、1977.06.30
「首都消失 上」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
「首都消失 下」小松左京著、徳間書店、1985.03.31
(2019年10月3日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
“SS”-宇宙空間に突如出現���た謎の物体。真径一・二光年、長さ二光年という、人類の技術をはるかに超えた存在を、一体何者が何のためにつくり上げたのか?AE(人工実存)の研究者・遠藤を中心とした探査計画は、AE・HE2によるSSとのコンタクトをはかる。しかし遠藤は突然の死を遂げ、HE2からの通信も途絶えてしまう。プロジェクトは頓挫したかに思われるのだったが…。新たな“宇宙史”の幕が今、上がる。