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この本を読むと、使う言語によって、同じものでも違うように見えているということを発見できる。母語以外の言葉を学ぶということは、その視点を増やすことなのだと感動する。
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みかん色の猫ってどんな猫?翻訳本を読んでいてふと首を傾げたことはないだろうか。原文を照合すればorange catと出てくるだろうし、辞書を引いてもorangeオレンジ色と書いてあれば「オレンジ色の猫」と理解せざるを得ない。実は英語のorangeとは日本語でいうオレンジ色から煉瓦色までカバーしているので、orange catとは明るい茶色の猫のこと。みかん色の猫は珍しいけれど、茶色の虎猫だったら誰でも見たことがあるのではないだろうか。
こんな小さな翻訳の間違いが本全体の印象を変えてしまうことは少なくない。言語は文化背景と密接につながっており、辞書を引いただけでは理解の及ばないものも多い。この本はそんな言葉の背景に焦点をあて、記号ではなく「生きた言語」として理解するために必要な知識がぎっしり詰まっている。学校教育では学べない他言語との微妙な差異を鋭く指摘した言語社会学の権威、鈴木孝雄氏の名著。
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太陽の色は何色?
赤。
さて、果たして他の国でも同じでしょうか?
りんごは?
虹は?
言葉の意味だけでなくその文化背景を理解しないと本当のコミュニケーションは図れません。
言葉という表面に現れた現象だけを対象にする辞書の限界。
例え言葉が通じても、その言葉を通じて見ているものが違うのです。
そしてさらには音読み訓読みが存在する日本語と外国語の比較。
日本語というものがどういうものか、この本を読めばわかります。
そして、本書には書いてありませんが、日本語と外国語の違いを知ることで、効率の良い外国語の勉強の仕方もわかってしまいます。(ニヤリ)
国際社会の一員となった日本。
その言葉を見直すとともに、いかに世界に飛び出していくか。
お勧めの一冊です!
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課題図書にしては面白かったです。異文化の魅力に興味が湧く。太陽の色とか、虹の色とか、すべてにおいて周りの人でも検証したくなる。
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英語・フランス語・ロシア語・ドイツ語だけでなく、トルコ語や中国語なども含めて、りんごの色や虹の色数etcを切り口に日本語と外国語に着いて論じていくほか、日本語における漢字音訓についての検証など、面白い。
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言葉って、その国の常識や考え方を知らないと、受験勉強や大学の研究だけではわからないことがいっぱいあるんだぞ〜というお話と、日本語って便利でわかりやすい言語なんだぜ!というお話。
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途中から難しくなってお手上げでした。虹が7色だというのは日本人の概念であり、3色だという国や6色だという国もあること。オレンジ色は果物のオレンジの色に限られず、明るい茶色まで含む国もあること、そのため外国文学の邦訳には珍訳も散見される、という話は興味深かった。でも、あまり考え過ぎると翻訳の仕事なんぞできなくなっちゃうな。(2008-08-21読了)
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前半は、言語によって世界の区切り方が異なる、という言語学の最も基本的な考え方の1つを、色彩語彙を取り上げて分かりやすく紹介している。後半はいかに日本語が漢字に依存する言語であるか、漢字の特徴や利点といった点について書かれている。
前半は高校生の現代文で読まされるくらい有名な部分で、分かりやすく面白いので、読む価値があると思う。後半は英語にもe.g.やi.e.には「音読み」と「訓読み」がある、という部分が興味深い。また、、この本の書かれている時(1990年、今からもう20年前)にはもう、カタカナ語が増えてきているという事実があり、既にきちんと分析されている点が面白い。(09/01/06)
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[ 内容 ]
辞書を頼りに小説や文献を読んでいるだけでは、他国や他民族の理解は難しいのではないか。
6色の虹、黄色い太陽、恥部としての足など、興味深い例をあげながら、国による文化の違いを語るとともに、漢字の知られざる働きに光を当てて日本語の長所をも浮き彫りにする。
