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生きている以上自分以外のモノとの接触は避けられない。自己と他己との間に矛盾が生じたとき、それはストレスとなる。しかし矛盾した状況を「ストレス」とするかどうかを決定するのは他でもない自分。自己をコントロールする意義はそこにある。
矛盾が生じたとき、そこに自分とそれ以外のモノについて考察する機会が得られる。それは今後自らの行動を決定する発端となりうる。それはマイナスの方向に進むこともあり、プラスの方向に進むこともあるだろう。いずれにしても「変化」が訪れることには変わりない。その変化で貴重なものは、例えば「自分が今まで従っていたこと」さらに「それに対する疑いが生じるということ」、自分以外のものに目を向けてみれば「自分と同じように従っていた人」やそれによって造られた物事に溢れているということ。こうした事実に気づくということを考慮すると、ストレスやそれから発症した鬱に悩まされるということは、一つの僥倖ともいうべきなのかもしれない。しかし「生きているかぎりストレスがあるのはあたりまえ」という理屈をいいように利用して無意味な負担を押し付けてくるヒトもいらっしゃるので注意が必要。
後半の実践法で取り上げられているメソッドは、一般的に提唱されている方法がほとんどではあるが、どれも深く追求すればするほど上達するものが揃っている。すでに知っているもの、あるいは試したがうまくいかなかったものでも本書の解説はとても参考になる。こうした自己省察関連の書籍を通じて、自分は一人の人間であり悩むこともあるということ、そしてそれを解消する方法もたくさんあるということは覚えておきたい。