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魔性の子(新潮文庫)

魔性の子 みんなのレビュー

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みんなのレビュー375件

みんなの評価4.0

評価内訳

375 件中 1 件~ 15 件を表示

ミッシングリンク

2015/08/22 13:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:しましま - この投稿者のレビュー一覧を見る

十二国記の出てくる泰麒の消えていた時のことを日本側から描いている。高里に自分を重ねて逃避し、さんざん走り回った挙げ句最後置き去りにされる広瀬はいい面の皮だが、“異世界からやって来たものがやがてまた異世界に帰って行く“という典型的なファンタジーの骨子を持ちながら、逃避など許されない現実を思わせ、単なるファンタジーに終わらせない。

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実はシリーズ物の1冊なんです

2000/10/29 15:40

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投稿者:風月霜華 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この世で最初に世に出た「十二国記」の物語。発行されたのは平成3年。風月が古本屋で買った手持ちの本は平成10年の12刷のものだから、本屋であまり見かけた事はなかったけれどけっこう売れていたのかもしれない。そして今年、平成12年には新潮社の夏の文庫100+50冊の一冊にも選ばれた。講談社で刊行されている「十二国記」がジュニア向けのホワイトハートから講談社文庫に移籍される事になったことの影響であることは、たぶん間違いないだろう。

 教育実習のため母校に戻った広瀬は、そこで不思議な生徒 高里と出会う。彼をいじめた生徒が次々と不慮の事故にあっていることから高里は「祟る」と恐れられていた。だがそんな高里に広瀬は親近感を抱く。小さい頃神隠しに会ったという高里にやはり小さい頃臨死体験をした広瀬は、自分と同じようにこの世に居場所のない者同士だと感じたのだ。

 十二国記の読者やファンには十分楽しめる内容だと思うんですが、これをいきなり最初に読んだ人ははっきりいってちんぷんかんぷんだと思う。と、いうわけで最低でも主人公 高里が主人公になっている十二国記シリーズの『風の海 迷宮の岸』を読んでからこの本を読むのをオススメします。
 『風の海〜』で10才だった高里ですが、この物語では16才に成長しています。『風の海〜』とこの『魔性の子』の物語の間に高里の身に何が起こったのか? なぜこちらの世界に戻ってきてしまったのか? なぜ角を失ったのか? については新しい物語を待たなければいけません。

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此処じゃない何処かへ。

2001/02/17 22:47

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投稿者:那智黒飴 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「還りたい。」それは誰でも一度は抱いたことのある願いではないだろうか。「此処じゃない何処かへ」「其処でなら自分の全てを受け入れてもらえる」
 「十二国記」シリーズに繋がる一編ではある。しかし、この本はあえて高里にではなく、広瀬の方に焦点を合わせて読むことをお勧めしたい。「異邦人ではない者」の叶わない願いの物語として。
 「此処じゃない場所」心の何処かで期待している。本当はそんな場所のないことを知りながら。
 小野不由美の筆は、自己の弱さ、醜さ、目を背けたいものからの逃避を許さない。それは他の「十二国記」のシリーズや「屍鬼」などの作品の中にも一貫している。
 真実は己に刺さる。それに立ち向かい、果てに何を見出すか。

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失われた理想郷

2001/02/22 16:26

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投稿者:taigo - この投稿者のレビュー一覧を見る

 十二国記シリーズの外伝。『風の海 迷宮の岸』の主人公泰麒が物語のキーマンとなっている。
 この物語の主人公広瀬は、教育実習で高校を訪れる。そこには祟ると恐れられている高里という子がいた。ふたりは心の中に、この世界ではない世界、自分の故国を持っていた。そのふたりが出会うことから物語は始まる。

