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紙の本
これで私は道を踏み外しました
2006/05/02 11:15
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:松井高志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は1970年初版で、私は78年・高3のときに、くにの駅前の書店で購入した。大学入試の準備をしないでこういう本を読んでいたのだから、今よりずっと自分は度胸があったか状況判断力がなかったのであろう。その後およそ30年にわたって、拾い読みしたり通しで読んだりしている。
この本は平たく言えば「小説の書き方」を論じたものであって、2部に分かれている。
1.小説の方法について
において、17世紀以降20世紀までの、海外小説の技法の歴史が具体例とともに概説される。どのように書けば、どのような効果を読者に与えるか、を、主にリアリズム小説の手法がどのようにして発達してきたかを述べることによって明らかにしている。この章は時代を追って記述され、また主要な作家達の人物像を、技法を通して知る「列伝」でもある。
2.認識の方法について
では、言語学と哲学、心理学などから見た小説言語(表現方法)の諸要素を示すもの。こちらは小説を認識作用そのものであると規定し、前章のような「小説技法史」の体裁ではなく、立ち位置をさまざまに変えながら、どう小説の「ことば」が選ばれ使われるか=作家が世界をどう読みとるか、感じたり考えたりすることと言葉を発することとの関係が検討されていく。
というふうな内容なのだが、大抵こういう本は外人が書いたものを翻訳で読む、と相場が決まっているところ、日本人が日本人のために欧米文学技法史を料理して講じてくれているというのが長所である。自分が小説書きになりたくて仕方がなかった10代のおしまいから20代のころは、1.ばかり繰り返し読んでいたが、編集やったりライターやったりしたあげくの今では、2.の方がずっと面白い。作家や評論家の書いた「文章作法」は、「書き方の教科書」というより要するにそれを装ったその著者のキャラクター本であったりするわけなのだが、この本はそういうものではなく、一応あくまで研究書である。だが書く者にとっては今もかなり役に立つと思う。
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