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愛とはなにか。罪とは?罰とは?
現実のどこかにいそうな登場人物たちには共感するところもありつつ、
どこか非現実的な感じもしましたが、細かく現実味の強い文章の描写と
切ない、やるせない内容に、終盤すっかり忘れてしまいました。
推理小説と紹介されてましたが、犯人は…?とか考えずに素直に読むことができました。
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カナダのモントリオールを舞台にした警察小説。
モントリオールを舞台にしてるっていうのがすでにシブイ。フランス移民ではじまった町が、次第にアメリカ人が増え、そしてヒスパニックが増え、ある意味アメリカよりも人種の坩堝になっているのを、パン屋の看板を例にとって語る部分なんか、職人技なのだ。
主人公は、新婚早々に妻をなくし、今心臓病をかかえている初老の刑事。街を守るためには正義だけではだめという信条で動いている。
事件自体は地味に、本当に主人公の性格を反映したかのように進んでいく。
拾った(?)売春婦の少女が花をそえないわけでもないが、やっぱりトレヴェニアンなので絵にかいたようにはならないのであった。
人生の無常を描いてる感じは、ブロックと似てると思うんだが、やっぱりトレヴェニアンのほうが乾燥している気がする。
そのうち未発表作品とかって、でてくるんだろか?
あって欲しいけど、なんか作品読んだ感じじゃ、発表を見送った作品は自分でさっさと処分しまっている人のような印象だな。
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いやー。
この本、1988年の『このミス』海外部門で一位だったんだけど、
ちょーーーーつまんなかったです。
なんで、こんなのが一位だったのかな~???
ストーリーは
吹き溜まりの街、ザ・メイン。いろんな人間たちが破れた夢を抱えて生きている。ラポワント警部補は毎日パトロールを欠かさない。ここは彼の街であり、彼が街の“法律”なのだ。そしてラポワントにも潰えた夢があった…。それは奇妙な死体だった。胸を一突きされて、祈るような格好で路地にうずくまっていた。イタリア系らしい若い男だった。街を知りつくしたラポワントは、難なく最初の手がかりをつかんだ。だがやがて浮かびあがるのはまったく意外な犯人、そしてそこにも街の悲しい過去があるのだった―。
っつうお話なんだけど、
なんかね~、だらだら書かれてて、それが500ページもあってね、読み終わるのに4日もかかってしまったわぁ。最近の私じゃ珍しいペース。
しかも、推理小説と言われるほどハラハラドキドキ感もなかったし、本の大半は主人公がどうやって毎日を過ごしてるかってこと。
カナダの警察って、殺人事件があっても週末はちゃんと休みなんだ~。
のんびりしてるよなぁ。
ああ、なんか時間、損した気分。。。。
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感想はひと言。「渋い」。
カナダのモントリオール、〝ザ・メイン〟と呼ばれる地区がこの小説の舞台である。一匹狼の〝警部補〟ラポワントは、移民や労働者、売春婦や浮浪者がひしめくこの吹きだまりの土地の秩序を、長いあいだ自分なりのやり方で守ってきたいわば〝番人〟のような存在。しかし、この街とそこに生きる人たちを誰よりも理解し愛しているのもまた、ラポワントそのひとなのである。そんな彼のホームタウンで、ある夜ひとりのチンピラが刺殺される……。
そこから話は二転三転……というわけには、ところが、全然いかないのである。事件の捜査に、動きらしきものが見えるのはようやく333頁になってから。全体の4/5は、濁った池の水面をじっと眺めているような案配。最後の1/5でその濁った水面が一気に透き通り、事件の全貌が明らかになるのである。
ただ、これはたぶんミステリではないのだろう。〝ザ・メイン〟という、時代から取り残された人々が身を寄せ合って暮らす時代から取り残された土地の物語だ。そしてその土地も、そう遠くない将来、近代化の波に押し流され消えてゆく運命にある。そしてそこに生きる人たちもまた。老兵しかり、モイシェしかり、心臓に手術不可能な動脈瘤を抱え、もはや警察署の中に味方がひとりもいない古いタイプの警官であるラポワントもまた、しかり。読了後、なんとも苦い後味が残る一冊。
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カナダという国にはどういうわけか良い印象しかありません。
それは何も知らないからなんだけど。
なんとなく寒いけれどクリーンな感じがするんです。
ま、海外はどこも観光だけじゃわからないこと、住んでみないとわからないことがたくさんあるんですけどね。
本書は冬のモントリオールを舞台にしています。
カナダの冬だから暗いのは当然なのですが、移民の吹き溜まりである下町を取り上げているせいか、話全体がどんよりと暗いです。
それが何だか意外でしょうがありませんでした。
主人公のラポワント警部補はうだつの上らない(上げようとしない?)頑固者の中年警部補。
愛妻を早くに亡くし、何もないアパートでやもめ暮らしをしています。
だけど本当は優しいいい人なんですね~。
ま、ハードボイルドにはありがちですが。
身元不明の死体を調査するためにこの街の住人たちと接していくわけなのですが、相手は売春婦、浮浪者、与太者と社会の底辺にて蠢いている人々ばかり。
その描写が素晴らしく、思わず熱中して読んでしまいます。
哀しい現実、それでも生きていかなきゃいけない人々。
最後にはなんだかやり切れない気持ちになります。
じんわりと事件を解決していくわけですが、読み応え十分!
