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この本の誕生に関わった。
わがまま言って写真を整理して頂き、忙しい中著作活動に時間を割いていただいた。思えば外野で本にしたいと騒いでいただけだ。今思えば相当な冷や汗物だ。
ただ私は、パタゴニアには人を自然の美しさへ感応させる力がある。「難しい調査レポートより、この自然への感動を子供達楽しめなくなるのは嫌だ」という事実のほうが、環境保全への願い、行動を導き出すと今も信じている。
パタゴニアの多彩な氷河が見せるの不思議。山脈を挟んで陸側は熱帯、海側は氷河、山頂の乱気流、崩れ落ちる氷河のダイナミックな終焉。航空機からワインのビンを落としても割れることなくすっぽり受け止める雪。その情景は、想像するだけでワクワク飛び跳ねたくなる。時々あらわれるUOFO雲は、高速で回転している。その雲の上に熊のぬいぐるみを置いて眺めたら、ただただ楽しいだろうと思う。
パタゴニア幻想、青い雪。酸素と太陽との合作が見せるパタゴニアンブルーの世界。
調査団が入まで誰も見たことになかった未知。あれ以降もまた未知の世界にもどった。というと、そんなことはないと思われるかもしれないが、本当のはなし。
パタゴニア氷河は南北に長く、大きいのだ。ここで紹介されている奥地の氷河は、ほんとうにまた未踏の地になった。
氷河に中のおたまじゃくしの池は、どうなっているのだろう。調査隊だからこそ、見つけた自然の姿が写真とともに語られている。新種の虫も蝶も、そのとき発見された。
残念なのは、この本が絶版になってしまったこと。
電子図書で復活したいと思っている。未来に残す価値を持っていると思う。著者の中島先生から託された再販の願いに応えられるかな?
構想から初版までも9年かかった。あきらめないでがんばれるといいなぁ。