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何も読みたい本が見つからないとき、これを持って外出。クリスチャンじゃないけど、全部に賛成できないけど、なんか好きです。
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半分以上をしめる、いかにキリスト教は云々・・・みたいなのはうざいんだが、それでも、読む価値はあるよね。
宗教ってそんなもんだと思うけど、キリスト教の異様に感じる確信ってのが、アジア人的には理解できぬ。むむ。例外がないんだもん。
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パスカルの「パンセ」とよばれているものは、そういうタイトルで一冊の本を書き下ろしたわけではなく、パスカルがあちこちにメモとして書き残した覚え書きをまとめて編集されたものであるらしい。
だから、出版社によって、その構成もいくつかレパートリーがあるようで、この白水社の「パンセ」は、語られている内容のジャンルごとに章を分けてあって読みやすかった。分冊ではなく、一冊にまとまっているところもいい。
面白いのは、優れた数学者であったパスカルが「幾何学的精神」と呼ぶ論理的な思考と並行して、「繊細の精神」と呼ぶ、情緒的な思考を併せ持っていたことで、ものすごく詩的な表現が多いことだ。
たとえば「人間は考える葦である」という言葉も、全文は結構長く、それを読むと、パスカルという人は随分と繊細な感覚を持っていたんだという気がする。
『人間は一茎の葦にすぎない。自然のうちでもっとも弱いものである。だが、それは考える葦である。かれをおしつぶすには、全宇宙が武装するにはおよばない。ひと吹きの蒸気、ひとしずくの水が、かれを殺すのに十分である。しかし、宇宙がかれをおしつぶしても、人間はかれを殺すものよりもいっそう高貴であろう。なぜなら、かれは自分の死ぬことと、宇宙がかれを超えていることを知っているが、宇宙はそれらのことを何も知らないからである。』(原63)(p.142)
特に良いと思った言葉は、前半部分の「幾何学的精神と繊細の精神」「人間学」「法律」あたりに集中していた。
後半になると、キリスト教の話題がメインになって、このあたりは、バックグラウンドになっている聖書についての知識がないとさっぱりわからない。
語られている内容はとても幅広く、文章の長さにしても、長文といえるようなものから、数行の覚え書きのような短いものまで、雑多に入り交じっている。短いメモのようなもののほうが、はっきりシンプルに言い切っていて、好みの言葉が多い。
(※「原○○」とあるのは原著に振られた通し番号)
理知のそこなわれることがあるように、直感のそこなわれることもある。
理知と直感とは会話によってやしなわれ、理知と直感とは会話によってそこなわれる。このように、よい会話や悪い会話は、それらをやしなったりそこなったりする。だから、それらをそこなわずにやしなっていくには、えらぶことをわきまえなければならない。ところで、理知と直感とがすでにやしなわれてそこなわれずにいるのでなければ、この選択をすることはできない。したがって、このことは循環する。そのなかからのがれでる人はしあわせである。(原51)(p.16)
人はたいてい他人のあたまのなかでできた理由によるよりも、自分自身で見いだした理由によってよりいっそうよく納得するものである。(原201)(p.17)
自然な談話が、ある情念や感銘を描く場合、人は自分が聞いていることの真実、すなわち前から自分のうちにあったのだが、そうとは知らずにいた真実を発見し、そこからそれを感じさせてくれた人を愛好するようになる。なぜなら、その人はわれわれにその人のよいものを示したのでなく、われわれのよいものを示してくれたのだから。(原420)(p.18)
ある著者たちは自分の著作のことを「わたしの本、わたいの注解、わたしの物語、等々」と言う。かれらは自分の家に住んで、しじゅう「自宅では」を口にする町人根性を脱していない。むしろ「われわれの本、われわれの注解、われわれの物語、等々」と言うべきである。その理由は、ふつうそれらのうちには、かれら自身のものよりも他人のものがいっそう多くはいっているからだ。(ボッシュ版増補2)(p.27)
虚栄は人間の心に深く錨をおろしているので、兵士も、従卒も、コックも、人足も、それぞれじまんして、自分の称賛者をえようとする。哲学者ですら、おなじことを望む。栄誉に反対する論者も、よく論じたという栄誉をえたいと願う。またそれを読む人も、それを読んだという栄誉をえようと思う。そして、これを書いているわたしも、おそらくおなじ欲望を持っているだろう。またおそらくこれを読む人も・・(原49)(p.72)
好奇心は虚栄にほかならない。多くの場合、人が知ろうとするのは、それを話すためにほかならない。そうでなければ、人は航海などしないであろう、そのことをべつに話すのでもなく、また見たことをひとり楽しむだけで、人に伝えるという希望もなければ。(原75)(p.73)
みじめなわれわれをなぐさめてくれる唯一のものは、気ばらしである。とはいえ、これこそわれわれのみじめさの最大のものだ。なぜなら、これはわれわれが自分をかえりみるのをことさらにさまたげ、われわれを知らずしらず滅びにいたらせるものだからである。(原79)(p.77)