真の国際理解を進める上で必読の、ことばについてのユニークな考察。
[ 目次 ]
第1章 ことばで世界をどう捉えるか
第2章 虹は7色か
第3章 日本人はイギリスを理解しているか
第4章 漢字の知られざる働き1―音読みと訓読みの関係
第5章 漢字の知られざる働き2―視覚的弁別要素の必要性
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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外国語やってるひとは読んで損ないかも けど序盤の退屈さは異常 読んでてしんどくなった でもだんだん面白くなってきて 最終的には楽しく読めたし 勉強になりました
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前に読んだ「ことばと文化」もべらぼうに面白かったが、
これもそれに迫る勢いで面白い。
りんごは何色か、
太陽は何色か、
虹は七色か、
といった日常的の一旦から、
言葉と密接にかかわる文化の違いを明らかにしていく様はエキサイティング。
辞書での意味の一致が必ずしも環境認識と一致しているとは限らない、
というのは見落としがちな事実だな。
他にも、
イギリス人が靴を脱ぐのを嫌がるのは、
「足」の持つ根本的な意味の違いから来ているという考察。
日本語の漢字の音読みと訓読みという、
同一概念の二重音声化と同一表記の双面性が、
高級語彙の理解に寄与しているという考察。
日本語が音声と映像という、
二つの異質な伝達刺激を必要とする言語であり、
それが日本の識字率の高さの要因のひとつであるという考察。
などなど、
枚挙に暇がないくらい、
数々の「気付き」を与えてくれる良書である。
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日本語学、やりたいなーって思いはじめたきっかけのひとつ。学問的なことはそんなに書いてなくって、虹の色の数が国によって違うとか、蝶と蛾の区別がない国があるとか、ご当地トリビアのグローバル版みたいな。ともかくも、面白い内容です。
ことばを見ることで、その国の関心ごとがわかったりするので、自分たちの感性を知る手掛かりにもなるかと。
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著者の「ことばと文化」が大学の授業で教科書として指定されていたので読んだのだが、それがすごく面白かった。
なのでこの著者のほかの作品で興味深そうなものを図書館で探して手に取ったのがこの本だった。
全部は読まず、特に興味を惹かれた「漢字の知られざる働き(1)(2)」だけを読んだ。
日本語と英語における、高級語彙の作られ方の違いの話が面白かった。
ここで使われている「高級語彙」とはおもに自然科学や医療など専門性の高い用語を指しているようだ。
英語の高級語彙は主にラテン語やギリシャ語から作られており、その専門ではない人にとっては単語を一瞥しただけではちっとも意味が分からない。
一方日本語のそれはたとえば「猿人」「高所恐怖症」など普段使う漢字の組み合わせで作られており、誰にとっても意味が分かりやすい。
この点で日本語は優れた言語であるという主張だ。
だが漢字を使わずに音だけで表現すると「こうしょきょうふしょう」となり英語同様意味がとりずらい。
一方ドイツ語は表記の面でも音の面でも、高級語彙は基本的に日常的に使う語の組み合わせで作られているそうだ。(だからドイツ語の単語ってあんなに長いのか・・・)
その点では日本語は高級語彙の作られ方については英語とドイツ語の中間に位置するそうだ。
では中国語はどうなんだろうか?いろいろな言語で調べてみたいと思った。
漢字が音読みと訓読みを結びつける役割を果たすものであるという話も面白い。
言われてみれば、全く違う発音が一つの言葉の裏表のように存在するのは不思議だ。日本語独自の構造に興味が持てた。
音素が少ないせいで音だけでコミュニケーションしようとすると語彙の数が英語などと比べて圧倒的に少なくなってしまうという短所を
実は漢字が補っているのだという話も面白かった。コンピュータの二進数のたとえが良かった。
一方で、著者の主張に対して「こういう考え方もできるかも?」と思った点もあった。
高級語彙というのが具体的にどういう定義で使われているのかよくわからないが、例えば難しい英単語の中には接頭辞、語根、接尾辞の組み合わせでできている単語が多い。
例えばretrospective「回顧的な」、という英単語はretro, spect,-iveという三つの部分からなる単語だ。そして一つ一つのパーツは「レトロ」などごく平易な英単語に使われているものだ。こういった英単語は、日本語の高級語彙を作るときに漢字が果たしている役割を果たしているといえるのではないだろうか。
全体を通じて、日本語の良さを見直したいという著者の主張が強く伝わってくる。
「ことばと文化」同様、語学が好きな人は読んで絶対に損無し!!