 世界との齟齬。足場の喪失。怒りと恐れ。
 同胞としての連帯。本物と偽物。純正というものの冷酷。異端者であると自認することの卑怯さ。辿りつけぬ理想郷。
 シナリオを紹介してもしょうがないんで、この作品を読んで浮かんできた言葉を書くだけにしておく。
 自分はこの世界のどこにも居場所がないのだ、という想いを抱いたことがある人ならこの物語を読むべき。

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胸に痛い。

2001/09/05 19:57

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投稿者:みやぎあや - この投稿者のレビュー一覧を見る

 作者の小野不由美さんは、なんて痛くて残酷なものを書くのだろうと思いました。十二国記を読まずこの本だけ読んだからなおさらでしょう。悪い意味じゃないです。とても感動して、けれど最後に取り残された広瀬の姿が痛かった。十二国記もいずれ読んでみたいとは思っていますが、広瀬のその後の生き方こそ描いてやって欲しい気がします。

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人の持つ業

2002/04/25 09:55

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投稿者:猫山まどか - この投稿者のレビュー一覧を見る

異端やエゴ・孤独。「屍鬼」でもこれでもかと同じ事を言っている。
先に「屍鬼」を読んだせいか、全体としてドラマも説得力も燃焼不良気味に感じた。が、シリーズ物の番外編のようなので、そのためなのだろうか? いや、それでもやっぱり描写に、生々しさが足りないような……言いたいことは判るんだけど…という感想です。

置いていかれ、最後に駆け出した広瀬は諦めたのだろうか、認めたのだろうか。

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シリーズを読んでいるか否かで読後想が分かれるだろう話

2002/07/03 22:54

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投稿者:椿  - この投稿者のレビュー一覧を見る

「十二国記シリーズ」の番外編。
教育実習生の「広瀬」は、実習先の母校で不思議な生徒「高里」に出会う。「高里」の周りには不慮の事故が多く、彼は幼い頃神隠しにあったことがあり…。
十二国記シリーズ『黄昏の岸 暁の天』では、同時点での十二国記サイドの話しが描かれている。

十二国記シリーズを先に読んでいたため、話しの痛い(残酷な)点も物語の大筋が分かっているだけに、普通なら納得出来ないだろう話を、納得して読めた。
異端者、喪失感、同胞など、感情移入が主人公の「広瀬」ではなく、既に知っている「高里」の方に行ってしまい、この話で作者が求めているだろう「普通の人間の視点(もしくは異郷を求める人間の視点)」で見ることが出来なかったのが残念。
十二国記の番外編としては、十二国記が書かれるよりも先に出された作品なのに抜けがなく、十二国記サイドの話(上記)と一緒に読んでも無理がない。

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ぼくは戻らなくてはなりません

2002/07/04 12:10

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投稿者:さすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る

この作品は、十二国記『風の海迷宮の岸 』『黄昏の岸暁の天(そら)』と表裏一体となっています。作品的には、本書『魔性の子』が書かれてから『風の海迷宮の岸 』『黄昏の岸暁の天(そら)』が書かれるまでに長い年月が経っており、それゆえにところどころ設定その他に違いが見られ、厳密に表裏になっているとは言えないのかもしれません。でも、そのような細かい点での差異をのぞけば、これほど立派に対を成した本はないかもしれません。わたしは十二国記の既巻すべてを読んでから本書を読んだのですが、世に出されるまでの時間がこんなにも違いながら、そのそこに流れる異国・十二国の設定にほとんど違いが見られなかったことに驚きました。それでは、小野先生の頭の中では、『魔性の子』を書いたその当時にもう、十二国があった…?作者の力量を改めて思い知らされた気がしました。

十二国記側から見た『風の海迷宮の岸 』『黄昏の岸暁の天(そら)』が表なら、本書『魔性の子』は、その裏に当たる物語です。『風の海迷宮の岸 』では、幼い泰麒がこちらの家の廊下から十二国へ渡った経緯と、峯山での暮らし、王選びが描かれています。『黄昏の岸暁の天(そら)』で十二国側から見た王を選んだあとのタイホとなった泰麒の失踪とその理由、探索、救出が語られるので、本書だけでは消化不良を起こした方には、そちらもぜひ読んで欲しいです。

