紙の本
お見事!
2001/03/23 02:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mamin13 - この投稿者のレビュー一覧を見る
兄は15歳のとき鉄道事故で亡くなった。いや、ほんとは事故では…。兄の死を引きずりながらもウィーンで順調に作家生活を送るジョゼフ・レノックス。ウィーンでは映画好きのテイト夫妻という素晴らしい親友もでき満ち足りた毎日を送っていた。そう、まさに幸せな日々だった…。
ホラー+ファンタジー+普通の小説…なんて書いただけではこの人の作品は言い表せない気がします。「今回はちょっと恐そうだぞ!」と思いながら読み、後半は「あ〜、こんな感じで終わりなのね〜」なんて思っていたけれどそれは大きな間違いでした。
恐いといっても視覚的に恐いとか恐い場面がどうのとかじゃないんです。精神的に「ザワッ!」とくる感じ…。なによりも読み終えたあともずっと残る戦慄がたまりません!
一味違う違うショックを味わいたい方、読みやすくてページ数も少ないのでぜひ読んでみてほしい!絶妙な伏線と衝撃的な結末に一緒に驚きましょう。
投稿元:
レビューを見る
ファンタジーには弱い私だけど、キャロルの独特なホラーファンタジーにははまった。キャロルを読まれる方は最初から順に読むことを勧める。登場人物が何度も共通してでてくるからだ。最後のオチにはたまらなく背筋が寒くなる。
投稿元:
レビューを見る
「最も恐ろしい結末。」らしい。映像化されたら凄く恐ろしいシーンだろうなぁ。。。文章だけだとちょっと物足りない。
投稿元:
レビューを見る
キャロル二つ目の長編。亡き兄とその親友の記憶に呪縛され続ける主人公は、魅力的な夫婦、ポールとインディアと知り合う。ともに親友としての付き合いを深めながらも、主人公とインディアはやがて別の意味でも引かれ合うようになり、そして……。皮一枚の平穏な生活が破綻するとき明らかになる、恐ろしい真実とは。キャロルの作中、最もホラーに近接した一冊。
投稿元:
レビューを見る
強烈な個性の兄のいじめに耐えきれず兄を殺害した主人公が、歳を経て遭遇した恐怖。ジョナサン・キャロルは最後の1ページまで、何が起こるかわからないし、あとでじわじわくる恐怖がある。特にこれは、最後の空白感がたまらない。面白かったよ。
投稿元:
レビューを見る
キャロルの長編第二作。ここに登録してみて、いつの間にか絶版になってること、そして読者評価が低いことを初めて知った。最新作から処女作へ戻ってキャロル作品を再読しているが、10代の頃は気付かなかった、キャロル作品の底流にある“「利己的」という「罪」に対する容赦のない「罰」”というテーマがひりひりと感じられる。特に本書は、「死者の書」よりそのテーマが露骨に描かれ、「薪の結婚」からここへ戻ってみると尚更、ダークな幻想というより潔癖なまでに厳しいキャロルの倫理観が見えてくる。一人称で語り、利己的な自分を正当化する思考と言葉を用いてストーリーを進めつつ、サイドからばっさりと断罪する厳しさが、「自分の断罪されうる存在である」という恐怖を読者にじんわりと残す。ストーリーが突然現実世界から乖離していくのはいつものことだし、作品の風味が非常にキャロルらしい「我らが影の声」、私は好きです。
投稿元:
レビューを見る
まあまあ面白かった。他の作品も読んでみたいかも。読了後に、色々思い出したり考えなおしたりするのも楽しい。
全然違う話だけれど、『心臓を貫かれて』を再読したくなりました。
投稿元:
レビューを見る
事故とはいえ兄を殺してしまった男が作家になり、ウィーンで映画狂の夫婦と知り合い、奥さんのほうと関係をもってしまったが為に世界が破綻していく話。
なんか意味がはっきりわかるかと言われたらよくわからないのですが不穏な、気持ち悪い空気がそこかしこに蔓延していてなんだかじっとりきます。
最後の狂気の爆発がまた気持ち悪い気持ち悪い。
誰かの世界が破綻する瞬間というのはリアルに考えるとどうしてこうも気持ち悪いんでしょう。
怖いと聞いたのに表紙は明るいなあと思いながら読んでいたのですが(1991年初版の古い文庫なので)読みおわって、表紙の絵がどのシーンを指しているのか考えるとぞくっときました。
主人公も普通といえば普通の善人(…?)なのになんか薄気味悪いんだ。
直接的な恐怖は全くないけれど、なんか気持ち悪い話。
投稿元:
レビューを見る
んー。
期待しすぎたのか、最後、取り残された感が・・。
元が洋書だからなのか、自分の理解力のなさなのか、途中の文章でインディアの言葉なのかポールの言葉なのかジョゼフの言葉なのかわからなくなる時があった。
オチも報われなさすぎて。。
キャレンくらいは。。
ね。。
投稿元:
レビューを見る
ジョナサン・キャロルに夢中になるキッカケとなった本。
もう大好き!!