わたしの生涯のみじかい期間が、その前と後との永遠のうちに没し、わたしが占めておりげんに見ているこの小さい空間が、自分の知らないまた自分を知らない無限の空間のうちに沈んでいるのを考えるとき、わたしは自分がここにいてあそこにいないことに、恐れとおどろきとを感じる。なぜなら、なぜあそこにいないでここにいるのか、あのときにいないで今いるのか、その理由がないからである。だれがわたしをここにおいたのか?だれの命令と処置とによって、この所とこの時とがわたしにあてがわれたのか?(原67)(p.94)
われわれは似寄った連中との交際に安んじてよろこんでいる。われわれと同様にみじめで、同様に無力なかれらは、けっして助けにはなるまい。人はひとりで死ぬであろう。
だから、人はひとりであるかのように行動しなければならない。そうすれば、宏壮な家をたてるようなことをすべきであろうか?ためらわずに真理を求めるべきである。それを拒む人があったら、その人は真理の追究よりも、人間の栄誉をおもんじていることを示している。(原63)(p.96)
理性の最後の一歩は、理性を超えるものが無数にあるということを認めることだ。それを認めるところまでいたりえないとしたら、理性は弱いものにすぎない。(原247)(p.118)
正しいものが服従をうけるのは当然であり、もっとも強いものが服従をうけるのは必然である。
力のない正義は無効であり、正義のない力は圧政である。
力のない正義は反抗をまねく。なぜなら、世には悪人が絶えないからである。正義のない力は攻撃される。だから、正義と力とをむすびつけなければならない。またそのためには、正しいものを強くするか、強いものを���しくするか、しなければならない。
正義は論議されがちであり、力ははなはだ容認されやすく、論議されない。そこで、人は正義に力を与えることができなかった。それというのは、力は正義に反抗して、正義は不正であり、自分こそ正義であると言ったからである。
このようにして、人は正しいものを強くすることができなかったので、強いものを正しいとしたのである。(原169)(p.128)
一つの徳、たとえば勇気を極度に持っていても、異常な勇気と異常な寛容とを持っていたエパミノンダスのように、同時に反対の特を極度に持っていなければ、わたしはいっこう感心しない。そうでなければ、向上でなく、堕落であるからだ。人は一つの極端に走ることによって、その偉大さを示すものではない。同時に二つの極端に達し、両者の全中間を満たすことによって、それを示すものだ。(原425)(p.143)
自分の悲惨を知らずに神を知ることは、高慢を生みだす。
神を知らずに自分の悲惨を知ることは、絶望を生みだす。
イエス・キリストを知ることは中間をとらせる。なぜなら、かれにおいてわれわれは神とわれわれの悲惨とを見いだすからである。(原416)(p.202)
今さら言ってもむだなことだが、キリスト教のうちに何かおどろくべきものがあるということは認めなければならない。「それはきみがそのなかで生まれたからだ」と言う人がいるかも知れない。どういたしまして。わたしはそういう理由があればこそ、その先入見にさそわれはしないかと、大いに警戒しているのだ。しかし、自分がそのなかで生まれたにせよ、それがおどろくべきものであることは認めずにはいられない。(原41)(p.239)
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白水社 パスカル 「 パンセ 」
900以上の断章で構成された啓蒙書。人間探究の本として秀逸。現代にも通じる名言が多い。アンダーラインを引いた数は過去イチ
多くのテーマがバラバラに配置され、順番通り読んでも 著者の結論につながりにくい。解説本の併読がポイントだと思う。私は 鹿島茂 氏、山上浩嗣 氏の解説本を併読
人間探究の主なテーマ
*科学と神の存在、賭け
*気晴らしと習慣
*虚栄心と自己愛、私とは何か
*政治における力と正義
*人間は考える一本の茎
*クレオパトラの鼻
*中庸
著者の人間像は、幸福を求め、時間とともに変化し、悲惨と偉大さを持つ弱者。どの人間探究においても 二項対立の超克を試みている
恩寵、奇跡、隠れた神などキリスト教の真理や神秘について 触れない解説本が多い。断章600以降の解説本があったら読んでみたい。
人間研究
425 人間はすべて幸福になろうとしている
169 165 109 170 137 138 139
ウサギ狩り
ウサギそのものに幸福はない、気晴らしになり、私たちの死や悲惨の恐怖を忘れさせてくれる
139 気晴らしは、世間の人々にとって、それがないと気が滅入るほど重要なものである
135 143 131 171 10 9
100 自己愛の本質〜自我の本質は、自分しか愛さず、自分しか尊敬しないこと
147 44 150 148 149 151 152 153 404
455 自我は憎むべきもの
323 私とは何か?人はその人そのものを愛せず、その性質だけを愛しているのだ〜人は借り物の性質以外は、誰も愛することができない
100 人がしていることは、互に騙し合い、へつらうことである
42 102 155 111
122 時が悩みや争いを癒すのは、人が変わり、もはや以前の人ではないからだ
121 88
7 人は理知を多く持つにつれて、特異な人が多いことに気がつく。平凡な人は人の差異に気づかない
97 一生のうち一番大事なのは、職業の選択である〜偶然によって選ばれた職業は続けるうちに習慣になり、苦痛ではなくなる