実はトレヴェニアン作品は2作目。
本当は「シブミ」を読みたいのですが、なんせ順番に読んでいかないと気がすまない性分。
これが災いして初期の古い作品ばかり読むはめになる私。
でも、本書は読んでよかった!と思っています。
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邦題がいただけない気がするなあ。
ザ、メインでいいじゃないの。
この街がまさしくメインの物語だもの。
メインで這いずり回る人々が、悲しくも、穢れている。
別にたいしたストーリーじゃないし、事件も犯人も意外性はなく、メインにふさわしいだけ。
まあ、ラポラントは、魅力的だな。
この重く、苦しいカナダの汚れた街の空気を味わう作品だね。
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くたびれ廃れた街。ザメイン。
暗い過去と持病を抱えた警部補ラポワントは、今日も希望のないこの地域をパトロールする。
殺人事件が軸であることは間違いない。ただ、本作の魅力はこの街自体。腐りきった土地。売春婦。浮浪者。麻薬。堕ちゆく人々。未来はない。
ラポワントの信条はどこまで貫けるのか。行く末を見守る読者。
罪とはなにか?罰とはなにか?
街の行く末に哀しみが押し寄せる。人生の節目節目に読みたい傑作。
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このミス海外編1988年版1位。フロストシリーズみたいな壮年の刑事が主役の警察小説。事件自体は単純だし謎解きを楽しむのじゃなくリアルな人間模様やもの寂しい雰囲気に浸る感じ。文学っぽい。後半は雰囲気を楽しむこつが分かって面白いのですが、進まないです。大型連休があって本読む時間がなかったってのもあるのだけど2週間以上かかった。翻訳の問題なのかもしれないけど文章がすんなり頭に入ってこなくって、すぐ関係ないこと考えたりしてまう。惜しい。
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売春宿やダンスバーなどモントリオールの吹き溜まりの町ザ・メイン。
ここで起きた殺人事件をラポワント警部補は彼なりに、この町のルールなりに解決して行く。
罪悪とは?犯罪とは?と考えてしまう。
頭の中ではレオンのジャン・レノやブルース・ウィリスをラポワントの重ねてしまった。
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最初の1ページを読んだ時からこの作品は傑作だなと感じた。それも生涯忘れ得ぬほどの…。
前回読んだ『バスク、真夏の死』とは比べ物にならない読み易さと簡潔かつ的確な訳。外国の小説でこれほど町のイメージがたやすく浮かんだのは、本書が初めてではなかろうか?
それは著者が街の住人を誰一人として疎かにせず、見事に活写したため。行間から息吹が、匂いが立ち上ってくるが故に、それぞれが皆、確かに生きていた。
稀に見る傑作だ。
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モントリオールのスラム街、様々な人種の吹き溜り、ザ・メインの治安を一手に引き受ける初老の刑事と刑事に清廉さを求める理想主義な大卒新人警官が主人公。ミステリー性は低いが、掃溜めの様な人々の喘ぐような生活描写がとても哀しい。未来を見る事の出来ない邦題が物語っている。