紙の本
尾崎翠の入門書?
2001/12/20 01:08
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投稿者:たるほ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちくま日本文学全集が出始めの頃に、帯の文句(今夜、苔が恋を始めたとか何とかだったか)と、美しい水彩画の表紙に惹かれて購入しました。電車に乗って読み始めて、最初のこほろぎ嬢を2ページ読み進めただけで、嬉しくて最初に戻って読み返し始めました。第七官界彷徨に至っては、狂喜してましたね。無風帯からも、哀感があり切なく、とても好きです。尾崎翠は、好き嫌い(合う合わない)があると思いますが、一度手に取ってみてください。
紙の本
変てこ・可笑しい・可愛い
2002/07/28 15:03
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投稿者:行方知れズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
10編あまりの中・小編小説おさめられているが、オススメなのは、『第七官界彷徨』、『こおろぎ嬢』、『アップルパイの午後』など。
読んだことが無くてもタイトルを見ただけで、なんだか一癖ありそう、ということがわかるだろう。書物と現実の世界をさまよう、妄想癖のある少女や、大真面目に人間と苔の類似を指摘して苔の恋愛を研究する男など、尾崎翠の小説の登場人物たちは、へんてこな人ばかり。そのへんてこさは、みんな一様に内省的すぎて自分の世界をつよくもっているゆえのもののようだ。まわりの世界に対して、神経症的なまでに繊細で、でもどこかこっけいな人物たちが、ひどく魅力的である。
そんな人々が互いの世界を持ち寄りながら、ぽつりぽつりと対話する光景は、どこかかわいらしくさえある。
解説に、澁澤龍彦の前の奥様で、先ごろ自死された矢川澄子さんが書かれていることも、尾崎翠の世界をしるためのひとつの手がかりになるかもしれない。
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少女小説のバイブルともいえる尾崎翠の作品を余すところなく掲載している全集です。尾崎翠の少女に対する目はとても繊細かつ透明で、男の自分にも目を見張るものがあります。尾崎翠自身がそうだったのかもしれませんね。第七官界彷徨が代表作ですが個人的には短いながら歩行がおススメ。小野町子みたいな女の子いいなぁ…。
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2007.4.15「無風帯から」を久々に読む。
以前読んだときは妹とMのことを主に見ていたけど、今回は書き手の「僕」のことが気になりつつ。こんな話だったんたんだー。
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どこまでも透明。
でもそれだけじゃない不思議な世界。
〜今晩蘚が恋を始めたんだよ〜
「第七官界彷徨」
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リリカルな切なさと並はずれた奇妙さに、ハートを打ち抜かれる一冊。
あれこれ理屈をつけて、おのずと曲がりくねってしまう、そんな人の琴線にこそ触れるんじゃないかと思う。
言葉の使いかたひとつひとつが、とにかく独特で考えても意味がわからなかったりするのに、物語世界はとてもひっそりと美しい。
こんなに変なのに、こんなにメルヘンでいいのか。
でも昔、初めて「第七官界彷徨」を読んだときには、なぜだか良さがまったくわからないどころか、読みとおすのも一苦労という感じだった。
何でかなあ、時期じゃなかったのかな。
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全集も持ってるけど、ぼくていどの醒めた読者にはこちらで充分とは言えます。
ともあれやはり、「第七官界彷徨」はときおり読みたくなる。
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収録作品:こおろぎ嬢 / 地下室アントンの一夜 / 歩行 / 第七官界彷徨 / 山村氏の鼻 / 詩人の靴 / 新嫉妬価値 / 途上にて / アップルパイの午後 / 花束 / 初恋 / 無風帯から / 杖と帽子の偏執者 / 匂い / 捧ぐる言葉 / 神々に捧ぐる詩
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『こおろぎ嬢』→『地下室アントンの一夜』→『歩行』ときて、『第七官界彷徨』まで読み終えたら、また『こおろぎ嬢』に戻りたくなるのは私だけだろうか。
☆『第七官界彷徨』
タイトルに惹かれる。
なんとなく、政治的な話かと思ってたら、全く違った。
登場人物が、みんな我が道を歩いてて、主人公の女の子は、それに振り回されてるんだけれど、別にそれを全く気にしないで、ついて行く。
まるでロボットみたいなんだけど、最高にチャーミング。
かみ合ってんだかないんだか、それでも物語は進んで行く。
クスッという可笑しさが随所にある、最高にキュートな作品。
結局のところ、第七官についての定義もなかったし、なんだかよくわからないけど、凄くギリギリのバランスで、最高に滑稽な物語。
私の第七官で読めたのかも。
この全集の中で、一番好きな話は『初恋』だけど。
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この作家でないと書けない、そんな類の小説。
尾崎翠の置かれた境遇、育ってきた環境、資質、
そんなものが入り交じっての「第七官界」なのでしょう。
ふわりとして、ひやりとしている、
「ガール」ではなく、あくまで「少女」の感覚がすばらしい。
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第七を開いたとたんに異様な迷宮に連れ込まれてしまいました。言葉はこんなに美しいのです。たとえ汚穢の匂いがしても。
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私にとってとても読みやすく、呼吸をするようにすんなり流れ込んでくる文章だった。作者も呼吸をするように書いているのではないかと思わせるような、美しい文章。
なんといっても空気感がたまらない。このみっちりした空気に鼻先まで浸る幻燈のようだ。
「第七官界彷徨」ではじめてこの人の文章を読んだが、行間に満ちる匂いに浸ってくらくらするようだった。蘚の恋ももちろん色鮮やかだけれど、物語の最後になってごく単簡に描かれる町子の恋の、淡く馨ること。大正期の人だけれど、こんな恋愛文学があったなんて、新鮮な驚き。
私の読んできた恋の文章の中で、一番に近いくらい美しいかもしれない。
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『第七官界彷徨』の面白さ・豊潤さは異常!これはいろんな短編が入った本ですが、最初に『第七官界彷徨』を読んでしまってもよいと思います。
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院生の頃ゼミで読んでたものなんだけども、読んでない話がちょこちょこあったので、全部読み切ってしまうことにしました。
話や出てくる小物はけっこう好みだったりときめいたりするものが多いんだけども、文章というか文体がものすごくわたしに合わないのが残念です。
特に、初恋、詩人の靴、アップルパイの午後なんかはすごく好きな話です。食べ物はおいしそうですよ。