十二国記を読んでから本書を読み始めたわたしには、なぜ主人公が泰麒である高里ではなく、教育実習生の広瀬なのか疑問でした。でも、その謎も読んでみて解けた気がします。主人公は、やっぱり広瀬でなくてはならなかった。本当に帰る場所があり、帰ることの出来る高里ではいけなかった。それは、読むわたしたちは、どうあっても高里にはなれないからだと思います。帰りたいと思っても、どんなに夢見てあがいても、わたしたちの帰る場所はほかにはない。だから、帰れない…。こちらで生きていかなくては、ならない。わたしにはそう感じられました。

小野先生の作品は、人間のエゴが逃げることを許さないまっすぐさで描かれ、胸に刺さるようです。登場人物のエゴ丸出しの醜い姿に、なんと汚らしい、と笑うことが出来ない。それは、確かに自分にも、そういう部分があることを知っているから。だから、読むことがこんなにイタイのだと思います。でも、読めばなにかがある。自分のエゴだって、その存在を、知らないよりは知っていた方が良いと思うんです。知れば考えることが出来るんだから。そういう意味でも、小野先生の作品は魅力があると思います。もちろん1番の魅力は、なんといっても作品の面白さ、ですけれど。

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青春小説としてもイイ出来!

2002/07/26 10:39

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投稿者:marikun - この投稿者のレビュー一覧を見る

十二国記の序章でもある、番外編。
母校に教生としてやってきた教生、広瀬は不思議な生徒高里に出会う。高里をいじめた生徒には
祟りがあるというのだ。小さい頃に、高里が経験したと言う「神隠し」が、原因なのか?
この作品単体で読むと状況の把握が難しいかもしれませんが、まさに裏と表の世界ですね〜。
「風の海 迷宮の岸」を読んでから読むのがお勧め!

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良い設定

2002/12/03 00:17

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投稿者:葛城リョウジ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ファンタジー小説である十二国記の、もう一つの物語である。それにも関わらず、十二国記を読んでいなくても、十分楽しめるものとなっている。
 確かに、十二国記に限られた用語もある程度使われている。登場人物は、いうまでもない。しかし、ある手法がこれらの制限を消している。
 それは主人公設定である。ストーリーの主人公である広瀬は、十二国記の世界観に何の関わりもなく、知りもしない。これにより、読み手側も広瀬と同様、自由に世界観を体験できる。
 十二国記を読んだことある人も、そうでない人も一度読むことを薦める。

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黎明は毅然とした背水の陣。惚れる、痺れる、引き込まれる。

2003/10/30 20:49

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る

■ 人は誰も何かしら異端だ。身体の欠けた者、心の欠けた者、
■ そんなふうに誰もが異端だ。異端者は郷里の夢を見る。
■ 虚しい愚かな、けれども甘い夢だ。
■(——P430)

壮大な十二国記のプロローグは、背水の陣。
著者は本書で、都合のよい異世界ファンタジーと決別する。

実の母親さえ疎んじてきた「魔性の子」は異質。

周囲の理解を超えた存在。反応は一つ。
いじめ、報道合戦、集団暴行。エスカレートする迫害。

多数の「傍観者」「迫害者」「理解者」を容赦なく描く著者。
その姿勢に痺れ、物語に引き込まれる。

・勇気や美しさ
・さもしさ、みにくさ
・人間味

何一つ逃げず、書き切るスタイル。その筆は主人公にも及ぶ。
だから読み応えがある、説得力がある、人がいて体温がある。

・誰かを理解することを諦める魔法、「あいつは特別だから」。
・厳しい努力をしなくても、特別な自分になれる魔法、
 「これは本当の姿ではない。帰るべき場所は他にある」。

そんな空気が強く漂う季節・場所である、学校から語り始めた必然。

逃げ道を断つ。観客にも都合の悪い部分を直視するよう求める。
その上で、異世界ファンタジーを語り始めた、著者の覚悟。
語り手への信頼感を与えてくれた一冊。

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おすすめです!

