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市警察のブラッグ部長刑事とモートン巡査部長のシリーズ2作目。
1890年頃のシティ。
シティというのはロンドンの中心部で歴史が古く、首都警察(いわゆるスコットランドヤード)とは別な組織になっている。
ブラッグ部長刑事は、たたき上げの40男。
モートンはお屋敷の次男で大学出、見目もよく、スポーツ選手でもあり、なぜ警官を志したのかブラッグはまだ不思議がっている。
上流社会に通じているという特質以外は、お坊ちゃんらしい所もあるが、しだいに頼もしい相棒になりつつある様子。
今回は、警察長からの密命を帯びて調査に当たる二人。
シティ選出の下院議員サー・ウォルター・グレヴィルが、自宅の階段から落ちて死んだ。
検死官はよかれと思って、内々に事を運んだが、後に「あれは本当に事故死だったのだろうか」というカードが送られてくる。
表沙汰になれば辞職は免れない。
扱いに不備があったということで、ブラッグとモートンは、実際はどうだったのか詳しい事情を調べる事になる。
警察組織が複雑なので、直属の上司には嫌みを言われつつ。
グレヴィルは豪勢な館に住んでいた。
未亡人ビアトリスはまだ30ほどの美人で、夫が下院議員になれたのも彼女のおかげというほど評判がいい。
当時、週末に泊まりがけで行うパーティが、政治家の重要な付き合いの場だったのだ。
モートンは親の開いたパーティの席上で、他ならぬ時の首相ソールズベリー侯爵に、捜査の進展を聞かれます。
死亡前夜、邸には会合のために数人の有力な男性が集まっていた。
まったく違う職業にも、それぞれ時代色が出ています。
その中の誰かが舞い戻ったのか…?
意外な関係が、次第に明らかに…
キャサリンという新米女性記者も登場。
シティ・プレスという地元紙に父親のコネで何とか入り、女性向けの小さいコラムを担当させて貰う。
警察の行動にも疑問を寄せて食いついてくる果敢な女性だが…?
女性には参政権もなく、そのための運動が始まろうとしている頃。
薄い本なので、そんなに深く追求してはいませんが、読みやすいという点では安心です。
1984年の作品。