予想したオチをラスト2行で覆された時は鳥肌たった。
投稿元:
レビューを見る
すばらしく面白かった!
グレイト! と唸らせる構成。
畳み掛ける展開。
ほんとうにおもしろい映画を見たあとのような読後感。
何をいってもネタバレになりそうだから書かないが、備忘録に。
P134 P170 P261 P277からそれぞれ始まる場面はすごい。
ぞーっとした。
そしてP270のインディアの台詞による、ジョゼフの人生観の暴露。
「死者の書」にも負けない水準。
次が今から楽しみだ。
投稿元:
レビューを見る
決してベストセラー作家ではないが、同業者や玄人筋にはやたらとウケのいいジョナサン・キャロル。結末のサプライズが最大の読みどころだと評判のジョナサン・キャロル。しかし僕にはいまいちその魅力が理解できない。
確かに、『炎の眠り』でもそうだったけど(というか、本書とそれしかキャロル作品は読んだことがない)、一組の男女が出逢い、胸をときめかせ、疑心暗鬼に陥りつつも、あれこれ駆け引きを巡らせながら、徐々に関係を深めていく一連の過程はリアル過ぎて怖いくらい。さらに本書に限って言うならば、恐怖感/不気味さを煽るシーンの筆致は間違いなく一級品だと思う。
だが、結末のサプライズ?
そりゃあね、この結末は予想できませんでしたよ。できるわけない。だって何も伏線が張られていないんだもの。ミステリーとしては失格。こんなの物陰に隠れて待ち伏せして、わっ! って驚かすのと何が違うんだ?
そういう小説じゃないと言われればそれまでかもしれないけど、少なからず本格ミステリーを読んできた身としては、ある程度のフェアネスを要求してしまうのです。
投稿元:
レビューを見る
ジョゼフ・レノックスにはロスという兄がいた。小さい時から悪賢く、ジョゼフは何時も意地悪をされていた。ロスが大きくなるとチンピラ仲間のボビー・ハンリーといつも一緒にいて、ジョゼフはからかわれていた。そんなジョゼフが13歳になったとき、いつもと同じくロスとボビーにあざけられ意地悪をされていた時、鉄道線路を超えていこうとしていた。あまりにロスが意地悪をするので、思わずロスを押したら、つまずいて第三軌道に触れてしまった。そしてロスがいなくなった家では、母親が半狂乱になって精神病院に入院した。ジョゼフは大学生になって、創作の講座でロスとボビーとの出来事を「木のパジャマ」という題で小説に書いた。講師の評判がよく、色々な雑誌に投稿したらどうかと言われて投稿したら、ある雑誌に掲載された。そして、演劇プロデューサーから版権を売ってほしいと言われ、その短編は「我らが影の声」という題で戯曲となり、評判をとった。内容はずいぶんと書き換えられたが。金を手にしたジョゼフはドイツ文学講座の短期留学に応募し、ウイーンに留学した。そこで出会ったポールとインディアのテイト夫妻と出会ったことで、のちに恐怖の体験をすることになる…。
投稿元:
レビューを見る
取り返しのつかないミスをしてしまった時に、人はどうすればよいのか。
ミスがミスを読んで、本当に取り返しのつかないことになってしまう。
最初のミスなんて、実はたいしたことなかったはずなのに。
それにしたって、抵抗しようがないじゃん。
どうしろっていうんだ。
名探偵がそばにいてくれたらよかったのにね。
最初から最後まで、性欲の扱い方が不得意だった男性の話だったような気もする。
でも、万引きについてむしろカッコいいみたいな感想を言っておいて、それを怒るのかという気もする。
自分の身に降りかからないとその意味がわからないのかもしれない。
または、ただ単に悪い時に悪いことが重なるということなのかもしれないね。