2004/02/24 01:23

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:apple - この投稿者のレビュー一覧を見る

 人間の「ここではない、どこかに自分が住むべき異郷があるはずだ」という気持ちや、人間の醜い部分であるエゴや異端を迫害しようとする心を、見事にとらえ、登場人物に感情移入してしまい、読みはじめると止まらなくなる作品です。
 また、「祟り」や「神隠し」といった言葉から、ホラー小説か、と思いがちですが、『魔性の子』は単にホラー小説と言ってしまうにはあまりに切ない物語です。またファンタジー的作品なのでホラーが苦手な私にとっても、とても好きな作品になりました。
 『魔性の子』の話は十二国記シリーズ『風の海 迷宮の岸』と『黄昏の岸 暁の天』の外伝になっています。十二国記シリーズを読んでから『魔性の子』を読むと高里の周りで起こる奇妙な現象やラストの場面などの謎めいた部分がすんなり理解でき、大変読みやすいと思います。しかし、登場人物の行動などが読んでいる途中であまりに理解できすぎてしまい、ラストも予想がついてしまうので、この作品の謎めいた部分を感じながら読むためには、十二国記シリーズを『魔性の子』のあとで読んで、この作品の謎を解いていくのも、おもしろいかと思います。

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十二国記の闇

2005/06/26 17:53

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ゴン狐 - この投稿者のレビュー一覧を見る

十二国記でお馴染み戴国の麒麟泰麒の蓬莱(日本)での物語ですが、十二国記シリーズとは趣を異として、得体の知れないものからの恐怖、人間の弱さ・陰湿さを漂わせる作品です。主人公要(泰麒)を取り巻く事件はかなり凄惨なので、ホラーの苦手な人・十二国紀シリーズの泰麒のイメージの強い人は読みづらいかも。
本人の意思とはお構い無しに、要に辛く当たる者に降りかかる出来事は、単なる日常の偶然を超越してどんどんエスカレートしてゆく様と、復習ともいえる事件に関わる闇の声の恐怖と不思議に引き込まれていきます。結果的に異端視されていく要の痛みが、淡々として描かれるのがかえって悲しみを誘います。要を特別扱いせず友人・生徒として当たり前に接しようとして命をおとしていく者達に対する要の想いがつらい。
教育実習で母校に来て、要と出会う広瀬。家族にも見放された要を唯一匿い続ける広瀬が、恩師に「お前と高里(要)は違う」と諭されて流す涙が、ひどく悲しい。ここは自分の居場所ではないと感じていた広瀬の、異邦人として要に寄せる真情の隠された仮面。最後まで要を庇いながら、十二国に帰る要に置いていかれる広瀬が「おれは、帰れない!」と叫ぶ時、そのエゴとともに居場所を見つけられない人間の悲嘆と絶望に涙しました。
十二国記シリーズと「魔性の子」とどちらを先に読むのか色々意見がありますが、「魔性の子」の本来の面白さを味わうにはこちらからがお勧め。その後の要と闇の声・事件の正体が知りたい方は、そのまま十二国記シリーズに突入するのが良いかと。ホラーは苦手なので、十二国記シリーズだけ楽しみたいというアニメなどのファンの方は、「魔性の子」なしでも筋を追うのには問題ありませんが、「黄昏の岸 暁の天」からの泰麒の心情に寄り添うには、読んでおいた方が理解しやすいと思います。私は、このシリーズでは「魔性の子」と「黄昏の岸 暁の天」がお気にいり。何度読んでも飽きません。

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この本を読んで、そのままあの『十二国記』の世界が生れる、って予言できた人は、凄いですよ、ホント。私は予想できなかったなあ

