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紙の本

あちら側の連環

2011/02/21 22:37

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

え、え、次から次へと目が廻ります。慶滋保胤(かものやすたね)から入ります。陰陽師の家系だが、文に優れた人であったという。文を作れるということは、思想や感情といった形の無いものを世に現す技術であるゆえに、珍重されたと思しい。しかるに彼を「純情で押し切る」人だったと評する。いずれ世間からは面倒くさがられるようになると言ってるわけだ。あはは、キツイなあ。
この保胤が出家して寂心となり、三河で大江定基のところに身を寄せる。この定基の愛人と妻の確執がすごいことになる。仲裁に入ったのが友人の大江匡衡とその妻赤染右衛門。特に赤染右衛門が讃じられるが、この人の振る舞い、素敵さは痛快である。一方定基の妻は去り、しかしそのうちに愛人は病死する。定基は死体を葬むるに忍びずに添い寝していたが、幾日かして「口を吸いたりけるに、あさましき香の口より出来たる」ということになって、そこでさすがに常識が働くことになったという。脳がしびれるような話なのだが、そこをさらさらと書き流す達観もまたぐっと来る。
定基は世を捨て、寂心の元でこれも入道寂照となる。そして色々のいきさつがあって宋に渡る。そこで丁謂という人に知古となり、詩を送り合ったりする。丁謂は天香伝なる書物で、史上初めて香について論じた人であるという。
まさに生々流転であるが、それも様々な文献に精通したからこそ、連環として捉えることができたのだろう。ただ一貫して権力や富といったものからは遠い話で、露伴のアンテナはそういう方向に敏感に反応するらしい。それも雲の上を歩くような、浮世離れした人々がここでは掘り下げられる。
もう一編の「プラクリチ」は、一転して、釈迦の弟子アーナンダに恋した少女の物語だ。むろん相手は僧であるから結ばれることはない。尼僧となって寺で仕えるのだ。低いカーストで、女で、多くの人々の思惑が交錯する釈迦の周囲で、それは簡単なことではない。だが釈迦やアーナンダは波紋の大きさをものともせず、そうやってプラクリチを救い、愛おしむのだ。その情を見いだしたのも、また露伴ならではだろうか。後難も顧みずに目の前の小さな苦しみを救う行為に、なにかしら仏教の根源らしきものも感じられる。
保胤やその連環の人々にしても、情に忠実なあまり世の主流からは外れていく感もある。「魔法修行者」などでもそうだが、彼らにはその幽玄こそが紛れも無く確固たる現実であることを、傍流として片付けずに、露伴がそちら側の視点からすくいあげているという様相である。そういう、向こう側にいる人々の連環は、もちろん現代でも続いていることに思いを馳せる。

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紙の本

登場人物が連環する『連環記』

2019/09/06 19:54

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る

『プラクリチ』について。阿難とプラクリチとの恋愛談ですが、結構面白かったです。仏に根ざした人物でも恋愛には悩むという所が人間味があって共感を覚えました。
 『連環記』について。保胤に始まり最後は丁謂まで連綿と綴られていきます。和歌が随所に散りばめられ、いい華添えになっています。後半からはかなり漢文体になってきます。露伴の特徴的スタイルです。
 2作とも読んでおいて良い作品ですし、何と言っても露伴スタイルに触れる事が出来る幸せを噛み締められます。

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