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紙の本

疾風激愛王女

2015/09/21 22:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

「バビロンの王女」は、その名が示すように、神話のような古代の英雄、美女らの誇りと勇気によって紡ぎ出される、王女が恋しい男を追って世界中を巡ってしまうという活劇風物語。一方で王ら権力者達の欲望が不条理な大戦争を引き起こしていくが、王女らはそこから超然として、いっさんに恋人を目指していく。そこに意図してなのかどうか、近代の個人主義的行動と古代的価値観の間の相剋もありそうだ。
さらに王女の追跡行は、アラブ世界を飛び出して、ロシアから北欧、そしてオランダ、フランスらしき国々へも達するが、それらの国々の文明は近代的ユートピアに擬されており、ここで神話的世界を大きく逸脱していく。すなわち社会批判が目的なのは明白なのだが、しかし読んでいると王女の疾風迅雷の行動力にばかり意識を奪われてしまう。
そして結局いろいろの能書きの果てに、この愛らしく激しい気性の王女の、活気と熱情に溢れたロマンスの行方が謳い上げられてしまうのは、魅力的な人物がすべて引っ攫っていってしまうという、小説というものの性質に作者も押し流されてしまったようだ。
「アマベッドの手紙」は、インドに生まれ育って暮らす夫妻が、キリスト教宣教師の罠にかけられて、背教者として訴えられた上に、耐えがたい屈辱を受けさせられる。教会の腐敗への批判として書かれているのは明白だ。夫妻は裁判にかけられるべく、ポルトガルを経由して長い船旅を経てローマに送られるのだが、高潔な人柄が事態を逆転させ、意外にして混沌とした結末へと導く。
元々夫妻は宗教的高みにもあって、品性、道徳も優れ、また思考は柔軟で視野も広く、度重なる屈辱にもそれが損なわれることは無い。これに対し粗野で暴力的なのは宣教師の方であり、ヨーロッパ人達も彼らに接するや、信教上の建て前は追いやって心を開かざるを得ない。
これらの作品では、当時の世相への批判というだけでなく、比較対象としての東方の知恵に対する畏敬の念が含まれている。またそれらを描いていくほどに、知らずにその深みに嵌り込んでいるようにも見える。同時に作者の世界認識の広範さや深みが、どこまでも作品を魅力的にしていく。
実はこれらの作品は、当時はコントと呼ばれていたのだが、作者の思想を純粋な形で伝えるという芸術の枠を少しずつはみ出していっているのではないかという気がする。それが小説という形態の魔力であり、作者のあらゆる見識や美意識が反映されてしまうのではないのかと。

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