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ぼくはいつでも、あれかこれかという場合、これは自分にとってマイナスだな、危険だなと思う方をえらぶことにしている。誰だって人間は弱いし、自分が大事だから逃げたがる。頭で考えていい方を選ぼうとなんておもったら、なんとかかんとか理屈をつけて安全な方にイッテしまうものなのだ。かまわないから、こっちにいったら駄目だ、と思う方に賭ける。
臨済禅師 道で仏に逢えば、仏をころせ
道で仏に逢えばというが、会えるはずが内。出会うのは己自身なのです。自分自身に対面する。そうしたら己を殺せ
いまはだめだけどいずれと絶対に言わないこと。いずれなんていうやつに限って、現在の自分に責任をもっていないからだ。いきるというのは瞬間瞬間に情熱をほとばしらせて、現在に充実することだ。過去にこだわったり、未来でごまかすなんて根性では、現在に本当に生きることはできない。
ところが、とかく「いずれそうします」とか「昔はそうだった」と人は言う。そして、現在の生き方をごまかしている。だからぼくはそういう言葉を聞く度に、どなりつけてやりたくなる。
「いずれ」なんていうやつに、本当の将来はありっこないし、懐古趣味も無責任だ。つまり、現在の自分に責任をとらないから懐古的になっているわけだ。
しかし、人間が一番辛い思いをしているのは現在なんだ。やらなければならい、ベストを尽くさなければならいのは、現在この瞬間にある。それを逃れるためにいずれとか懐古趣味になんだ。
懐古趣味と言うのは現実逃避だ。だから、過去だってそのときな辛くって逃避したんだろうけど、現在が終わって過去になってしまうと安心だから、懐かしくなるんだ。
だから、そんなものにこだわっていないで、もっと現実を直視し、絶対感をもって、問題にぶつかって、たくましく生きるようにしていかなければならない。
僕はありのままの自分を貫くしかないと覚悟をきめている。それは己自身をこそ最大の敵として、容赦なく戦い続けることなんだ。
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面白かった。
凄く励まされ、何だか前向きになれた。
タイトルに「毒」と書いているが、
書いている内容はその反対で、
とても優しく、たまには厳しく、愛情が感じられました。
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「芸術は爆発だ!」で一世を風靡した芸術家・岡本太郎(1996年没)による人間論。20代を過ごした留学先のパリで、ある美術館でふと目にしたピカソの作品に衝撃を受けて画家を目指したという彼だが、元々はバリバリの哲学者で思想家であり、生涯を通して貫いたのは「人間は自由である」という信念。人生の岐路において安全な道だけを選ぶ「無難な生き方」を良しとせず、あえて困難に立ち向かい、そこで得た「想定外」の体験こそが人生の喜びだと主張する。冒頭の名セリフは、「芸術とは生きる事そのものであり、人間として自由に生命を爆発させる生き方こそが芸術だ」という意味。30年も前に書かれた本だが今の日本社会における矛盾を見事に突いており、この本を読みながら「そんなこと、岡本太郎だから言えるんだ」などとシラケている読者に対しては「自分で自分をごまかすな!」とばかり容赦ない鉄拳をぶちかます。人生の主役は自分であり、自分らしく生きるためには何でもアリという生き方には我々も見習うべき。そう、「グラスの底に顔があっても良いじゃないか」なのだ。