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片岡義雄の書評本『本を読む人』に紹介されている中で、数少ない翻訳が出ている本の中の1冊。1990年前後の、あの頃の日本、アメリカ人が見た日本の様子が分かって面白そうと読んでみた。
「25歳までに結婚しなかったら、(中略)『クリスマスケーキ』と呼ぶ人がいるわ」
なんて当時は確かに言われてた。アメリカ人が聞いても、その表現は奇異に映ったのだろうか(笑)
コンピュータ会社の日本支店でとある夏の3か月を過ごすことになったアメリカ人青年の日本体験記。どうやら、著者も同じような立場で日本でホームステイして過ごしたので、なかば私小説的なものだったのだろう。 当時の日本の、東京の街の様子は、そこそこ興味深い。
ホームステイ先の母親との会話、疲れている彼女を労おうと言葉をかける主人公アレック、
「いつも働いているからですよ、お母さん」
「働いてるですって?私は働いてないわよ。家のことをやってるだけ」
こんなところにも当時の日本女性の労働観が出ていて面白いものだ。
”「スゴイ」 これは彼女が感銘をうけたことを表す言葉である。” と書くのも、学習した日本語と実際に使われている用法の違いか。 今なら、「ヤバい」あたりが例として記されることだろう。
ガイジンが、我々を、日本という国をどう見ているか、やや自虐的に楽しむことは出来たが、上記のように、今さらながら、あまりにも陳腐というか、使い古された感が多く、後半は殆ど読み飛ばしてしまった。
アメリカ人が旅の中で自己を見出し、成長を遂げていくという、アメリカン・フィクションの中の重要なジャンルのひとつということだが(いわゆる自己発見の旅ってやつ?)、正直、つまらなかった。
あれ、日本で自転車に乗ったっけ?(ってくらい、後半は斜め読み。幼少期、セントラルパークで自転車に乗ったという思い出は出て来てたけど)。