紙の本
エコ教授の知的作法
2000/11/26 15:13
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dakara - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説家にして学者であるウンベルト・エコ教授が、いかに研究を進めるべきか、また論文はどう書けばよいのかを丁寧に指南してくれる本です。
そもそもなぜ卒論や博士論文を書かなくてはならないのかということから始まり、テーマの選び方や文献の探し方、カードの作り方、原稿の書き方などが順を追って解説されています。
原著はイタリアで出版されているだけに、ちょっと日本になじまない点がありますが、それでも「卒論(博士論文)においては、論文のテーマよりも、論文を書くための一連の作業経験の方が重要である」ということや、「作業仮説として目次を使う」などユニークな主張で溢れています。
ひとつ付け加えておきたいことは、エコが論文作成にかかる時間は「3年以上でも、6ヶ月以下でもない」といっていることです。
したがって、本書は、論文を急遽まとめなければならないという人には向いていませんが、じっくり時間をかけていいものを書こうという人には必ずやいいヒントを提供してくれるはずです。
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全世界で1000万部以上売れた小説『薔薇の名前』の著者で、記号論の世界的権威であるイタリア人哲学者エーコによる、論文の書き方講座。筆者の専門は哲学・文学であるが、この本は人文科学に限らず自然科学分野でも論文指南の良書として知られる。入門書にしてはやや高級。「論文を作成するのは楽しむことを意味するし、論文とは、何も無駄にならない点で、豚みたいなものなのだ」というコメントは絶妙。豚って。。。
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論文を書くに当たっての手引き書。書く方法やテーマの選び方、引用や注の書き方などほぼ全課程にわたり、参考とするべき本。書き方の例も多数。読書カードなどにより、本を整理する方法の実例もあり。
最低限のマナーであり、守らなければならないルールが分かりやすく書いてあり、卒論を書くようになるまでに読んでおくことをおすすめする。
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学生のときに買った本。結局論文は書かずに卒業してしまったけれど、文科系の論文を作る際の諸手続きについて、イメージすることができる。久々に読み返してみました。
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名作「薔薇の名前」の作者であるウンベルト・エーコによる、論文執筆の指南書。
論文ってどうやって書けばいいの?どこから手をつけたらいいの?という論文初心者を懇切丁寧に導いてくれる。
論文の手順をイメージすることができたところが良かった。さあ、はじめよう!と気合いスイッチが入りました。
まず各種カードを作るところから始めようかな。
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内容は古かったりするが、本質は変わらないんだろうな。エーコ先生の語り口が面白い。「先細のカラー・マジックペンを使いたまえ」など。
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時代の違い、お国柄の違いはあるものの、本質的なことが書かれていると感じる。表面的なテクニックに走ることを戒めるプロフェッショナルとしての姿勢がすばらしい。
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エーコ大先生の論文指南書。テーマ決め、資料集、計画、執筆と各フェーズに応じて、研究の心得が詳細に書かれている。ターゲットは人文系の論文だが社会科学にも使える。
とはいえ、けっこう冗長だし日本には当てはまらないところもあるので、論文の書き方系の本初めて読む人、あるいは初めて論文を書く人には向かないようにも思う。いちど論文を書いて苦しんだことのある人の方が、細かいところで示唆を得る、という使い方がいい気がする。
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自分にも論文が書けるような気がしてくる。
使う専門用語を、誰でも知っているでしょうコレと早合点せず丁寧に註などで説明する誠実な姿勢や、美しい文体で記された文学作品などを論ずるとき、あたかも自らも詩人であるかのような酔狂な文体で語ってはならないことを、その教えのとおり、丁寧に簡明な文章で説いてくれるのには学ぶところが多くありました。まだ、一文を短かくする実践がうまくいかないわたくしではありますが。野矢茂樹『大人のための国語ゼミ』を読みながら訓練します、精進します。