93 92 97 91
37 人は全般を通じることはできず〜万事を少しずつ知らなければならない〜パスカルの理想は人間性が卓越したオネットム
35 29 22 43 47 25 84 72
162 クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、地球の表面は変わっていただろう〜小さな差異が、カエサルやアントニウスを恋に狂わせ、ローマによるエジプト征服という大事に至った
298 力のない正義は無効であり、正義のない力は圧政である〜人は正しいものを強くすることができなかったので、強いものを正しいとした
293 294 295 301 309
416 人は〜人間のうちに偉大と悲惨とを見いだす
397 199 166 175 183 198 398 399 400 409 418
346 思考は人間の偉大さをつくる
347 人間は一茎の葦にすぎない
〜人間は卑小と同時に偉大であるが、それは考えるために創られた存在だから
146 339 97 365
230 神があることは不可解であり、神がいないことも不可解である〜神は存在する
77 233 280 233 425 437 441
〈キ���ワードと各断章〉
断章1〜99
*幾何学と繊細の精神 1 282 4 67 34
*言葉 47 23 50 53 25 16 4
*無知 4 462 327 18 152 588
*内なる時間 5 122 123 505
*会話 6 57 58
*人間の多様性 7 332
*順序 22 187 283 373
*理想的な人間 68 30 38 36 194
*快 32 33 62 29 14 471
*オネットム 35 36 542 18 150
*虚栄心 44 153 152 404
*モンテーニュ 63 62 315 64
*知識 67 79 144
*適量の酒 71 381 72
*馬鹿 414 80
*想像力 82 304
*些細な力 347 367 366 82 160 434
*笑い 133 82 162
*自分の意志に従う 99 581 81
*自然はあざむく 580 91
断章100〜199
*自我 100 455 451
*移り気の修正 107 110
*多様性 114 115 122 119 121 670 129
*人を愛する 323 123
*内なる時間 5 122 123 505
*笑い 133 82 162
*気晴らし 139 171
*知識 67 79 144
*オネットム 35 36 542 18 150
*考えない葦 347 348 146
*三つの邪悪 458 152 476 479
*虚栄心 44 153 152 404
*無知 327 18 152 588
*不安 168 139 171
*些細な力 347 367 366 82 160
434
*ピュロン主義 434 395 184
*順序 22 187 283 373
*メメントモリ 210 200 194
*宗教を疑う人の不幸 187 194
*魂の存在 194 219 226
*来世 233 194 206
*理想的な人間 68 30 38 36 194
断章200〜299
*神の証明 200 230 288 818 430 288 670
*メメントモリ 210 200 194
*魂の存在 194 219 226
*地獄 213 262
*来世 233 194
*機械と習慣 252 246 233
*信じる 280 283 252
*パスカルの奇跡 263 559の2
*幾何学と繊細の精神 1 282 4
*順序 22 187 283 373
*神が定めた法則 294 393 312
断章300〜399
*想像力 82 304
*モンテーニュ 63 62 315 64
*人を愛する 323 123
*考えない葦 347 348 146
*無知 327 18 152 588
*圧政 332 878
*人間の多様性 7 332
*正義 334 453 324 320の2
*些細な力 347 367 366 82 160
*不安 358 339
*人間は「考える葦」 347 146
*人間の卑小さ、偉大さ 346 343 397
*神が定めた法則 294 393 312
*適量の酒 71 381 72
*順序 22 187 283 373
*ピュロン主義 434 395 184
断章400〜499
*虚栄心 44 153 152 404 472
*馬鹿 414 80
*幸せ 425 169 437
*卑小な自分 510 423
*些細な力 347 367 366 82 160 434
*ピュロン主義 434 395 184
*内なる神の声 434 430 553 555
*三つの邪悪 458 152 476 479
*自我 100 455 451
*快 32 33 62 29 14 471
断章500〜599
*内なる時間 5 122 123 505
*卑小な自分 510 423
*自分の意志に従う 99 581 81
*自然はあざむく 580 91
*ユダヤ人 670 601 571
*無知 327 18 152 588
断章600〜
*多様性 114 115 122 119 121 670 129
*ユダヤ人 670 601 571
*神 430 288 670
*神の奇跡 288 818