投稿元:
レビューを見る
日本人と鏡の関係、とりわけ近代以前の鏡についての考察本です。
巻頭にも書いてありますが、一般的なこういった本と違い、近代から古代へとさかのぼって考察しています。
江戸時代、室町・鎌倉時代、平安時代、奈良時代、古墳時代、弥生時代をそれぞれ考察しています。
特に古墳時代の鏡については、別章で更に詳しく掘り下げています。
どう使われていたか、使っていたのはどのくらいの階級の人だったのか、どこで作られていたのかといろいろ書いてあります。
自分としては、古墳での副葬品としての鏡、山にのぼるときの魔除けとしての鏡、山に奉納されて埋められた鏡という当たりに興味を惹かれました。
あとはお寺への安全祈願などでの奉納についても面白かったです。
難点としては、よくわからない、わかっていない、推測の域を出ないという部分が、古代に進めば進むほど多くなってくるところでしょうか。
再利用される銅が主な材料なので、残っていないものが多いので仕方ないとは思いますが。
この本だけでは不明なことが多いですが、なかなかに知的好奇心をくすぐられるような本だったと思います。