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紙の本

はじめて向き合ったインディアンのこと。

2011/07/07 17:37

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

『むかしむかし、いまのおじいさんやおばあさんが
まだ小さな男の子や女の子だったころ・・・』という
書き出しで始まる、インガルス一家の物語、第二作。
もともとこのシリーズの最初の原稿のタイトルは
「おばあちゃんが小さな女の子だったころ」というものだった。
編集者によってタイトルが変えられる場合は多いが、
ワイルダーの場合もそうだった。
はたしてこのタイトルのままだったら、全世界の読者が
手をのばしていたかどうかはわからない。
こんな知られざるエピソードが満載の本をみつけた。
それは「大草原の小さな家の旅」(服部奈美著 93年/晶文社)である。
いまは入手しにくくなっているようだけれど、
日本人が書いたワイルダー研究本のさきがけみたいな本で、
著者の、ワイルダーと作品に対する愛情が伝わりつつも、
色々な角度から、時にはシビアな目線で
インガルス一家の物語を読み込み、読み解いたブックガイドだと思う。

わたしは第二作を読んでから(以下略)「小さな旅」を読んだのだが、
とても理解の助けになると感じた。
第二作からはまさしく西部開拓のお話が本格化し、
一家は西へ西へと進んでいくのだが、
時代背景として描かざるを得ないのはインディアンとの軋轢だ。
考えてみたらインディアンの出てくる書物を
ほかに読んだことがあっただろうか。
大きな鳥の羽根を頭につけてフライパンのように光る肌を持ち、
口に手を当てて奇妙な音を出しながら踊っている・・・・・・。
おそらく幼いときにテレビで見た映像が記憶に刻まれていて
インディアンと聞くと、そのようなシーンが浮かんでくる。
彼らについてあまりにも貧困なイメージしかなく、知ることが少ないので
ワイルダーの描く西部開拓時代に登場するインディアンについても
なんだかピンとこなかった。
しかし、「小さな旅」を読むと、
インディアン目線からの西部開拓時代が書かれている。
ワイルダーはあくまでも白人目線から、開拓時代の精神の自由と強靭さを描くが、
歴史の事実では大量のインディアンの血が流されていること、
インディアンの犠牲のうえに、あのときの発展は成り立っているということが
描き切れていない、との指摘があった。
(現在のカンザスではインディアンと白人は共生しており、結婚も多いらしい)
インガルス一家のシリーズは、もちろん子どもむけに書かれたものだし、
ワイルダー自身は歴史を書くつもりはなかったらしい。
しかし、西部開拓というアメリカが最も〈攻めていった時代〉に
すこしでも思いを馳せるならば、インディアンたちのことも
忘れるべきではないだろう。
「小さな旅」を読んで、ワイルダーの物語がひとつ深くなったと思う。

「大草原の小さな家」のなかで、インディアンは奇妙に書かれており、
白人と敵対するもの、と読みとれる。
しかし、インガルス一家のとうさんだけは、
インディアンに対し、敵対の目をむけないのだ。
これはワイルダーの配慮なのかもしれない。
人種のるつぼであるアメリカは、人種差別に敏感な国である。
以前、「ハックルベリー・フィンの冒険」や「ベニスの商人」が
黒人やユダヤ人差別にあたるとして、
授業でのテキストには使用しないという配慮を施した学校もあったらしい。
「大草原の小さな家」に出てくるインディアンのエピソードで
もっとも印象深いのは、フランス語を話すオーセージ族というインディアンの話だ。
ウィスコンシン州の大きな森から西へ馬車を走らせてきた一家が
カンザスの大草原に丸太小屋を建てた。そこへひとりのインディアンがやってくる。
そこはインディアンの居住地区だった。
当時インディアンはアメリカからの移住者たちのために当局に追いやられ、
領地を取り上げられていた。
とうぜん白人を見ておもしろい気がするわけがない。
オーセージ族のそのインディアンも、本心では怒り心頭だったことだろう。
しかし彼は友好的に一家に接した。
言葉は通じない(フランス語)から、ちょこんと座って父さんをまっすぐに見た。
父さんも落ち着いて慌てず騒がず応対し、母さんは料理を出した。
無言で料理をたいらげると、インディアンはすっくと立ち上がり、出て行ったのだ。
そのことがあってしばらくしてから、
一家の家のそばのインディアンのキャンプがやけに騒がしい。
ときの声(たぶん、アーアアーとかアワワーとか長めの発音を想像する)が
一晩中鳴り響き、ローラは恐怖で眠れない夜を過ごす。
つぎの晩、インディアンの大移動が始まった。
部族ごとに仲間割れし、てんでの方向へ馬を走らせていったのだ。
この顛末はあとで父さんが仕入れた情報によると
オーセージ族以外のすべてのインディアンは
居住地域や近辺の白人をみな殺しにする計画を立てていたらしい。
しかし、あの一緒に食事をしたインディアンが、それを必死で止めたのだ。
無駄な血を流してはいけない、と。
彼のモデルは実在していて、歴史に名前を刻んでいる。
1810年のある条約に調印しているのだ。彼の名はソルダ・デュ・シェーヌ。
父さんは近隣のひとに話す。
『ほら、たったひとりでもいいインディアンがいたじゃないか』と。
しかし、この土地に来たときのローラの問いかけには答えを出せなかった。
『ここはインディアンの土地じゃないの?』(出ていかなくても大丈夫なの?)
父さんはインディアンを卑しめる発言こそしなかったが、
彼らの居住地域に侵入し、勝手に丸太小屋を建ててしまった。
これはまぎれもない事実なのだった。
そしてローラのこのなにげない発言は、
65歳にしてこの物語を書き始めたワイルダーだったからこそ
書けたのだろうと思う。

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紙の本

大きな森を後にして。

2023/12/30 09:13

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ドラマのせいか定住しているイメージが強いインガルス一家の物語だが、西へ西へと向かう姿が描かれる。
開拓者から見える原住民の迫害の様子も、子どもの視点ではこう見えるのかと、大人になって読み返すと驚かされる。

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