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社会科学の論理によせて みんなのレビュー
- ユルゲン・ハーバーマス (著), 清水 多吉 (ほか訳)
- 税込価格:4,400円(40pt)
- 出版社:国文社
- 発行年月:1991.7
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紙の本
社会科学の論理と批判
2007/08/16 11:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sanctusjanuaris - この投稿者のレビュー一覧を見る
著名な現代の哲学者であるハーバーマスは、縦横に思想家のテクストを取り上げ、批評していき軽妙に文脈をつなぎ合わせていく論述形式をとる。多くの読者はこれを奇異に感じるだろう。だが、著名な哲学者ハーバーマスは、若い頃新聞に書評を載せていたという批評家気質、脈々と続く文化の流れの中でこそ自身の発言を行なおうとする一貫した態度を念頭におけば、納得いくものだと思う。
『社会科学の論理によせて』も同様の論述形式だ。だが本書に入る前提知識として、ヴェーバー、パーソンズ、シュッツなどの行為理論を確認しておくべきだろう。
さて、社会科学が行為理論を提供するものである限り、行為者の主観的意味を考慮することは回避できない。だから行為者の主観的意味を「理解」するために、行為者の視点にたった方法論が必要である。この前提から、行為者の視点を省みない方法論を批判していく論述形式をとる。それによって行為者による意味の観点を行為理論に組み込もうとする(「意味理解の問題構成(Problematik)」)。
本書は大きく分けて3章立ての議論になっている。第一に、社会学の対象である社会的行為が二つの次元(いわば精神の次元と物質の次元)から成り立っているということを示し、それによって社会的行為を分析する方法も二種類必要となることを提示する。すなわち、社会科学の分析対象である行為者の視点にたつことによる行為の「理解」という方法と、行為における法則性の「説明」という方法である。このような区別によってハーバーマスは、行為理論に意味理解の観点を組み込んでいくための土台を設定したといえる。なぜならその二つの次元を区別することによって、行為を物質次元に還元し、精神の次元を排除するような行為理論(行動主義的アプローチ)を批判し、精神次元を強調するための土台が出来上がるからだ。第二に、行為者における意味の問題を扱いえない行為理論ないし「意味理解」をはじめから排除しようとする行為理論(むしろ行動理論)、規範的‐分析的アプローチや行動主義的アプローチを批判する。第三に、3つのアプローチ(現象学的アプローチ・言語学的アプローチ・解釈学的アプローチ)を提示して、意味理解の問題構成を行う。このように、本書の課題は、行為理論に「意味理解の問題」をいかにして組み込むかということであるといえる。
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