2005/12/23 23:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私の手元にある文庫には、奥付に平成3年初版、平成15年で25刷と書いてあります。ロングセラーであるだけでなく、広く読まれていることが分りますが、それはこの本が、現在も続いている未完の傑作ファンタジー『十二国記』の前段にあたる部分であることが大きいのでしょう。
それにしても、平成3年の時点で、小野の登場を日本のホラー小説界における「最も活きのいい新鋭」と断じた菊地秀行の慧眼には畏れ入ります。ちなみに『十二国記』の第一巻にあたる『月の影影の海』は1992年に出版されました。一ファンタジーというだけではなく、ホラー、伝奇、政治、擬似中国史といった観点からも並ぶもののない名作の第一歩が、これです。
それから、カバー折り返しを見ますと、1993年に小野は『東亰異聞』で日本ファンタジーノベル大賞の最終候補に残っています。ちなみに、素適なカバーイラストは山田章博、もしかしてホワイト・ハート版『十二国記』よりも、こっちのほうがよかったりして・・・(ちなみに、我が家のアニオタである長女「最近、山田さん、手抜きひどいし」なんて評してますよ)。
「教育実習のため母校に戻った広瀬は、教室で孤立している不思議な生徒・高里を知る。彼をいじめた者は“報復”ともいえる不慮の事故に遭うので、“高里は祟る”と恐れられているのだ。広瀬は彼をかばおうとするが、次々に凄惨な事件が起こり始めた。幼少の頃に高里が体験した“神隠し”が原因らしいのだが・・・・・・。彼の周りに現れる白い手は?彼の本当の居場所は何処なのだろうか?」
舞台となるのは、海辺の町にある私立高校です。一応、都会、と書いてありますが正直、小説を読む限り東京近辺と想定してもベッドタウン、レベルでしょう。名門校に分類されるそうですが、特徴はありません。強いて言えば、一学年が6クラスで各クラス40名程度、というのですから小さい学校といえるでしょう。ちなみに、私が通っていた高校は一学年600人いました。
主人公の高里は、ごく当たり前のサラリーマン家庭の子供で、頭が悪くて意地の悪い嘘つきの弟と、その弟を猫可愛がりする祖母、そして影の薄い父親と自分を主張できない母親がいます。親戚付き合いは薄いほうで、後日、悲劇の後で一族が集まるシーンがありますが、高里の祖父母の残した不動産目当ての醜態を見せる以外は、これといった動きをしません。
で、もう一人の主人公というか、この本での本当の主人公・広瀬ですが、この高校を出て三年とありますから21歳。実習で戻った広瀬の担当教官は後藤という理科の教師です。広瀬は登校拒否、というほどではありませんが、同級生に溶け込めず、教師と折り合うこともできず、自分の本当の居場所はここではない、と思っているような学生でした。その広瀬は、舞い戻った高校で自分の同類を発見します。それが、高里です。
いわゆる甘い物語を期待すれば、完全に的外れです。ここでは、人間の心の奥底にある薄汚さ、いや、本質が剥き出しにされ、人権屋さんたちの心根だって、一皮向けばこういうものかもしれない、といった問題提起があります。無論、そんなに単純なものではないし、小野自身さほどシニカルにものを見ているわけでもありません。ただ、この本を読む限りは、そういう部分で終っています。
私たちは、その後に『十二国記』があることを知っていますから、これが人類の本質とはなにかを問う壮大な物語の序幕に過ぎないと思って読んでいますが、1991年にこの物語を読んだ人はどう受け取ったのでしょう。本来であれば、そのまま新潮社で続巻がでてもおかしくないのに、それが講談社に移行して出された事情も含めて、そこまで見抜けた人は少なかった、そういう気がします。むろん、菊地秀行は何かを感じてはいたんでしょうが。

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2004/10/10 15:23

投稿元:ブクログ

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