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2007年01月22日 01:58
入試小論対策。
最初は、この鈴木孝夫さんの自信満々さにいちいちむかついてたけどだんだん笑えるようになってきた。
だって「この言語は私はかなり以前から注目しており、◎◎と名付けた。」とか「それに関しては鈴木孝夫著の「なんちゃらかんちゃら」参照。」とかめっちゃ自己アピール激しい。
内容は・・無意識的文化強制(諸国での虹の色に関する認識の相違)が興味深かった。
「郷に入れば郷に従え」というのはあまりにも異文化理解が浅すぎますね。
異文化理解って難しいよな。あたりまえやけど。
あと高等語[難しいことば。高所恐怖症とか、水頭病とか。]の話もちょっとためになった。
日本語は基本となりうる単語にそれぞれ漢字がある。だからそれらをくっつけて熟語→高等語を作っても、意味は大体わかってしまう。
でも英語は元がギリシャ語からきてる。だから高等語も、基本英単語の構成でできてるんじゃなくて、ギリシャ語由来。だからまったく意味がつかめない。
例えばわたしたち日本人がho-shokuseiとko-hiju-って文字を見ただけじゃわかりにくい。てか私はわからん。ホウショクセイ、、飽食性とか奉職性とか宝飾性とか……。コウヒジュウ?高比重とか公費銃とか……?
だけどそれを漢字でかくとそれだけで瞬時に我々は今まで見当もつかなかった意味不単語がわかる。
ホウショクセイ…蜂食性
コウヒジュウ…厚皮獣
ああ、ホウショクセイってのはよく知らんけど、蜂を食べる性質ってことで、コウヒジュウは厚い皮をもつ獣か。
でも、これを英語にしたからって、蜂食性がbeeeatingになったり厚皮獣がtaughfaranimalになったりすることは決してない。
蜂食性はapivorous、厚皮獣はpachyderm。
面影ない!
ここででてくるのが噂のギリシャ文字。これらはギリシャ文字起源。
そして「だからか!!!」とすっごく納得してしまったこと。→英熟語で、「まったくわからない」「見当もつかない」は「It's all Greek to me.」だけど、
「なんでぐりーくとぅーみーなんやろ?」と文法書を見た時思ったんですが。
そう!!!!Greekなんだよ!!!!こっからきてたんだよ!!!!!!!!すげ───!!!!
まぁあとは憎たらしい本ですが、読んで損はなかったかな。
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タイトル通り日本語と外国語の違いなんだが、普通に勉強してるだけじゃ気付かないような意味の違いを解説している。
色に対する認識の違いなどは目から鱗が落ちるような思い。
また、「とる」という言葉に対する違いも、日本語では漢字による表記分けがあるが、英語では用途によって単語が違う。どちらも同じようなものだと思っていたが、日本語では口語だけでは意味が判別できず漢字による表記が必要になる(といっても文脈でわかるだろうが)など、気付かされることが色々あった。
世界共通言語を作るにはこういったそれぞれのものに対する認識を共通化させることをせねばならないという点などは「なるほど」と思える内容だった。
言語だけでなく、国(言葉)による物事の捉え方の違いを知るきっかけにもなる一冊。