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30年以上前に執筆されたものだと思いますが、大前研一氏のデビュー作です。現在勤務している日本支社の社長が若いときに読んだということで薦められて読むことになりました。
40年以上も前に、経営コンサルタントが使用するツールとして確立させていたマッキンゼーの凄さを痛感すると共に、10年程度で日本支社長まで上り詰めた大前氏の勉強熱心さ、経営コンサルタントとしての素晴らしさを感じました。
本の中で使われているデータこそは今からすれば古いのですが、彼が述べている考え方は現在でも使用できるものがあることに更に驚きました。
4章において参謀5戒を述べていますが、その2番目に挙げている点(完全主義でなく、相手よりほんの一枚上をゆく戦略の重要性)は現在でも十分に使える考え方(p195)だと思いました。
以下はためになったポイントです。
・人為的な価格統制のあるところ(床屋等)では、賢明なる者にとってまたとない市場ポテンシャルが発生する、床屋で行われるサービスは翌日には消えてしまうものが多い(p18)
・戦略的とは、常識というパッケージに包まれている事象を分析し、ものの本質に基づいてバラバラにしたうえで、それぞれのもつ意味合いを自分にとって有利になるように組み立てること(p22)
・「売上が伸びないか」と漠然と質問するのでなく、「当製品市場におけるシェアの決定要因は何か」及び「当社が決定要因を十分に持っているか」という設問を併用すべき(p28)
・現象として現れている問題点が何に帰属する問題であるかという理解なしには、真の解決策は得られない(p35)
・問題点の絞り方は、1)現象分析、2)グルーピング、3)抽象化、4)アプローチの設定、であり抽象化がポイントである(p34)
・データ分析によって得られる諸比率の使い方は、1)経時変化を追跡し屈曲点に着目、2)その比率に最大の影響を与える因子に着目、3)同業他社との比較、である(p67)
・中期計画において大切なのは、「仮定」を明確化しておくことである(p87)
・会社の行っている事業は、外的変数(環境、収益性、競合状態、市場)と、内的変数(競争力、収益力、資源力、技術力、販売力)で位置づけが可能(p112)
・参謀としては、完全主義ではなく、「相手よりもほんの一枚上をゆく市場戦略をタイミングよく実施することが勝利のカギ」(p195)