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なんともいえない牧歌的な空気が魅力。
突然学校にきょうりゅうがやってきて大人達は大あわて。校長先生はすぐさまはくぶつかんかどうぶつえんに「しまつ」してもらおうと連絡をとり、担任のケイ先生や給食のおばさんもきょうりゅうを締め出そうと‘排除’の行動をみせる。
一方で子供たちは食事を与えてみたり話をしたいな、と’共存’の行動をみせる。
月並みながらこの「きょうりゅう」は異文化の象徴として描かれていると思われ、大人達はすぐさま拒絶の姿勢を見せるが子供達はまず対話・理解という方向で動く。
グローバリゼーションが叫ばれて昨今、世界的にも未だに異文化への理解が浸透したとは言い難いように思う。とりわけわれわれ日本人。
もちろんこの作品が発行された30年前と比べれば義務教育でも多様化や外国文化について触れられるようになったと思うが、それでも〈実際の〉教育現場ではやっぱりそんなには膾炙していない。
現役教員の妻の発言からも無意識的な差別はひしひしと感じ取れる。
まず我々大人が、率先して作中のトムのように柔軟になるべきだと思う。
無論、何でもかんでも受け入れればよいというものではないとは思うが。
45刷
2021.11.2