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きれいごとなんかじゃない。これは喪失と没落のデカダンスのうただ。儚げなうつくしさと底知れぬ闇と悲哀のコントラスト。チェット・ベイカーの晩年のうたのようだ。
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青春のある時期にしか作りえない貴重な作品群。
自分にとって喚起されたイメージの峡谷、山が浅間山とか軽井沢ではなくスイスを連想させるのは何故だろう。
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夭折の詩人、立原道造の遺した、「詩」という名の世界。
「夢みたものは……」、「溢れひたす闇に」、「麦藁帽子」等々、好きな作品はたくさんあるけれど、「のちのおもひに」には、感動とも衝撃とも、言葉にできない、「詩の力」を受けました。
言葉にならない言葉を、表現するのが、「詩」なのかもしれません。
この単行本を、リュックに入れて、バイクであちこちに出かけていた日々を、思い出します。
旅先で、この本を、ぱっ、と、開いてみると、なぜか、そのときの自分の気持ちにぴったりの「詩」が現れるのが、不思議でした。
全集で読んだことがあるのは、宮沢賢治と、立原道造の、二人だけです。
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身近にある幸せや美しさに気づかせてもらえる詩集。やさしい言葉で紡がれた、やさしい世界がたくさん詰まっています。
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青年時代に憧れた「立原道造」の世界。現在、再び全集が刊行されているので、主要な詩を読んでみたくなりました。むかし、あれだけ甘酸っぱい印象があり、この歳になって読むのは恥ずかしいと思っていたものですが、どうしてどうして!甘いというよりも、自分に問いかける哲学的な文言の多さに、新たな感動です。道造の詩には「おまへ」が度々登場し、それが恋人(水戸部あさい)だと思っていましたが、実は自分自身を客観視している場面、或いは自然を指しているように思えてきます。このほか、多い言葉に「しづかに」「私は・・・していた」という過去形、「なぜ?」「?」などの問いかけが本当に多いです。70年ほど前に亡くなった詩人でありながら、その文体の現代性、その新鮮な言葉が驚きです。以前は特に好きなのは『萱草に寄す』からは「のちのおもひに」「虹とひとと」「夏の弔い」などの過去を振り返り、失ったものの大きさに圧倒されるような詩の数々でした。今回は、『暁と夕の詩』の「やがて秋・・・」「溢れひたす闇に」の透明感、『優しい歌』の「「燕の歌」「虹の輪」「鳥啼くときに」「爽やかな五月に」の平安に満ちた情景が印象に残ります。そして『拾遺詩篇』の深い悲しみが心を打ちます。「逝く昼の歌」「草に寝て・・・」「歌ひとつ」など。
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立原道造の詩は読んでいると煌めく光や頬を撫ぜる風、ゆったりと移ろってゆく雲の流れを感じる。彼の詩は五月の新緑の季節が良く似合うように思う。彼の紡ぐ言葉の底には限りなく世界を見詰める優しい眼差しと哀しみとがある。どの作品も素晴らしく、また再読したい。お気に入りの1冊。