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紙の本
自作について考え、語る作家
2002/04/04 23:02
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投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る
村上龍の「トパーズ系」の作品にはこれまで関心がなかった。というより『トパーズ』の前年、1987年に刊行された『69』や『愛と幻想のファシズム』を堪能して以来、村上龍の作品をほとんど読まなくなっていた。
(いま記憶に残っているのは、1989年の『ラッフルズホテル』と1991年の『超伝導ナイトクラブ』がまったく面白くなくて興味を失い、それから1992年の『長崎オランダ村』と1994年の『五分後の世界』でやや息を吹き返し、2000年の『希望の国のエクソダス』でようやく回復の兆しが見えたこと。)
本書を読み終えて、「公園」だとか「紋白蝶」だとか「バス」だとか、いくつか気に入ったり気になったりした短編をめぐって何か気の利いた評言など捻り出そうとする魂胆が嫌になったので、本作から十年後、1998年8月に刊行された『ライン』のあとがきの一部を抜き書きしておく。
(それにしても、村上龍は自著解説というか自註風のあとがきをよく書いていて、いずれもそれなりに面白い。「まえがき」ではなくて「あとがき」なのが何よりも面白い。あれ、俺、こんな小説を書いてしまったよ。これって、何なんだ?──「トパーズ系の作品群の集大成」と謳い文句にある『THEMASKCLUB』をめぐる『ダ・ヴィンチ』2001年8月号でのインタビューでも、村上龍は自作について精力的に語っていて、とても面白かった。『THEMASKCLUB』でも、もちろんあとがきが書かれていて、この小説のモチーフの一つに「男性のライフスタイル」がある、と書いてあった。村上龍はほんとうに自作について考え、語る作家なのだ)。
《八〇年代に『トパーズ』という短編集を書いたとき、登場するSM風俗嬢たちは日本的共同体の中で特殊な人間たちだった。SMという演劇的な性のゲームに自分のからだを提供することで、彼女たちは社会から個として露になろうとしていたのではないかと思う。つまり、近代の物語・個人史を、テーマではなく背景としたという点で、わたしにとってこの小説は新しい。
この数年、幼児虐待や殺人・自殺願望、ボディピアスや援助交際といったネガティブなモチーフで小説を書いてきて、この『ライン』に到達したような気がする。
『トパーズ』のSM風俗嬢たちが抱えていた精神的な空洞は、今やごく当たり前のものとしてあらゆる社会的階層に見られるものである。そのような人々は言葉を持っていない。近代化を終えた現代の日本を被う寂しさは有史以来初めてのもので、今までの言葉と文脈では表現できないのだ。そこかに閉じ込められているような閉塞感と、社会と自分自身を切り裂きたいという切実な思いが交錯して空回りしている。
そのような時代にはドキュメンタリーは有効ではない。また、近代化が終わったのだから、近代文学も滅びるべきだと思う。文学は言葉を持たない人々の上に君臨するものではないが、彼らの空洞をただなぞるものでもない。文学は想像力を駆使し、物語の構造を借りて、彼らの言葉を翻訳する。》(『ライン』あとがき)
紙の本
なぜベストセラーになったのでしょうか
2021/12/25 18:52
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベストセラーになった村上龍の短編集だ。援助交際などその時代の性的な状況を描いている。なぜ売れたのかわかりません。全然いいとは思いませんでした。このころの村上龍は、性的なものを描いたのが多かったが、ただただ気持ち悪いのが多かった。
紙の本
トパーズは幸福の象徴
2002/02/02 19:14
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投稿者:mypenlai - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公アキコはママさんからの指示で客の元へと出向く娼婦だ。嫌な客でも拒むことはできない。そんな彼女が、憧れの男と街ですれ違い、近くにあった宝石店でトパーズを買ってしまう。その指輪は自分のお金で買ったのだけれど、それを眺めていると、まるで彼が買ってくれたかのような気分に浸れるアキコ。
彼女たちの環境を、リアルに想像することは難しい。けれど、彼女たちの考えること、想うことは、その辺にいるOLたちと大してかわらないんじゃないんだろうか。トパーズは娼婦たちにとってのたったひとつの夢のかけらなのかもしれない。